西陣病院だより

アレルギー性鼻炎薬と服用タイミング

(この記事は2021年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  瀬良 郁実

そろそろ花粉症シーズンが到来します。そこで今回は処方薬や市販薬としても大活躍のアレルギー性鼻炎薬と服用タイミングについてのおはなしです。

おくすりと食事のおはなし

ほとんどのおくすりでは、食事を摂ることにより、胃のはたらきがゆっくりとなり、おくすりが吸収される“はやさ”が変わり、おくすりが吸収される“量”は変わりません。しかし、一部のおくすりでは、“はやさ”だけでなく“量”も変わってしまいます。 今回紹介する市販のアレルギー性鼻炎薬は、食事によって吸収される“量”が影響される場合があります。もし、飲まれているおくすりの効果が感じられないとき、服用タイミングを変えてみることで、おくすりの効果が実感できるかもしれません。アレルギー性鼻炎の諸症状である、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりは、日常生活でつらい症状です。服用のタイミングや回数などライフスタイルにあわせたおくすりを選ぶ時に悩んだ場合は、薬剤師にご相談ください。

アレジオン®20(エピナスチン)

食後に服用した場合、空腹時よりも血中濃度が低くなるため、アレルギー性鼻炎に対しては、1日1回、就寝前に服用する

アレグラ®FX(フェキソフェナジン)

食事の影響を少し受けるので、1日2回朝と夕の食事の前に服用することをお勧めします。ただし、忘れた場合は食後に服用する

ストナリニ®Z/新コンタック鼻炎Z(セチリジン)など

食後に服用した場合、空腹時よりも血中濃度が低くなるため、アレルギー性鼻炎に対しては、1日1回、就寝前に服用する

クラリチン®EX(ロラタジン)

食後の方が吸収されやすいため、1日1回食後に服用する

2021年03月01日

OTC医薬品を活用しよう!

(この記事は2021年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 東野 公亮

OTC医薬品とは?

OTC医薬品とはOver The Counter の略で、薬局やドラッグストアでカウンター越しに、医師からの処方せんなしで購入できる市販薬(以下 OTC 医薬品)を指します。風邪の引き始めに、薬局やドラッグストアで風邪薬などを購入する方もいらっしゃるのではないでしょうか?OTC医薬品をうまく活用し、今年の冬を乗り越えましょう。

ご存じですか?~OTC医薬品には種類があります~

種類によって、販売できる人が決まっています。販売できる人へ相談しましょう。

 

 

OTC医薬品を活用するには?

① 何よりも体調管理です!
薬を飲むだけでなく、『バランスの良い食事を摂る』『適度な運動』『十分な睡眠』、さらに『マスクをする』『手洗い・手指消毒を行う』『体温測定を行う』なども大切です。

② OTC医薬品を購入する際は、お薬手帳を活用し、 薬剤師・登録販売者へ相談しよう!
OTC医薬品には、症状に合わせた様々な薬があります。お薬手帳を活用することで、医師・薬剤師などへの情報となり、飲み合わせ・副作用を防ぐことに繋がります。OTC医薬品を購入される際に一緒にお薬手帳を持参し、かかりつけ薬剤師や登録販売者と薬の飲み合わせ・副作用について相談しましょう。

知っておこう!~医療費控除制度~

確定申告を行うことにより、所得税が一部還付されたり、翌年の住民税が減額される制度です。この制度では、治療のために購入したOTC医薬品の代金も対象となることがあります。

2021年01月01日

市販の風邪薬について

(この記事は2020年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 主任 福本 郁子

日に日に気温が下がり、空気が乾燥し始めています。くしゃみ・鼻水、咳など風邪の症状はありませんか? 今回は、市販の風邪薬についてのお話です。

市販の風邪薬(総合感冒薬)とは

熱や頭痛、鼻水、咳といった風邪の初期症状を和らげる薬です。風邪を治す薬ではなく、すでに現れている症状を緩和させる目的で、複数の有効成分が配合されています。
製品ごとに有効成分は様々で含有量も異なりますので、症状に合わせて購入することができます。

主な成分

1. 解熱・鎮痛薬
●アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンなど…熱を下げたり、喉の痛みや頭痛を和らげる

2. 抗ヒスタミン剤
●マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミンなど…鼻水・くしゃみを和らげる

3. 鎮咳・去痰剤
●コデイン、ジヒドロコデイン…咳を止める
●アンブロキソール、カルボシステイン…痰を出しやすくする
●メチルエフェドリン…気管支を拡げる

4. その他
●トラネキサム酸、塩化リゾチーム…炎症を抑える
●生薬成分(ゴオウ、ケイヒ、ショウキョウ、カンゾウ)…熱を下げたり、咳を止める<
●カフェイン…眠気を予防したり、疲労感や頭痛を和らげる
この他にも、多くの種類があります。

注意点

  • 眠気や口の渇き、便秘を引き起こすことがあります。
  • 緑内障や前立腺肥大の症状を悪化させる成分もあるため、疾患によっては服用できないことがあります。
  • 病院で処方された薬を服用している場合、全く同じ成分や同じ効果を期待する成分が重なってしまうことがあります。
  • 購入されるときは、服用している薬や疾患、アレルギー歴などを薬剤師に伝えてください。

数日服用しても症状が改善しないときは、医療機関を受診してください。

2020年11月01日

漢方薬について

(この記事は2020年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  主任  牛嶋 麻紀

漢方薬とは?

生薬のうち薬として効くものを、いくつか組み合わせた薬のことです。
「生薬」とは植物を中心に、動物や鉱物を含め天然のものから作られた薬です。すべての漢方薬はこの「生薬」の組み合わせでできています。もともとは中国が数千年の年月をかけて生み出してきた生薬の組み合わせがあり、それを日本の風土、日本人の体質に合わせて独自に発展させて現在の漢方薬となりました。また「漢方」という名前は、江戸時代に日本で盛んになった西洋医学を「蘭方」と言ったことに対し、漢の時代に伝わった東洋医学として「漢方」と名づけたことに由来します。
伝統的な漢方薬は小さく刻んだ生薬を煎じてのむ煎剤ですが、現在、一般的に手に入るものは、ほとんどが煎じ薬を濃縮し、乾燥させ飲みやすくしたエキス剤(顆粒剤、錠剤、カプセル剤)です。
漢方薬を服用するとき、コップ1杯の白湯に溶かして服用すると、本来の形に近い味や香りを再現できます。みなさんのよく知っている「葛根湯」はかぜのひきはじめに処方されることが多いですが、葛根(カッコン)、麻黄(マオウ)、大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)、芍薬(シャクヤク)、桂皮(ケイヒ)などの生薬が含まれています。

それぞれの部位と薬効は?

● 葛根(葛の根)・・・・・・・・・・・・・ 発汗、解熱、鎮痙
● 麻黄(麻黄の茎、枝)・・・・・・・・・ 鎮咳、感冒、関節痛
● 大棗(なつめ実・果実)・・・・・・・・・ 胃腸、鎮痙、滋養
● 生姜(ショウガの根茎)・・・・・・・・ 健胃、感冒、冷え症
● 甘草(甘草の根)・・・・・・・・・・・・・・・ 緩和、鎮痛
● 芍薬(シャクヤクの根)・・・・・・・・・・・ 腹痛、婦人病
● 桂皮(樹皮)・・・・・・・・・・・ 芳香性健胃、発汗、解熱

です。この成分に含まれる葛根や生姜は食材としてもなじみのあるものですね。
桂皮(ケイヒ)はクスノキ科の幹の皮を乾燥させたもので、私たちにとてもなじみ深いものです。洋風のスイーツや、京都の八つ橋のフレーバーなどにも使われている「シナモン」や「ニッキ」といえばわかる方もいらっしゃると思います。この桂皮はお香にも使用されていて、日本人にとても好まれる香りだといわれています。
漢方薬はまずい、苦いというイメージが先行していますが、どの生薬が配合されるかによってひとつひとつ味も違います。体質に合っている処方、体が必要としている処方であれば、比較的服用しやすく、体質に合っていない処方であれば、服用しづらくなると考えられています。
服用しにくい場合、ヨーグルトや服薬ゼリー、水あめにまぜて飲むこともできますが、「濃いお茶」「ジュース」「牛乳」「アルカリイオン水」などは薬の吸収に影響し、効果に影響を及ぼすことがありますので、やめましょう。
漢方薬の成分の多くは、腸内細菌によって、効きやすい形に変えられて効果を表します。そのため、空腹時のほうが、速やかに腸内細菌のいる場所に到達できます。また、人によって腸内細菌の量が違うため、効果の発現の仕方にも個人差があります。漢方薬を飲み続けることで、その成分に作用する腸内細菌が増えてきて、次第に効き目が良くなってきます。
漢方ではどちらかというと、体質改善が得意分野なため、長期にわたって飲み続けることもあります。効き目がないからといってすぐにやめてしまわず、気長に服用を続けましょう。

2020年09月01日

医薬品副作用被害救済制度

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 辻 芙美

 本来、薬は病気を治す目的で服用しますが、目的以外の望ましくない作用 =「副作用」が出てしまう事があります。薬の副作用により重篤な健康被害を受けられた方に対し、救済を行う制度がありますのでご紹介します。

医薬品副作用被害救済制度とは?

医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用により入院が必要になるほどの重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や医療手当、障害年金などの給付を受けることができる公的な制度です。

 

副作用により下記の状態になった場合に対象となります。
 ①医薬品等の副作用によって、入院またはやむを得ず自宅療養が必要
 ②日常生活が著しく制限される程度の障がい
 ③死亡

ただし、下記の場合などは、対象外になります。
 ①法定予防接種を受けたことによるものである場合
 ②がんその他の特殊疾病に使用される医薬品等で厚生労働大臣の指定するもの
 ③医薬品等の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品等の不適正な使用によるもの

 

ここで重要なのは、「適正に使用した」ということです。添付文書に記載されている用法用量及び使用上の注意に従っていることが基本です。自己判断で医薬品の量を多く服用した場合や、家族に処方された医薬品を同じ症状があるからと、自己判断で服用し発症した場合などは、適正使用とは認められません。

 

請求の方法
健康被害を受けた本人またはその遺族が、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に請求書に、健康被害が副作用によるものであることを証明する書類(医師の診断書、投薬証明書、受診証明書等)を添えて郵送します。

支給の可否
請求書や書類等を基に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で審議され、厚生労働大臣の判定結果をもとに決定されます。救剤給付の決定に不服があるときは、厚生労働大臣に対し、審査申立てをすることができます。

 

医薬品副作用被害救済制度の詳細は、PMDAのホームページをご覧ください。
この制度や副作用など、気になることがあれば、お気軽に薬剤師にご相談ください。

2020年07月01日

サプリメントと医薬品

(この記事は2020年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 植村 有加

サプリメントとは?

 「サプリメント」とは、食事によって十分に摂りきれない栄養素などを補うための補助食品の総称で、いわゆる「健康食品(「機能」を表示することはできません。)」と位置づけられているものです。日本では国によって制度化されている食品は保健機能食品のみです。保健機能食品は長らく「特定保健用食品」及び「栄養機能食品」の2つだけでしたが、2015年の食品表示法の施行により、食品の機能を表示できる食品として機能性表示食品が加わりました。今回は、「サプリメント」の特徴や医薬品との飲み合わせについてお話ししたいと思います。

薬との飲み合わせに要注意!

 サプリメントは、病気治療のために服用する医薬品の作用に影響を及ぼすことがあります。右記に薬との飲み合わせに注意が必要なサプリメントの例をいくつか挙げます。

 ●クロレラ含有食品 ・クロレラ含有食品・青汁(ケール)
ビタミンKを多く含み、血液をサラサラにするワルファリンの作用を阻害し、薬の効果を弱める。

 ●セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)
多くの薬と相互作用を起こし、薬の血中濃度を下げることで薬の効き目を弱める。

 ●カルシウム含有サプリメント
ある種の抗生剤と同じタイミングで服用することで、吸収されにくくなり、薬の効果を弱める。他にもビタミンCと利尿剤、ビタミンEと抗凝固剤、鉄と甲状腺ホルモン薬など、飲み合わせに注意が必要なサプリメントがあります。

手術や検査に影響のあるサプリメントに注意!

 ニンニク、イチョウ葉エキス、ノコギリヤシ、EPA/DHA等のサプリメントは出血の危険性を増強させる可能性があります。医師と相談して手術や検査前に休む必要があるサプリメントもあります。

サプリメントを使っているとき

 医薬品服用中のサプリメント摂取は十分注意が必要です。サプリメントを服用中で不安があったり、これから服用しようと考えていたりしている方は、医師・薬剤師にご相談ください。

2020年05月01日

薬と長く付き合うために

(この記事は2020年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 谷崎 泰広

薬を服用するときに“副作用”が気になりますか?

副作用は大きく分けて2 種類あります。

① 期待した効果以外の作用が現れる
② 期待した効果より、作用が強く現れる

副作用の発現には次の3つの要因があります。

① 薬の特性 ② 他の薬や食物との関係 ③ 薬を服用する人
一般的に加齢とともに、副作用の発現率は増加する傾向にあります。

なぜ 副作用が起こりやすくなるのか?

薬の多剤服用
 加齢とともに、病気の種類も増えるため、それぞれの病気に対して服用する薬の種類も増加する傾向にあります。
 複数の薬を同時に服用すると薬の働きがお互いに影響しあい、副作用が現れやすくなります。

② 加齢に伴い臓器の機能が低下する

 加齢に伴う体の変化
● 水分量の低下・体脂肪量の増加
● 肝機能の低下(アルブミン〈タンパク質〉の減少・薬物の分解能力の低下)
● 腎機能の低下(薬物の排泄能力の低下)

副作用に早く気付くために

 みなさんが服用している薬の名前や作用などに興味を持ちましょう。週刊誌やテレビなどの情報ではなく、薬剤師や医師から薬の情報を聞きましょう。起こりうる副作用を事前に知っておくことで、迅速に対応することができます。
 正しい知識を得るために、医師や薬剤師にお薬手帳をみせてください。特に、様々な医療機関で複数の薬をもらっている場合は、お薬手帳の管理が役に立ちます。

おわりに

 副作用が心配だからと言って、自己判断で薬を中止・減量することは大変危険です。薬を服用していて、いつもと違う、変だなと思ったら医師、薬剤師に相談してください。

2020年03月01日

みなさんが、日常使用する「痛み止め(鎮痛薬)」の副作用を御存知ですか?

(この記事は2019年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 國枝 亜矢香

NSAIDsって、なに?

NSAIDsは、鎮痛薬の種類の1つで、Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略、日本語に直すと「非ステロイド性抗炎症薬」と呼ばれています。代表的なものに、ロキソプロフェンイブプロフェンという成分があります。お薬手帳や市販薬のパッケージで成分を確認してみましょう。

NSAIDsの副作用ってどうしておこるの?

痛みがある時、身体の中で痛みや発熱の原因物質(プロスタグランディンE2)が作られます。NSAIDsは、この原因物質が作られるのを邪魔して、痛みを和らげたり、熱を下げたりします。また、身体の中には、胃や十二指腸の粘膜を保護するためや腎臓の働きを保つために「血流を保つためのプロスタグランディンI2」が作られています。困ったことにNSAIDsは、E2とI2の違いが分からないため、身体に大切な「プロスタグランディンI2」が作られるのも邪魔します。

つまり、NSAIDsを漫然と服用していたら、消化管粘膜や腎臓を保護してくれるI2が少なくなり、消化性潰瘍や腎機能障害といった症状が出る可能性があります。

どうしたらいいの?

市販薬にも同じようなNSAIDsがあるため、薬剤師にあなたの病状を伝えて、適切な服用方法を聞いてください。また、出血などの重篤な消化性潰瘍や腎機能障害が出現してしまった場合には、NSAIDsを使用できなくなってしまうこともあります。本当にNSAIDsが必要な時に使用できるためにも、説明書の記載量を超えた過剰な服用や、漫然とした服用は避けるようにしましょう。

2019年11月01日

便秘薬について

(この記事は2019年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 河野 透子

便秘とは、排便が3日以上なかったり、便が硬くて量が少なく、残便感があったりする状態を呼びます。多くは、水分や食事摂取不足、ストレスなどにより腸の動きが低下することで生じます。しかし、がんやポリープなど腸の病気が原因となることもあり、血便や激しい腹痛、嘔吐を伴う場合は早めに受診することが大切です。また、薬の影響で便秘を生じることがあり、コデインリン酸塩を含む咳止めや、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、鉄剤、降圧剤(カルシウム拮抗薬)などが挙げられます。

膨張性下剤

水分によって容積を増大させて便の量を増やす作用があります。作用はあまり強くありませんが、自然に近い形での排便ができます。便秘型の過敏性腸症候群に対し使用されますが、腹部膨満感の悪化に注意が必要です。ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル®錠)(※慢性便秘症の適応はなし)などがあります。

浸透圧性下剤

腸内で水分泌を引き起こし、便を柔らかくし、回数を増やす作用があります。塩類下剤、糖類下剤、浸潤性下剤の3種類があり、長期投与によって耐性を生じることがないのが特徴です。酸化マグネシウム(マグミット®錠)は安価であること、用量調節が容易であることから、昔から使用されている塩類下剤です。胃酸の分泌を抑える薬を服用している場合や、胃を切除している場合では効果が弱まる可能性があります。また、高齢者や腎機能が低下している場合には副作用として高マグネシウム血症を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。糖類下剤にはラクツロース(ラグノス®ゼリーなど)があり、腸内細菌に利用されることで、浸透圧を高め排便を促す作用があります。副作用として腹部膨満感が現れることがあります。ルビプロストン(アミティーザ®カプセル)は副作用が少なく、腎機能が低下した人にも比較的安全に使用できますが、空腹時では吐き気が現れやすいため、食後に服用するようにしましょう。

刺激性下剤

腸の蠕動運動を亢進することで排便を促進する作用があります。センノシド(センノサイド®錠)、ピコスルファート(ラキソベロン®液)などがあります。通常は内服後8~10時間ほどで作用が現れるため、寝る前に使用することが多い薬です。効果は強力ですが、長期連用により耐性が起こる可能性があるため注意が必要です。

新しい下剤について

リナクロチド(リンゼス®錠)、エロビキシバット(グーフィス®錠)、ポリエチレングリコール製剤(モビコール®配合内用剤)など、次々と新薬が作られています。

 

便秘薬は症状や目的によって使い分ける必要があるため、薬の選択については医師、薬剤師と相談して下さい。便秘の予防として、まずは食事や適度な運動など、生活習慣の見直しを行うことも大切です。

 

 

2019年09月01日

漢方薬のあれこれ

(この記事は2019年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 東野 公亮

 

確認しよう  ‒漢方薬の飲むタイミングと飲み方‒

飲むタイミング 食前(ごはんの30分前)もしくは、食間(ごはんを食べて2~3時間後)。

※おなかの中が空っぽの状態の方が、漢方薬の効果が発揮されやすいため。
※食後でも服用できる場合があります。かかりつけ医、かかりつけ薬剤師に確認しましょう。

飲み方 水または白湯。

漢方薬は、症状にあわせて選ばれる薬です。(下記は一例です。)

症   状 処方される漢方薬
腹部膨満感、腹痛 など 大建中湯
体力があり、汗が出ない風邪のひきはじめ など 葛根湯
体力低下、夏バテ、全身倦怠感 など 補中益気湯
こむら返り、筋肉痛 など 芍薬甘草湯

 

漢方薬を飲みやすくするコツ

味やにおいが気になる

漢方薬の独特な味やにおいも、治療の大事なひとつとされています。一般的には水または白湯で服用とされていますが、味やにおいが苦手な方は、オブラートに包む、甘いゼリーに混ぜることで、独特な味やにおいを消す方法や、お茶でも服用できます。

顆粒が苦手

顆粒が苦手な方は、1包あたり100cc ~200ccのお湯に入れ顆粒を溶かして服用しましょう。

漢方薬を飲んで、こんな症状が出たら相談

漢方薬にも副作用があります。すべての漢方薬にあてはまることではありませんが、漢方薬服用後、下記のような症状が出たら、注意が必要です。

漢方服用後に特に注意する症状

空咳(痰のない咳)、発熱、労作時の息切れ、顔や手足のむくみ、脱力感、吐気・嘔吐 など

 

漢方薬は歴史のある薬です。上記以外にも症状に合わせて 薬が選ばれますので、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師と 相談し、漢方薬とうまく付き合いましょう。

2019年07月01日