西陣病院だより

骨密度検査だけで終わらせない当院の骨質診断

(この記事は2026年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

放射線科 副主任 小林 拓真

 

「骨密度」「骨質」のダブルチェックを受けて知らないうちにやってくる「いつのまにか」骨折を「あらかじめ」防ぎましょう

 骨粗鬆症は、単に骨がスカスカになるだけでなく、「骨強度が低下して骨折しやすくなる病気」と再定義されました。骨の強さ(骨強度)を決めるのは、「骨密度」「骨質」の2つの要因です。

骨密度(骨強度の70%に関与)
骨のミネラル(カルシウムなど)の量

骨質(骨強度の30%に関与)
骨の微細な構造やコラーゲンの質

※ココがポイント!
 「骨密度が正常だから大丈夫」とは限りません。骨密度が良くても、骨質が劣化していると骨折のリスクが高まってしまいます。骨折予防には、両方のバランスが大切です。

当院の骨密度検査の特徴
「骨質」も同時に評価
 骨密度だけでなく、骨質も同時に測定可能です。
最も精度の高いDXA(デキサ)法を導入
 2種類の異なるX線を使用することで、他の測定方法(超音波やCTなど)に比べて、最も正確に骨密度を測定できます。
安心の低被ばく
 放射線量は胸部のレントゲン撮影と同等、あるいはそれ以下ですので、安心して検査していただけます。 正確な骨折リスクの診断と、お一人おひとりに合わせた適切な予防・治療をサポートいたします。気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください

2026年09月01日

肺炎球菌ワクチンが新しくなりました

(この記事は2026年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

呼吸器内科 副部長
瀬戸 友利恵

 

 

 肺炎は高齢になるほど重症化しやすい病気ですが、肺炎球菌ワクチンによって予防や重症化予防が期待できます。
2026年4月から定期接種のワクチンが新しくなりました。今の流行に合わせたワクチン選びが大切です。

 肺炎は日本人の死亡原因の上位を占める病気で、高齢になるほど重症化しやすくなります。なかでも肺炎球菌は肺炎の代表的な原因菌であり、ワクチンによる予防が勧められています。
  肺炎球菌には100種類以上の「血清型(タイプ)」があり、原因となる血清型は時代とともに変化しています。小児への肺炎球菌ワクチンの普及などにより、以前多かった血清型は減少し、一方で現在は別の血清型が増えています。そのため、ワクチンを選ぶ際には「何種類をカバーしているか」だけでなく、「現在日本で増えている血清型をどれだけカバーできるか」という視点も大切です。
 2026年4月から、65歳の方を対象とした定期接種では プレベナー20® が採用されました。また、任意接種では ニューモバックスNP®、プレベナー20®、キャップバックス® から選択できます。それぞれ特徴が異なるため、年齢や基礎疾患、これまでの接種歴などを踏まえて、適したワクチンを選ぶことが大切です。
  肺炎球菌ワクチンは肺炎を完全に防ぐものではありませんが、重症化や入院のリスクを減らす効果が期待されています。手洗いや口腔ケア、禁煙などの日頃の感染対策もあわせて行うことで、より高い予防効果が期待できます。
 接種するワクチンは、年齢や基礎疾患、これまでの接種歴によって異なります。どのワクチンが適しているか迷われる場合は、お気軽に呼吸器内科へご相談ください。

 
2026年09月01日

ERAS(術後回復能力強化プログラム)についてのご案内

~安心して手術をお受けいただくために~

(この記事は2026年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外科 副部長
多田 浩之

 

 

 手術を受けるにあたり、「痛みは大丈夫だろうか」「早く元の生活に戻れるだろうか」と不安を感じられる方も多いと思います。当院では、患者さんが安心して手術を受け、順調に回復いただけるよう、「ERAS(イーラス)」という取り組みを行っています。今回はそのERASについてお話します。

ERAS(イーラス)とは?

 ERASとは「Enhanced Recovery After Surgery」の略称で、「手術後の回復を早めるための総合的な取り組み」のことです。従来の手術では、「前日からの長い絶食」や「手術後の長期間の安静」が一般的でした。しかし近年の研究により、過度な安静や絶食はかえって体力を低下させることが分かってきました。ERASでは、最新の医学的根拠に基づき、手術前・中・後の各段階で体に与えるストレスを最小限に抑え、本来持っている「治る力」を最大限に引き出すことを目指します。

具体的な取り組み内容

手術前
筋力を落とさないよう、手術の直前まで水分や栄養を適切に補給し、体の飢餓状態を防ぎます。

手術中
体への負担や痛みが少ない麻酔方法を工夫し、最適な手術器具や術式を選択して侵襲を減らします。

手術後
痛みを適切にコントロールしながら、手術当日から翌日には水分摂取や食事を再開し、早期にベッドから離れて歩く練習を始めます。

早期に動くメリット
手術後に早くから体を動かすことで、肺炎や血栓症(エコノミークラス症候群)などの重篤な合併症を予防し胃腸の動きを早く回復させることができます。その結果、筋力や体力の低下を防ぐことができ、早期の退院や速やかな社会復帰が可能になります。

患者さんと医療チームの二人三脚で

 ERASを成功させるための主役は、患者さんご自身です。医師や看護師、リハビリスタッフ、管理栄養士など、病院の全医療スタッフがチームとなって全力でサポートします。ご不安な点や痛みの我慢などは決してせず、いつでもお気軽にお声がけください。私たちと一緒に、安全で安心な早期回復を目指していきましょう。

2026年07月01日

大腸癌について

(この記事は2026年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

消化器内科 医長
兒玉 征也

 


 大腸がんについて日本人の死亡原因の1位は悪性新生物(がん)であり、このうち大腸がんでの死亡率は男女合計で肺がんに続き第2位、女性においては第1位の死因となっています。大腸がんは罹患数(かかる人数)も男女合計で第2位であり、多くの人が治療を受けている一方で、早期発見・治療できれば治る可能性も高いがんです。

 

 大腸がんの5年生存率はステージⅠでは95%と良好ですが、ステージⅣでは20%にまで低下することから早期発見・治療が重要となります。
 早期がんの段階では予後が比較的良好な大腸がんによる死亡率が高い背景として発見の遅れが指摘されています。
 発見の遅れにつながる要因としては無症状期間の長さと検診受診率の低さが挙げられます。大腸がんは初期の段階では症状がなく症状が現れた時にはステージⅢやⅣにまで進行していることが多いことから検診での発見が重要となります。しかし大腸がん検診の受診率は45%と低いのが現状です。

大腸がん検診

 大腸がん検診は、現在40歳以上を対象に1年間隔で便潜血検査2回法を行うことが厚生労働省により推奨されています。
 便潜血検査は、便に混ざった目に見えない微量の血液(ヒトヘモグロビン)を検出する検査で、主に大腸がんや大腸ポリープの早期発見を目的とし2日間の便を採取して調べる2回法が一般的となっています。

大腸内視鏡検査

 便潜血検査が陽性となった場合には、大腸内視鏡検査による精密検査が必要となります。大腸内視鏡検査によってポリープや早期大腸がんを発見できれば内視鏡での治療が可能です。
 大腸内視鏡検査は肛門から細いカメラを挿入し大腸全体の粘膜を直接観察してポリープ、炎症、癌などを診断する検査です。検査時間は15~30分程度で、前日には食事制限と下剤の服用をしていただき当日は約2リットルの腸管洗浄液で腸内を空にしてから行います。
 当院では年間約2000件の大腸内視鏡検査を行なっております。希望に応じて鎮静剤を使用し苦痛を軽減した検査・治療も可能であり、便潜血検査が陽性になった方やそうでなくても便秘や腹痛などがあり大腸がんが心配な方はぜひ一度ご相談ください。

2026年05月01日

健康寿命を延ばしましょう!

(この記事は2025年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

整形外科 医長
瀧 本 真 里




健康寿命の延伸は、今後の医療や地域社会において重要な課題です。
自立した生活を長く維持するための取り組みについて、ご紹介いたします。

 

健康寿命とは

 「健康寿命」という言葉をご存じでしょうか。健康寿命とは、「介護を受けず、自立して健康的に生活できる期間」のことを指します。日本人の平均寿命は年々延びていますが、実はそのすべての時間を元気に過ごせているわけではありません。平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性で約12年とも言われています。この差をできるだけ縮め、元気に歳を重ねることが、人生の質(QOL)を高めるうえでとても重要です。
 整形外科が専門とするのは、骨・関節・筋肉など、私たちの体を支え、動かす「運動器」です。運動器の機能が低下すると、歩く・立つ・座るといった日常の動作が難しくなり、転倒や骨折につながります。特に高齢者の場合、こうしたけがをきっかけに介護が必要になるケースが非常に多く、健康寿命を縮める大きな原因となります。
 整形外科では、適切な治療やリハビリテーションを行うことで、健康寿命の延伸をサポートしています。たとえば、関節の変形や筋力低下に対して運動療法や装具療法を行ったり、必要に応じて手術を選択したりすることで、痛みの緩和と動作の改善を図ります。

 

骨粗鬆症の予防と治療

 また、骨粗鬆症の予防・治療も重要な役割の一つです。骨粗鬆症とは骨がスカスカにもろくなる病気で、背骨や大腿骨などの骨折を引き起こしやすくなります。こうした骨折は寝たきりや要介護状態の大きな引き金になるため、早期発見と継続的な治療が非常に重要です。骨密度検査は、骨の強さを調べるために行う検査で、骨粗鬆症の診断や骨折リスクの評価に役立ちます。DEXA法と呼ばれるX線を用いた検査が一般的で、当院でもこの方法で行っており、腰椎や大腿骨の骨密度を測定します。痛みはなく短時間で終了し、放射線量もごくわずかです。定期的に検査を行うことで、骨の健康状態を把握し、生活習慣改善や薬物治療の効果を確認できます。特に閉経後の女性や高齢者では早めの受診が推奨されます。
 近年では、骨粗鬆症の治療は大きく進歩しています。食事・運動療法に加え、骨の破壊を抑えたり新たな骨の形成を促したりといった効果のある薬剤も登場しています。1週間に1回、あるいは月に1回の内服薬や、注射薬では毎日自分で実施するものから年に1度の通院で済む薬剤もあり、継続しやすくなっています。副作用の管理も進んでおり、患者さん一人ひとりに合った安心・安全な治療が提供可能になってきました。「年だから仕方ない」と諦めず、健康寿命を延ばせるよう、気になる痛みや動かしにくさがあれば、早めにご相談ください。

 

2025年11月01日

もしかしたら骨粗鬆症かも ~自分の骨密度、知っていますか?~

(この記事は2025年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

FLS委員会 看護師
山添 友香

 



知らないうち(無症状)にやってくる『いつのまにか骨折』を防ぐ第一歩

40代は自分の骨量を知るべき年齢

 女性は30代後半から40代半ばで閉経に向けて心身の変化を生じ始めるプレ更年期を迎えます。その頃の自身の骨量を一度知っていくといいでしょう。骨粗鬆症を予防するために、骨量の減少を早期に発見する必要があります。閉経後も定期的に検診を受けて骨量の変化を把握できるといいですね。

検査・診断

 骨評価や骨密度の測定にはDXA(デキサ)法が標準的に用いられています。DXA法はエネルギーの低い2種類のX線を使って骨量を測定する方法です。骨粗鬆症の診断時には大腿骨と腰椎の2つの部位を測定することが推奨されています。当院でもDXAの実施が可能であるため、ご希望の際は整形外科にてご相談ください。

方 法

 検査は専用のベッドに仰向けで寝た状態で行い、腰椎や大腿骨にX線を照射します。検査時間は5~10分と短時間で痛みや不快感はありません。

費 用

全額負担 4,500円 1割 450円、2割 900円、3割 1,350円

骨粗鬆症予防のためにできること

▶カルシウムをしっかりとる
 カルシウムは吸収率が低い上、日本人のほとんどが1日にとっておきたい量に届いていません。意識して色々な食品から摂取しましょう。

▶ビタミンD・Kを補う
 ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素です。自力で作り出すことができないため、日ごろから食事で摂取するようにしましょう。
ビタミンDきのこ・魚介類など
ビタミンK納豆・ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜

▶適度な運動で骨を強くする
 体を動かすことで骨に圧力がかかり、カルシウムが骨に蓄積されやすくなり丈夫な骨が作られます。また筋力がアップし転倒の予防にもなります。

▶たばこをやめる
 ニコチンは胃腸の働きを弱め、カルシウムの吸収を防ぎます。骨量減少を抑える女性ホルモンの分泌も弱めてしまいます。

▶アルコールはほどほどに
 お酒を飲み過ぎると、利尿作用により必要なカルシウムが排泄されてしまいます。1日あたり純アルコール換算量で男性20g、女性10g以下に抑えましょう。

骨粗鬆症を予防して健康な生活を送りましょう!

2025年09月01日

帯状疱疹ワクチン予防接種に、今年度から公的な助成が出るようになりました!

(この記事は2025年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

皮膚科部長
坂元 花景



 ワクチンを接種して、「痛い病気」として有名な帯状疱疹の予防をしましょう。
助成はここ5年間は、年度内に65、70、75、80、85、90、95、100歳となる方が対象です(101歳以上の方は、今年度に限り、全員が対象)。

帯状疱疹ワクチン予防接種について

 帯状疱疹の原因は、過去に水疱瘡にかかった時に体内に入り、潜伏しているウイルス(日本人の成人の9割がウイルスを保有していると言われています)の再活性化です。体の左右どちらかに、痛みを伴う皮疹が帯状に出現し、通常は皮疹が出てから1週間が1番痛く、改善しても1ヶ月ぐらいは痛みが続くことが稀ではありません。また、約2割の方は皮疹治癒後も「ズキンズキンとする」痛みが続きます(これを帯状疱疹後神経痛と呼びます)。
 毎年約60万人が帯状疱疹を発症し、50歳代から発症率が高くなります。発症のピークは70歳代で、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。
 帯状疱疹ワクチンを打っても、100%発症しないわけではありませんが、たとえ発症しても症状が軽く済み、帯状疱疹後神経痛などの後遺症の予防につながります。
  ワクチンには2種類あります。簡単に言うと「高額だけど効果が高く、長く効くもの(京都市助成ありで計36,000円)」「安価だけど効果が低く、持続期間も短いもの( 京都市助成ありで4,000円)」です。それぞれ特徴がありますので、詳しくはご相談いただければと思いますが、70歳以上の方は「安いほう」では効果が低いため、「高いほう」をお勧めします。
 ワクチンは以前からあり、ご家族が帯状疱疹にかかり苦労されるのを間近で見られた方が、ご自分はかかりたくない、と接種を希望されることが多かったです。帯状疱疹に1回かかると、数年はかかりにくくなりますが、2回目を予防するために、かかったことのある方も接種を考えましょう。また、水疱瘡にかかった覚えがなくても、日本人はウイルスを持っていることが多いため、接種をお勧めします。
 帯状疱疹予防接種を希望の方は、体調の良い日に皮膚科を受診してください。在庫があれば当日接種が可能ですが、予約して後日接種となる可能性もありますのでご了承下さい。「高いほう」のワクチンは、2カ月間隔をあけて2回接種となりますので、2回目の接種を年度内に終えるために、今年度の助成対象の方は来年1月までに1回目の接種を受けてください(ややこしいですね)。
 居住している市町村によって助成額は異なり、残念ながら京都市の助成額は少なめですが、めげずに積極的に接種を考えましょう。助成はありませんが、50歳以上の方、またはリスクが高い18歳以上の方も予防接種を受けることができます。

(帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の予防を目的として、)日本皮膚科学会及び日本ペインクリニック学会の双方が帯状疱疹ワクチンの接種を強く推奨しています。

 

2025年09月01日

女性泌尿器をもっと身近に

(この記事は2025年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

腎臓・泌尿器科 医長
中尾 美奈子

 

 女性にとって「泌尿器科」とは?「男性医師・男性患者が多い」「恥ずかしい」「敷居が高い」といった診療科のイメージが強いと思います。しかし実際の診療においては患者さんの約半数は女性です。
 女性医師の割合も 3.5%(2004年)→ 8.9%(2023年)まで増加しているデータがありますし、当院では現在2名の泌尿器科専門医が勤務しております。そんな「女性泌尿器」の領域についていくつかご紹介いたします。

尿失禁

 自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことを「尿失禁」といいます。中年期以降の女性の4割以上が経験しているとされますが羞恥心のため受診されない方がたくさんおられます。腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁、混合性尿失禁など様々な種類に分類されます。
 特に腹圧性尿失禁は出産経験のある女性に多く、QOLを下げる要因となっています。1時間パッドテストで重症度の診断を行い、軽症であれば骨盤底筋体操、体重コントロールや運動などの生活指導、薬物療法(クレンブテロール塩酸塩)、重症であれば手術療法をお勧めします。手術療法は中部尿道を膣壁側から支持することにより腹圧上昇時の尿失禁を防ぐメッシュ手術が広く行われています。

骨盤臓器脱

 膣前壁、膣後壁、膣円蓋(子宮頸部/子宮)または膣子宮摘出後の膣断端の下垂のことを骨盤臓器脱といいます。下垂する臓器によって膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱、膣断端脱などに分類されます。異物感、排尿困難、排便困難などの症状を来し、非常に不快な感覚を覚えます。また膀胱瘤は悪化すると両側尿管狭窄から無尿や尿路感染を繰り返したり、直腸瘤はひどい便秘となることもあります。臥位では 引っ込むものの長時間の立位や歩行や努責などで脱出します。
 診断は視診や内診によるPOP-Qスコアでステージングを行います。軽度であれば骨盤底筋体操やペッサリーリング留置での整復を行います。重度であれば手術療法をお勧めします。手術療法には膣壁形成術やTVM(Tension-free Vaginal Mesh)、腹腔鏡下/ロボット支援腹腔鏡下仙骨固定術(LSC/RASC)があり、年齢や脱出の程度によって手術適応を決定します。
 その他にも膀胱炎や排尿障害など一般的な泌尿器疾患も女性特有の原因が認められることもあります。一つ一つの症状を丁寧に診察し、診療にあたっております。お困りのことがありましたらぜひご相談ください。

2025年07月01日

冠動脈疾患とは

(この記事は2025年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

循環器内科 医長
金子 優作

冠動脈疾患とはどのような病気ですか?

 「冠動脈」は心臓に酸素や栄養を送る血管のことです。この冠動脈の壁の内側にコレステロールや血のかたまりがたまり、血管が狭くなったり詰まったりすると、心臓の収縮を担当する筋肉が酸素不足となり、その働きが弱まるようになります。おおまかに冠動脈が急激に閉塞した状態を「心筋梗塞」、血管が狭くなり、血流が一時的に不十分となる状態を「狭心症」と呼びます。そして、冠動脈にこのような障害が起こった状況を総合的に「冠動脈疾患」と呼びます。心筋梗塞や狭心症では、胸の中心付近が圧迫され締め付けるような強い痛みを感じるのが典型的な症状ですが、みぞおちのあたりに漠然とした痛みを感じることや、のどやあご、左肩や左腕、背中、歯が痛む場合もあります。心臓は眠っている間も休まず全身に血液を循環させている重要な臓器ですので、冠動脈疾患になり心臓の働きが脅かされると、命にかかわることがあります。実際に突然死の原因として、わが国で最も多いのが冠動脈疾患と言われています。

検査について

 実際に冠動脈が狭窄をしているかを確認するためにはいくつかの検査がありますが、「冠動脈CT検査」は(図①)のように、どれくらい狭窄しているかだけでなく、冠動脈の走行や、プラークの性状について評価することができます。当院では2025年5月より最新型320列CT装置が稼働し、これまでの64列CT装置よりも良好な画像をより少ない線量と造影剤量で実現できるようになりましたので、今まで検査が辛かった方にとっても短時間で正確な評価をすることが可能になりました。

△図① 冠動脈CT画像 日本循環器学会ガイドラインより

治療について

 カテーテル治療(PCI)は足の付け根や手首などの血管から、カテーテルという医療用の細く柔らかいチューブを差し込んで、冠動脈の狭くなった部分を治療する方法です。局所麻酔で行えるため、全身麻酔での手術に比べると患者さんの負担は少ないという利点があります。カテーテル先端につけたバルーンで血管を押し広げるバルーン拡張(図②)や、再び冠動脈が細くなるのを予防するためにステントと呼ばれる器具を留め置きする治療があります。非常に硬くなった血管などではこれまでのバルーンだけではうまく治療できない場合もありますが、当院ではこのような従来の治療法では難しい場合でも「ロータブレーター」や「ダイヤモンドバック」、「ショックウェーブ」「DCA(方向性冠動脈粥腫切除術)」といった補助的なデバイスを使用して有効な治療ができる設備が整っており、いろんな方の冠動脈の病状にあわせて安全かつ最適なカテーテル治療が選択できるようにしています。最近胸の症状が気になる場合や、動脈硬化が気になる場合も循環器内科の医師もしくはかかりつけ医に相談していただければと思います。

△図② カテーテル治療の原理
インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラスより

2025年07月01日

当院で新しいCT検査が始まります!

(この記事は2025年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

放射線科より

 この度、放射線科では320列エリアディテクタCT装置「Aquilion ONE / PRISM N-UX Edition(アクイリオン ワン/プリズムナックス エディション)」が稼働し始めました。

 エリアディテクタCTは、0.5mmスライス検出器を320列配置し、1回転で160mmの範囲を撮影可能なCT装置で、主に頭部や心臓検査などにて、鮮明なCT画像を低侵襲(少ないX線被ばくや少ない造影剤量)で取得することができます。また新たに最新の様々なAI技術が搭載されています。これらにより、エリアディテクタCTの有用性はもちろんながら、画像診断の確信度の向上、新たな臨床価値、さらなる低侵襲を実現します。

 心臓検査を例にして、今までのCT(64列CT)とエリアディテクタCT(320列CT)の違いを説明します。
 今まで使用していた64列CTでは、検出器幅が40mmであり、複数回転で撮影するため撮影時間がかかります。その間に不整脈や心拍変動が生じたり、患者さんによっては息止めができず動くリスクがあります。これにより、画像にブレや段差が発生し、診断できないケースが出てきます。また、複数回転で撮影するためX線被ばくは増え、撮影時間がかかるため造影剤量も多く必要です。320列CTでは、検出器幅が160mmのため、1回転で心臓撮影が行えます。これにより64列CTで生じていた様々なリスクに対応でき、良好な画像を簡単に取得できます。64列CTからX線被ばくや造影剤量も大幅に低減できます。

 その他に、本CT装置のガントリ・寝台・操作コンソールの特長として、ガントリの最速回転速度は0.275秒へと向上しています。ガントリ回転速度の向上により、心臓検査や息止めが難しい患者さん、小児検査に対して、さらなる負担軽減や検査成功率の向上が期待されます。ガントリ開口径の大きさも780mmになり、より解放感をもって検査を受けていただくことができます。寝台は天板幅が470mmと腕の挙上が困難な患者さんも安心して腕下し検査が行えます。また寝台には左右に動く機能も搭載されています。操作コンソールは27インチのワイドモニタが採用されており、撮影・画像作成・画像観察までをより迅速に簡便に行う操作性も備わっています。

 近年世間では AI( Artifi cial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス):人工知能)が注目を浴びています。本CT装置にても、このAI技術がCT画像作成や撮影補助のために搭載されています。CT画像作成においては、AIの中の基盤となる技術であるDeep Learning(ディープラーニング)を応用した様々な画像再構成を使用できます。画像のノイズを判断し除去するAiCE(エーアイシーイー)画像再構成、画像の解像度を高めるPIQE(ピーク)画像再構成、動きによるアーチファクトやブレを修正するClear Motion(クリアモーション)画像再構成により、より低侵襲で高品質なCT画像が作成できます。
 今後、放射線科では、新装置をフル活用し、検査の質と快適性をこれまで以上に追求していきたいと考えています。

2025年05月01日