西陣病院だより

医薬品副作用被害救済制度

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 辻 芙美

 本来、薬は病気を治す目的で服用しますが、目的以外の望ましくない作用 =「副作用」が出てしまう事があります。薬の副作用により重篤な健康被害を受けられた方に対し、救済を行う制度がありますのでご紹介します。

医薬品副作用被害救済制度とは?

医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用により入院が必要になるほどの重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や医療手当、障害年金などの給付を受けることができる公的な制度です。

 

副作用により下記の状態になった場合に対象となります。
 ①医薬品等の副作用によって、入院またはやむを得ず自宅療養が必要
 ②日常生活が著しく制限される程度の障がい
 ③死亡

ただし、下記の場合などは、対象外になります。
 ①法定予防接種を受けたことによるものである場合
 ②がんその他の特殊疾病に使用される医薬品等で厚生労働大臣の指定するもの
 ③医薬品等の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品等の不適正な使用によるもの

 

ここで重要なのは、「適正に使用した」ということです。添付文書に記載されている用法用量及び使用上の注意に従っていることが基本です。自己判断で医薬品の量を多く服用した場合や、家族に処方された医薬品を同じ症状があるからと、自己判断で服用し発症した場合などは、適正使用とは認められません。

 

請求の方法
健康被害を受けた本人またはその遺族が、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に請求書に、健康被害が副作用によるものであることを証明する書類(医師の診断書、投薬証明書、受診証明書等)を添えて郵送します。

支給の可否
請求書や書類等を基に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で審議され、厚生労働大臣の判定結果をもとに決定されます。救剤給付の決定に不服があるときは、厚生労働大臣に対し、審査申立てをすることができます。

 

医薬品副作用被害救済制度の詳細は、PMDAのホームページをご覧ください。
この制度や副作用など、気になることがあれば、お気軽に薬剤師にご相談ください。

2020年07月01日

サプリメントと医薬品

(この記事は2020年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 植村 有加

サプリメントとは?

 「サプリメント」とは、食事によって十分に摂りきれない栄養素などを補うための補助食品の総称で、いわゆる「健康食品(「機能」を表示することはできません。)」と位置づけられているものです。日本では国によって制度化されている食品は保健機能食品のみです。保健機能食品は長らく「特定保健用食品」及び「栄養機能食品」の2つだけでしたが、2015年の食品表示法の施行により、食品の機能を表示できる食品として機能性表示食品が加わりました。今回は、「サプリメント」の特徴や医薬品との飲み合わせについてお話ししたいと思います。

薬との飲み合わせに要注意!

 サプリメントは、病気治療のために服用する医薬品の作用に影響を及ぼすことがあります。右記に薬との飲み合わせに注意が必要なサプリメントの例をいくつか挙げます。

 ●クロレラ含有食品 ・クロレラ含有食品・青汁(ケール)
ビタミンKを多く含み、血液をサラサラにするワルファリンの作用を阻害し、薬の効果を弱める。

 ●セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)
多くの薬と相互作用を起こし、薬の血中濃度を下げることで薬の効き目を弱める。

 ●カルシウム含有サプリメント
ある種の抗生剤と同じタイミングで服用することで、吸収されにくくなり、薬の効果を弱める。他にもビタミンCと利尿剤、ビタミンEと抗凝固剤、鉄と甲状腺ホルモン薬など、飲み合わせに注意が必要なサプリメントがあります。

手術や検査に影響のあるサプリメントに注意!

 ニンニク、イチョウ葉エキス、ノコギリヤシ、EPA/DHA等のサプリメントは出血の危険性を増強させる可能性があります。医師と相談して手術や検査前に休む必要があるサプリメントもあります。

サプリメントを使っているとき

 医薬品服用中のサプリメント摂取は十分注意が必要です。サプリメントを服用中で不安があったり、これから服用しようと考えていたりしている方は、医師・薬剤師にご相談ください。

2020年05月01日

薬と長く付き合うために

(この記事は2020年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 谷崎 泰広

薬を服用するときに“副作用”が気になりますか?

副作用は大きく分けて2 種類あります。

① 期待した効果以外の作用が現れる
② 期待した効果より、作用が強く現れる

副作用の発現には次の3つの要因があります。

① 薬の特性 ② 他の薬や食物との関係 ③ 薬を服用する人
一般的に加齢とともに、副作用の発現率は増加する傾向にあります。

なぜ 副作用が起こりやすくなるのか?

薬の多剤服用
 加齢とともに、病気の種類も増えるため、それぞれの病気に対して服用する薬の種類も増加する傾向にあります。
 複数の薬を同時に服用すると薬の働きがお互いに影響しあい、副作用が現れやすくなります。

② 加齢に伴い臓器の機能が低下する

 加齢に伴う体の変化
● 水分量の低下・体脂肪量の増加
● 肝機能の低下(アルブミン〈タンパク質〉の減少・薬物の分解能力の低下)
● 腎機能の低下(薬物の排泄能力の低下)

副作用に早く気付くために

 みなさんが服用している薬の名前や作用などに興味を持ちましょう。週刊誌やテレビなどの情報ではなく、薬剤師や医師から薬の情報を聞きましょう。起こりうる副作用を事前に知っておくことで、迅速に対応することができます。
 正しい知識を得るために、医師や薬剤師にお薬手帳をみせてください。特に、様々な医療機関で複数の薬をもらっている場合は、お薬手帳の管理が役に立ちます。

おわりに

 副作用が心配だからと言って、自己判断で薬を中止・減量することは大変危険です。薬を服用していて、いつもと違う、変だなと思ったら医師、薬剤師に相談してください。

2020年03月01日

みなさんが、日常使用する「痛み止め(鎮痛薬)」の副作用を御存知ですか?

(この記事は2019年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 國枝 亜矢香

NSAIDsって、なに?

NSAIDsは、鎮痛薬の種類の1つで、Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略、日本語に直すと「非ステロイド性抗炎症薬」と呼ばれています。代表的なものに、ロキソプロフェンイブプロフェンという成分があります。お薬手帳や市販薬のパッケージで成分を確認してみましょう。

NSAIDsの副作用ってどうしておこるの?

痛みがある時、身体の中で痛みや発熱の原因物質(プロスタグランディンE2)が作られます。NSAIDsは、この原因物質が作られるのを邪魔して、痛みを和らげたり、熱を下げたりします。また、身体の中には、胃や十二指腸の粘膜を保護するためや腎臓の働きを保つために「血流を保つためのプロスタグランディンI2」が作られています。困ったことにNSAIDsは、E2とI2の違いが分からないため、身体に大切な「プロスタグランディンI2」が作られるのも邪魔します。

つまり、NSAIDsを漫然と服用していたら、消化管粘膜や腎臓を保護してくれるI2が少なくなり、消化性潰瘍や腎機能障害といった症状が出る可能性があります。

どうしたらいいの?

市販薬にも同じようなNSAIDsがあるため、薬剤師にあなたの病状を伝えて、適切な服用方法を聞いてください。また、出血などの重篤な消化性潰瘍や腎機能障害が出現してしまった場合には、NSAIDsを使用できなくなってしまうこともあります。本当にNSAIDsが必要な時に使用できるためにも、説明書の記載量を超えた過剰な服用や、漫然とした服用は避けるようにしましょう。

2019年11月01日

便秘薬について

(この記事は2019年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 河野 透子

便秘とは、排便が3日以上なかったり、便が硬くて量が少なく、残便感があったりする状態を呼びます。多くは、水分や食事摂取不足、ストレスなどにより腸の動きが低下することで生じます。しかし、がんやポリープなど腸の病気が原因となることもあり、血便や激しい腹痛、嘔吐を伴う場合は早めに受診することが大切です。また、薬の影響で便秘を生じることがあり、コデインリン酸塩を含む咳止めや、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、鉄剤、降圧剤(カルシウム拮抗薬)などが挙げられます。

膨張性下剤

水分によって容積を増大させて便の量を増やす作用があります。作用はあまり強くありませんが、自然に近い形での排便ができます。便秘型の過敏性腸症候群に対し使用されますが、腹部膨満感の悪化に注意が必要です。ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル®錠)(※慢性便秘症の適応はなし)などがあります。

浸透圧性下剤

腸内で水分泌を引き起こし、便を柔らかくし、回数を増やす作用があります。塩類下剤、糖類下剤、浸潤性下剤の3種類があり、長期投与によって耐性を生じることがないのが特徴です。酸化マグネシウム(マグミット®錠)は安価であること、用量調節が容易であることから、昔から使用されている塩類下剤です。胃酸の分泌を抑える薬を服用している場合や、胃を切除している場合では効果が弱まる可能性があります。また、高齢者や腎機能が低下している場合には副作用として高マグネシウム血症を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。糖類下剤にはラクツロース(ラグノス®ゼリーなど)があり、腸内細菌に利用されることで、浸透圧を高め排便を促す作用があります。副作用として腹部膨満感が現れることがあります。ルビプロストン(アミティーザ®カプセル)は副作用が少なく、腎機能が低下した人にも比較的安全に使用できますが、空腹時では吐き気が現れやすいため、食後に服用するようにしましょう。

刺激性下剤

腸の蠕動運動を亢進することで排便を促進する作用があります。センノシド(センノサイド®錠)、ピコスルファート(ラキソベロン®液)などがあります。通常は内服後8~10時間ほどで作用が現れるため、寝る前に使用することが多い薬です。効果は強力ですが、長期連用により耐性が起こる可能性があるため注意が必要です。

新しい下剤について

リナクロチド(リンゼス®錠)、エロビキシバット(グーフィス®錠)、ポリエチレングリコール製剤(モビコール®配合内用剤)など、次々と新薬が作られています。

 

便秘薬は症状や目的によって使い分ける必要があるため、薬の選択については医師、薬剤師と相談して下さい。便秘の予防として、まずは食事や適度な運動など、生活習慣の見直しを行うことも大切です。

 

 

2019年09月01日

漢方薬のあれこれ

(この記事は2019年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 東野 公亮

 

確認しよう  ‒漢方薬の飲むタイミングと飲み方‒

飲むタイミング 食前(ごはんの30分前)もしくは、食間(ごはんを食べて2~3時間後)。

※おなかの中が空っぽの状態の方が、漢方薬の効果が発揮されやすいため。
※食後でも服用できる場合があります。かかりつけ医、かかりつけ薬剤師に確認しましょう。

飲み方 水または白湯。

漢方薬は、症状にあわせて選ばれる薬です。(下記は一例です。)

症   状 処方される漢方薬
腹部膨満感、腹痛 など 大建中湯
体力があり、汗が出ない風邪のひきはじめ など 葛根湯
体力低下、夏バテ、全身倦怠感 など 補中益気湯
こむら返り、筋肉痛 など 芍薬甘草湯

 

漢方薬を飲みやすくするコツ

味やにおいが気になる

漢方薬の独特な味やにおいも、治療の大事なひとつとされています。一般的には水または白湯で服用とされていますが、味やにおいが苦手な方は、オブラートに包む、甘いゼリーに混ぜることで、独特な味やにおいを消す方法や、お茶でも服用できます。

顆粒が苦手

顆粒が苦手な方は、1包あたり100cc ~200ccのお湯に入れ顆粒を溶かして服用しましょう。

漢方薬を飲んで、こんな症状が出たら相談

漢方薬にも副作用があります。すべての漢方薬にあてはまることではありませんが、漢方薬服用後、下記のような症状が出たら、注意が必要です。

漢方服用後に特に注意する症状

空咳(痰のない咳)、発熱、労作時の息切れ、顔や手足のむくみ、脱力感、吐気・嘔吐 など

 

漢方薬は歴史のある薬です。上記以外にも症状に合わせて 薬が選ばれますので、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師と 相談し、漢方薬とうまく付き合いましょう。

2019年07月01日

お家に余っているくすりはありませんか? 余っているくすりがあれば、 かかりつけ薬局に相談しましょう

(この記事は2019年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 安田 早織

 

この余っているくすり(家に眠っている薬)のことを残薬といいます。飲み忘れや、副作用が気になったり、症状が良くなって自己判断でやめてしまったり・・・。
なかには、薬を飲んでいないことに医師が気付かず、症状が改善しないからと新たな薬を処方し、薬がさらに増えていく悪循環に陥ることもあります。
もしかして、薬の種類が多すぎて適切な服用ができなくなっていませんか?実は、「残薬」は、大きな社会問題になっています。
それは、「くすりの無駄遣い」です。厚生労働省の資料によると残薬の金額は年間500億円にもなると言われています。医療費節約のために、一人一人が意識しないといけません。

まずは薬剤師に相談

くすりの重複や悪い飲み合わせを防ぐには、『お薬手帳』を活用します。今、飲んでいるくすりを医師や薬剤師に知らせることはもちろん、くすりを飲み残してしまったときも、隠さずに伝えましょう。
飲み忘れてしまうのは、くすりを飲むタイミングが仕事や生活と合わないからかもしれません。理由が分かれば、例えば「1日3回では飲み忘れるのなら、1日1回や2回の薬に変えてもらいましょう」といったように、薬剤師から医師に提案をすることも可能です。
「かかりつけ薬局」が身近にあれば、気軽に相談しやすくなります。

残薬の有効活用

残薬を薬局へ持っていくと、薬剤師がくすりの種類や量、使用期限などを確認して医師に連絡し、「本来もらうべきくすりの数」から「余っているくすりの数」を引き算し、患者さんにくすりをお渡し(残薬調整)します。この作業を行うことで、くすりを捨てることなく有効利用することができます。
患者さん自身の会計が安くなり、さらには医療費の節約をおこなうことができます。残薬を調節すると、ご自身だけでなく小さいお子さんが間違ってくすりを飲む危険性を減らすこともできます。

くすりを正しく服用するために

くすりについての不安やくすりの管理で困ったことがある場合には、かかりつけ薬局に相談し、継続したくすりの管理を手伝ってもらいましょう。またくすりの保管場所をわかりやすい場所にする、ピルケースやカレンダー、アラーム等を活用する、ご家族や介護者に声掛けや支援をお願いするなど、くすりの管理について見直しや工夫をし、くすりを適切に服用しましょう。

 

 

2019年05月01日

快適な睡眠を得るために

(この記事は2019年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 大竹 優樹

「春眠暁をおぼえず」とは中国の故事で、「春の夜は気持ちよく眠れるので朝が来たことにも気が付かず寝過ごしてしまう」という意味だそうです。しかし患者さんの中には睡眠障害で悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。

 

睡眠障害に使用される睡眠薬には、寝つきが悪い方(入眠障害)、途中で起きてその後眠れない方(中途覚醒)など、症状に応じて超短時間作用~超長時間作用の様々な種類の薬があります。最近は睡眠に深く関わるホルモンに作用することで、睡眠と覚醒のリズムを整え、脳とカラダを「寝つきやすい状態」にするという新しいタイプの睡眠薬もでています。睡眠薬を希望する場合には、悩んでいる睡眠障害のタイプ(入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒)を医師へ伝えてよく相談しましょう。また睡眠薬の服用によって、ふらつきや翌朝まで持ち越されるような過度の眠気から、転倒や骨折、嚥下障害などのリスクを高めてしまうというデータがあり副作用には注意が必要です。

睡眠障害には睡眠薬の利用だけでなく、生活習慣の見直しも重要であることがわかっています。

薬剤師

睡眠障害を感じたら以下のような生活習慣の見直しを試してみましょう
  1. 起床後は太陽の光を浴びる
  2. 規則正しい食生活
  3. 音や光に配慮して眠りやすい寝室の環境を整える
  4. 就寝時刻に関わらず、毎朝決まった時刻に起床する
  5. 就寝前にスマートフォン・テレビ等の明るい光を見ない
  6. 夕方以降のカフェインの摂取をさける
  7. 就寝前の喫煙は避ける
  8. 寝床での考え事は避ける

アルコールの摂取は一時的に睡眠導入効果がありますが、浅い睡眠となり睡眠障害の対応には向いていません。またアルコールと睡眠薬の併用は過剰な眠気・脱力・呼吸抑制などの副作用のリスクが高まるため、大変危険ですので避けましょう。

 

春は気候もよく、過ごしやすくなりますよね。暁が来たら、毎朝決まった時刻にしっかり起きて春を楽しみましょう! 睡眠薬の使用方法についてご不安な方は、医師・薬剤師までご相談ください。

 

 

2019年03月01日

市販の胃薬について

(この記事は2019年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 主任 福本 郁子

外食の機会が多い年末年始を過ごされて、胃の調子がなんとなく悪く、市販の胃薬を買い求められる方もおられると思います。
今回は、市販の胃薬についてお話します。

胃薬の種類には、

H2ブロッカー、制酸薬、健胃薬、消化薬、鎮痛鎮痙薬などがあり、これらが組み合わさっていたり、粘膜修復成分が含まれた複合胃腸薬があります。

H2ブロッカー

医療用でも使用されているファモチジンなどを主成分としており、胃酸の分泌を抑える作用が強い薬です。胃酸が多く出すぎた時の症状(胃痛、胸やけなど)に対して使用されています。
第1類医薬品ですので、購入時に薬剤師からの説明を受ける必要があります。相互作用をおこす薬もありますので、服用している薬があれば伝えてください。

制酸剤

炭酸水素ナトリウムや酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイトなど胃酸を中和させる成分が入っています。ナトリウムやマグネシウム、アルミニウムを使用しているものが多く、高血圧や腎臓の働きが弱くなっている方は避けるのが望ましいとされます。

複合胃腸薬

消化を助ける消化酵素や胃粘膜保護成分、胃の働きを促す健胃成分が含まれているので、胃の働きが慢性的に弱い場合に使用されることが多いようです。

 

市販の胃薬には、たくさんの種類があります。すでに医療機関から薬を処方されている方は、その中に胃薬が含まれていることもあります。服用している薬や緑内障・前立腺肥大・高血圧などの疾患があれば、薬剤師に相談してください。
また、3~5日くらい服用しても症状が変わらなかったり、慢性的に市販の胃薬を使用している方は、一度医療機関を受診してください。

 

 

2019年01月01日

お薬をただしくのんでいますか?

(この記事は2018年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 牛嶋 麻紀

おくすりは水でのむ方がいいの?

一般的にのみ薬は、コップ1杯程度(約200cc)の水、またはぬるま湯でのむように作られています。ただし、消化酵素剤や消炎酵素剤などのタンパク質でできている薬の場合、あまり熱いお湯で飲むと分解してしまうおそれがあるので注意しましょう。

水なしでのむとどうなるの?

薬を水なしで飲むと溶けにくいため、吸収が遅れ効果が現れにくくなったり、場合によっては、溶けずに便として出てしまうこともあります。薬が効果を十分に発揮するには、薬が溶けて吸収されなければなりません。
 錠剤やカプセル剤を水なしでのむと、食道にひっかかったり、くっついたりすることがあります。そうすると、その場で溶けてしまうことで、食道潰瘍を起こしてしまう場合もあります。また、粉薬などでは、気管から肺に入ってしまい、肺炎を起こした例もあります。

水以外でのむとどうなるの?

コーラやジュース、牛乳などで薬を飲むと、薬の成分にもよりますが、一般的には吸収が遅くなったり、悪くなったりして、効果も薄まる傾向がみられます。緊急の場合を除いては、水以外のものではのまない方がよいでしょう。

例えば・・・
グレープフルーツジュースの場合
グレープフルーツジュースで血圧降下薬(一部のカルシウム拮抗薬)などを飲むと、薬の分解が抑えられて作用が強く出てしまうことがあります。ジュースだけでなく、グレープフルーツの実を食べても、同様の作用が出てしまいます。この作用は3日ほど続く場合があります。
これは、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン」という物質が薬を分解する小腸の酵素(CYP3A4)の働きを阻害し、薬の分解が遅くなって極端に効き目が強くなってしまうためです。
アルコールの場合
アルコールと同じような作用(眠くなるなど)を持つ精神安定剤や睡眠剤などは、アルコールと一緒だと作用が強まる傾向があります。糖尿病の薬には、低血糖を起こしやすいものもあります。薬は、絶対にアルコールと一緒に飲まないでください。
一般的にアルコールというと、ビール、ウイスキー、ワイン、日本酒などのことを思い浮かべますが、これら以外にも食べ物や飲み物によっては、アルコールを含む物があり、無意識のうちにアルコールを摂取しうる場合があるので注意が必要です。特に、医薬品として市販されているドリンク剤はアルコールを含んでいることもありますので、注意が必要です。

最後に

おくすりはお茶でのんでもかまいません。薬によってはお茶でのんではいけない薬もありますが、その場合は薬剤師が必ず説明します。一番よいのはお水かお白湯ですが、飲み忘れが一番よくありません!

 

 

2018年11月01日