西陣だより

日本列島 ”食” めぐり「山口県」

(この記事は2020年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科  管理栄養士  須惠裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

けんちょう

「けんちょう」は山口県の郷土料理で、別名「けんちょう煮」「けんちょう炊き」とも呼ばれます。元々は精進料理であったものが、いつしか一般家庭でも作られるようになったといわれています。大根と豆腐を炒めて醤油やお酒で味付けしただけのシンプルなものから、具だくさんのものまで、家庭によって具材や味付けは多岐にわたるようです。汁を多めに仕上げる「けんちょう汁」と呼ばれる食べ方もあります。大根の旬には少し早いですが、たんぱく源と野菜がとれるメニューになります。

 

けんちょう 1人分:エネルギー 135kcal たんぱく質8g 塩分1.4g
材料 (4人分) 作り方

●大根 300g(10㎝程度)
●人参 80g(小1本)
●木綿豆腐 300g(1丁)
●油揚げ30g(大1/4枚)
●ごま油 大さじ1
★砂糖 大さじ1/2
★みりん 大さじ1
★濃口醤油 大さじ2
★だし 大さじ2
※油揚げはアレンジで追加しています

 

  1. 豆腐は水切りする。(電子レンジの場合、キッチンペーパー2枚で豆腐全体を包み、500Wで約2分)
  2. 油揚げは5㎜幅の短冊切りにし油抜きしておく。
  3. 大根・人参は5mm幅のいちょう切りにする。
  4. 鍋またはフライパンにごま油を中火で熱し、大根と人参を炒める。
  5. 大根が透き通ってきたら、豆腐を手で大きくちぎって加え、油がなじむまで炒め合わせる。
  6. 油揚げと★の調味料を全て加えてふたをして、弱火で汁気がなくなるまで煮る。

    《他アレンジ例》
    鶏肉、ごぼう、椎茸、里芋、こんにゃく など

 

2020年09月01日

漢方薬について

(この記事は2020年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  主任  牛嶋 麻紀

漢方薬とは?

生薬のうち薬として効くものを、いくつか組み合わせた薬のことです。
「生薬」とは植物を中心に、動物や鉱物を含め天然のものから作られた薬です。すべての漢方薬はこの「生薬」の組み合わせでできています。もともとは中国が数千年の年月をかけて生み出してきた生薬の組み合わせがあり、それを日本の風土、日本人の体質に合わせて独自に発展させて現在の漢方薬となりました。また「漢方」という名前は、江戸時代に日本で盛んになった西洋医学を「蘭方」と言ったことに対し、漢の時代に伝わった東洋医学として「漢方」と名づけたことに由来します。
伝統的な漢方薬は小さく刻んだ生薬を煎じてのむ煎剤ですが、現在、一般的に手に入るものは、ほとんどが煎じ薬を濃縮し、乾燥させ飲みやすくしたエキス剤(顆粒剤、錠剤、カプセル剤)です。
漢方薬を服用するとき、コップ1杯の白湯に溶かして服用すると、本来の形に近い味や香りを再現できます。みなさんのよく知っている「葛根湯」はかぜのひきはじめに処方されることが多いですが、葛根(カッコン)、麻黄(マオウ)、大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)、芍薬(シャクヤク)、桂皮(ケイヒ)などの生薬が含まれています。

それぞれの部位と薬効は?

● 葛根(葛の根)・・・・・・・・・・・・・ 発汗、解熱、鎮痙
● 麻黄(麻黄の茎、枝)・・・・・・・・・ 鎮咳、感冒、関節痛
● 大棗(なつめ実・果実)・・・・・・・・・ 胃腸、鎮痙、滋養
● 生姜(ショウガの根茎)・・・・・・・・ 健胃、感冒、冷え症
● 甘草(甘草の根)・・・・・・・・・・・・・・・ 緩和、鎮痛
● 芍薬(シャクヤクの根)・・・・・・・・・・・ 腹痛、婦人病
● 桂皮(樹皮)・・・・・・・・・・・ 芳香性健胃、発汗、解熱

です。この成分に含まれる葛根や生姜は食材としてもなじみのあるものですね。
桂皮(ケイヒ)はクスノキ科の幹の皮を乾燥させたもので、私たちにとてもなじみ深いものです。洋風のスイーツや、京都の八つ橋のフレーバーなどにも使われている「シナモン」や「ニッキ」といえばわかる方もいらっしゃると思います。この桂皮はお香にも使用されていて、日本人にとても好まれる香りだといわれています。
漢方薬はまずい、苦いというイメージが先行していますが、どの生薬が配合されるかによってひとつひとつ味も違います。体質に合っている処方、体が必要としている処方であれば、比較的服用しやすく、体質に合っていない処方であれば、服用しづらくなると考えられています。
服用しにくい場合、ヨーグルトや服薬ゼリー、水あめにまぜて飲むこともできますが、「濃いお茶」「ジュース」「牛乳」「アルカリイオン水」などは薬の吸収に影響し、効果に影響を及ぼすことがありますので、やめましょう。
漢方薬の成分の多くは、腸内細菌によって、効きやすい形に変えられて効果を表します。そのため、空腹時のほうが、速やかに腸内細菌のいる場所に到達できます。また、人によって腸内細菌の量が違うため、効果の発現の仕方にも個人差があります。漢方薬を飲み続けることで、その成分に作用する腸内細菌が増えてきて、次第に効き目が良くなってきます。
漢方ではどちらかというと、体質改善が得意分野なため、長期にわたって飲み続けることもあります。効き目がないからといってすぐにやめてしまわず、気長に服用を続けましょう。

2020年09月01日

夜間の頻尿で困っていませんか?

(この記事は2020年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

腎臓・泌尿器科 医員
宮﨑 慎也



夜間頻尿とは?
夜間に排尿のため1回以上起きなければならない状態を指します。実際には2回以上の場合が良好な睡眠を妨げるため、それらを治療の対象とすることがほとんどです。夜間頻尿によって骨折のリスクや死亡率が上昇したという報告もあり、適切な治療を必要とすることがあります。
40歳以上の男女で、約4,500万人が夜間1回以上排尿のために起きる夜間頻尿の症状を有し、加齢とともに頻度が高くなります。日常生活における種々の活動に支障を及ぼす一方で、QOL(生活の質)への影響は個人差が大きいため、治療行う際には本人または介護者の希望が重要です。男性では3回以上、女性では4回以上の夜間排尿で支障度が深刻になることが示されています。

原因・検査

多尿(24時間あたりの尿量の増加)、夜間多尿(夜間尿量の増加)、膀胱蓄尿障害(1回排尿量の減少)、睡眠障害が主な要因となります。


ほかに肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病との関連も指摘されています。泌尿器科においては排尿日誌 (排尿時刻と尿量の記載)や残尿、必要に応じて男性の場合は前立腺、女性では骨盤臓器脱などの評価をおこなって、原因に見合った専門的診療を検討します。

治療

夜間多尿が原因の8割を占めており、その場合には夜間の飲水量の見直しやアルコール・カフェイン摂取の中止、塩分制限、ウォーキングなどの運動療法が推奨されています。効果が乏しい男性においては、昨今使用できるようになったホルモン製剤の使用も考慮します。

膀胱蓄尿障害に対しては、悪性腫瘍の合併が無いかの確認をおこないます。前立腺肥大症や過活動膀胱が原因となっている場合には、それぞれの薬物治療を検討します。市販の健康食品やサプリメント類は効果に一貫性があるものがなく、現時点で推奨されるものはありません。

睡眠障害のある方は生活習慣の改善をおこなったうえで、効果が乏しい場合には睡眠薬の使用も検討されます。高齢の方では薬剤の相互作用や副作用に注意して、決められた容量を守って服用することが大切です。夜間頻尿には上述のように、泌尿器科だけでなく内科的な疾患も要因となっている可能性があります。症状の強い方はかかりつけの先生に相談するか、泌尿器科への受診をご検討下さい。

2020年09月01日

大腸がん検診を受けましょう

(この記事は2020年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

消化器内科部長
消化器内視鏡センター長 
稲垣 恭和



 
 日本人の死亡原因の1位は男女ともに「悪性新生物(ガン)」ですが、なかでも大腸がんは年々増加し続け、2016年の統計で罹患数は全がんの中で 1位となり日本人が 1番なりやすいがんとなりました。男性はおよそ11人に 1人、女性は13人に 1人が一生のうちに大腸がんと診断されており、がんによる死亡数については女性では1位、男性でも3位となっています。(出典:人口動態統計2018年(厚生労働省))

 

大腸がんの症状

進行した大腸がんは便秘、腹痛および血便などの症状で発見されることが多いですが、早期のがんではほぼ無症状です。そのために症状のない状態でのがん検診が望まれます。

大腸がんと生活習慣の関連

生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因として、喫煙、飲酒、肥満および加工肉の摂取などが挙げられています。一方で、運動やコーヒーなどが大腸がんの発生を抑制する可能性のある因子とされています。これらのことに気を付けて規則正しい生活を送ることで大腸がんを予防していきましょう。

 大腸がん検診

大腸がん検診は40歳以上の方は毎年の受診が日本の厚生労働省より推奨されています。
検診では便中のわずかな血液を検出することができる便潜血検査が行われています。大腸がんはもろく血が出やすいため、便に微量に混入する目に見えない血液を検出します。便の採取は自宅で行う事が出来ます。便の表面を採便用の棒でまんべんなくこすり採取します。食事制限の必要もない簡単な検査です。
検診受診者の実に約7%の方が陽性となります。陽性の方は、大腸がんの疑いがありますので精密検査として大腸内視鏡検査が必要となります。検診陽性の方の約3%に大腸がんが見つかります。それでも検診陰性の方よりは何十倍も大腸がんである可能性が高いので検診陽性となれば大腸内視鏡検査が必要です。進行したがんでも毎日便に血が混入するわけではなく血が混入しないこともあり、そのような日の便であれば検査は陰性となってしまいます。ですから検診は必ず2日分の便を提出し、また毎年続けて受けることが重要です。
大腸がん検診で発見されるがんは60%以上が早期がんです。検診で発見される大腸がんは症状がでてから病院を受診し発見されるがんよりも早期に発見されることが多いため、治癒率も高いことがわかっています。大腸がんは、早期であれば90%以上が完治します。要精密検査となった場合には、必ず検査をお受けください。

大腸内視鏡の進歩

大腸内視鏡検査は、お尻から太さ 1cm 強の内視鏡を入れて大腸を調べる約 20~30分くらいの検査です。痛みを伴うこともありますが、細いカメラを使ったり、ベテラン内視鏡医がカメラの扱いを工夫することで軽減でき、希望があれば麻酔をしながら行うことも可能です。また大腸内視鏡治療の進歩は著しく、従来は外科治療が必要であったがんに対しても内視鏡で切除ができるようになってきています。大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) は近年発達した手技で、20mm 以上の大きな腫瘍でも切除することが可能であり、当院でも2013年より導入し良好な成績を得ています。

2020年09月01日

日本列島 ”食” めぐり「和歌山県」

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科  管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

 

~ 茶がゆ ~

 和歌山県には茶がゆを食べる習慣があります。耕地に恵まれなかった紀州では、少量のお米でも満足感を得られる茶がゆが常食として食べられるようになったことに起因しています。紀州では、おかゆといえば、ほうじ茶で炊いた茶がゆのことを言い、各家庭それぞれのこだわりの炊き方があるそうです。冬は温かいものを、夏は冷やしたものを食べることが多く、梅干しや漬物との相性も良いです。茶がゆの香ばしさとサラサラとした喉越しは、蒸し暑い真夏の京都で食欲が落ちてしまっている方にもおすすめです。

 

●茶がゆ 1人分: エネルギー168kcal たんぱく質2.5g
材料 (2人分) 作り方

ごはん 200g (米2/3合分)
ほうじ茶の葉 大さじ3 (だしパックに入れる)
水 600ml

  1. ごはんをざるに入れ、米粒をつぶさないように流水でよく洗う。
  2. 鍋に水を入れて火にかけ、泡が出始めたら、だしパックに入れたほうじ茶葉を加えて煮出す。十分にお茶が出たら、茶葉は取り出す。
  3. 沸かしたお茶の鍋に洗った1.のごはんを入れ、吹きこぼれないように蓋をずらして置いたら約20分炊きます。
    ごはんが十分に水を吸ってやわらかくなったら、蓋をきっちりしめて火を切り約10分蒸らす。

 

 

2020年07月01日

医薬品副作用被害救済制度

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 辻 芙美

 本来、薬は病気を治す目的で服用しますが、目的以外の望ましくない作用 =「副作用」が出てしまう事があります。薬の副作用により重篤な健康被害を受けられた方に対し、救済を行う制度がありますのでご紹介します。

医薬品副作用被害救済制度とは?

医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用により入院が必要になるほどの重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や医療手当、障害年金などの給付を受けることができる公的な制度です。

 

副作用により下記の状態になった場合に対象となります。
 ①医薬品等の副作用によって、入院またはやむを得ず自宅療養が必要
 ②日常生活が著しく制限される程度の障がい
 ③死亡

ただし、下記の場合などは、対象外になります。
 ①法定予防接種を受けたことによるものである場合
 ②がんその他の特殊疾病に使用される医薬品等で厚生労働大臣の指定するもの
 ③医薬品等の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品等の不適正な使用によるもの

 

ここで重要なのは、「適正に使用した」ということです。添付文書に記載されている用法用量及び使用上の注意に従っていることが基本です。自己判断で医薬品の量を多く服用した場合や、家族に処方された医薬品を同じ症状があるからと、自己判断で服用し発症した場合などは、適正使用とは認められません。

 

請求の方法
健康被害を受けた本人またはその遺族が、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に請求書に、健康被害が副作用によるものであることを証明する書類(医師の診断書、投薬証明書、受診証明書等)を添えて郵送します。

支給の可否
請求書や書類等を基に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で審議され、厚生労働大臣の判定結果をもとに決定されます。救剤給付の決定に不服があるときは、厚生労働大臣に対し、審査申立てをすることができます。

 

医薬品副作用被害救済制度の詳細は、PMDAのホームページをご覧ください。
この制度や副作用など、気になることがあれば、お気軽に薬剤師にご相談ください。

2020年07月01日

西陣病院と同一法人の「にしがも透析クリニック」をご紹介させていただきます

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 にしがも透析クリニックは、弘法さんとご縁のある神光院や五山送り火のひとつ「舟形」がある、北区西賀茂という静かな環境のもと、平成22年(2010年)4 月1日に開設しました。維持透析の治療を主な診療とした、高齢者透析にも対応可能な無床診療所です。

 現在、医師2名、看護師6名、臨床工学技士3名、事務員1名が在籍し、西陣病院や併設のにしがも舟山庵(特別養護老人ホーム)、在宅療養支援に携わる地域の先生方や看護師、ケアマネージャーの方たちと連携し「安定した維持透析と穏やかで自立した日常生活への支援」を目標に日々の診療を行っています。

 クリニックだからこそ実践できる「患者さんに寄り添う」を大切に、日々の体調管理やフットケア、ご家族へのケア、在宅や施設での看取りにも対応していますので、にしがも舟山庵に入居されている透析患者さんもたくさん通院されています。お近くにお住いの方、長期透析の方、ご高齢の方、また、通院に不安のある方には送迎タクシーの利用も可能ですので、施設見学や転院のご相談などお気軽にお問合せ下さい。

 

にしがも透析クリニック 院長 青木 正 職員一同
TEL:075-495-1131

 

2020年07月01日

新しいMRI装置が稼働し始めました

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

放射線科:主任
宇野 正人

 5月14日より、新しいMRI装置が稼働し始めました。新装置には、これまでなかった3つの特長があります。

 1つ目は、人工知能(AI)を用いて画像上のノイズを取り除く高画質化技術です。一般的に、MRIは、高画質を求めると検査時間が延長し、短時間を求めると画質が劣化するという大原則があります。しかし、このAI技術を用いることで、以前よりも短時間で高画質な画像が得られ、患者さんに負担をかけることなく画像診断の質を向上できます。

 2つ目は、トンネル内に映像を投影し開放的な空間を提供するバーチャル映像技術です。従来のMRIは狭く暗いトンネルの中で寝る必要がありましたが、この映像技術によって、トンネル内を景色の映像で包み込み閉塞感を軽減できるようになりました。実際に検査を受けた患者さんからは「広く感じた、テレビCMでも見た」等コメントも多数寄せられています。

 3つ目は、造影剤を用いない非侵襲的な血管検査です。一般的に、血管検査の多くは造影剤を必要としますが、副作用の問題があるため腎臓が悪い患者さんでは造影剤を使用できません。新装置の非造影血管検査では、腎機能に左右されずに検査が行え、当院の血管検査に新しい選択肢が増えました。

 今後、放射線科では、新装置をフル活用し、MRI検査の質と快適性をこれまで以上に追求していきたいと考えています。

2020年07月01日

看護部長就任のご挨拶

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 看護部長 佐伯  昭子


 

 

この度、2020年4月1日付けで西陣病院看護部長に就任しました佐伯昭子です。

 私は平成2年に当院に入職し、平成16年に副部長に就任、透析センター科長、医療安全室長、ベッドコントローラーを兼務後本日にいたります。当院看護部は看護師と、看護補助者の約330名のスタッフがおります。病院の拡充とともにスタッフ数も増え、近年は、出産後も継続してくれる子育て世代が三分の一を占めるようになり各層が厚くなってきました。看護部の理念は「私たちはその人らしさを尊重した看護を提供し、自立を支援します」と掲げています。今年の看護部の目標はその人らしさに注目し、気づきを大事にしたいと考えています。超高齢化・多様化社会の中、患者さん・御家族の悩みは疾病のことだけにとどまりません。声にだされることだけを捉えるのでなく、観察力、洞察力、コミュニケーション力をフルに発揮して憶測にならない看護ケアを行いたいと思います。また、「レジリエンス」(状況に合わせて柔軟に対応できる力と心)を兼ね備えたスタッフ教育を目指し、「倫理的ジレンマ」にある、治療・看護ケア時におこる葛藤に目をそむけず、多くの人達とカンファレンスを重ね、柔軟な思考でケアを行える組織づくりをしたいと思います。
 そして国は、国民の健康寿命を延ばす取り組みを推進しています。皆様の健康を支えるために、糖尿病、腎不全、皮膚・排泄ケア分野のスペシャリストナースによる看護師外来を充実させ、開業医の先生方と共に地域の方々の健康増進に貢献できるよう努力してまいりたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2020年07月01日

大動脈弁狭窄症とは

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

内科 医長
前田 英貴



大動脈弁狭窄症とは、大動脈弁の開口部が狭くなり左心室から大動脈への血流が阻害される弁膜症疾患です。狭窄が軽度のうちは自覚症状がほとんどなく、高度な狭窄となり症状が現れてから、初めて見つかるケースが少なくありません。

 無症候の期間は長く続きますが、狭窄が進行すると心臓に負担がかかり動悸や息切れ症状が出現し、重症例では胸痛や失神、突然死を引き起こす可能性もあります(図①)。

最近は加齢に伴う弁の石灰化が原因のものが多く、高齢化が進む日本でも患者さんの数は増加し続けています。2017年の段階で60-74歳の2.8%、75歳以上の13.1%が大動脈弁狭窄症になっていると言われており、決して珍しい病気ではありません。

 大動脈弁狭窄症は症状と心臓の聴診で疑うことができ、心臓超音波検査(心エコー検査)で簡単に診断と重症度を評価することができます。狭窄が軽度から中等度のうちは、心臓の負担を和らげる薬物治療を行いながら、定期的な心エコー検査で進行の有無を観察していきます。根本的な治療法は、いよいよ狭窄が重症まで進行した場合に行われる、開胸手術による大動脈弁置換術(SAVR)です。しかし、開胸手術は体への負担が大きく、高齢者や体力が低下した手術リスクの高い患者さんに対しては、手術が困難となることが課題となってきました。そこで注目されているのが経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)です。カテーテルに沿って折りたたまれた人工弁を運搬し、大動脈弁に留置してくる治療です(図②)。

 SAVRと比較して体への負担が少なく、カテーテル挿入部の小さな傷で済む、入院期間が短い等のメリットがあります。手術リスクが高い患者さんにおいて、術後5年の成績でTAVIが従来のSAVRに劣らないことが証明されています。日本では2013年10月に保険適応されて以降、技術や機器の進歩に伴い身近な治療になりつつあります。これまで治療を諦めざるを得なかった高リスクの患者さんでも、治療を受けることができる時代になっているのです。

 大動脈弁狭窄症は正しく診断し、治療できるタイミングを逃さないことが重要です。当科では大動脈弁狭窄症の診断と評価を行うことが可能です。薬物治療を行いながら、患者さんとご家族の意思を尊重した上で、適切なタイミングでSAVR、TAVI共に治療実績のある病院へ紹介させていただきます。最近胸の症状が気になる場合や大動脈弁狭窄症をはじめとする弁膜症疾患でお困りのことがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

2020年07月01日