(この記事は2026年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 薬剤師 楠 斐未
感染症にかかった時、処方されることが多い薬の一つに抗菌薬があります。抗菌薬とは細菌の増殖を抑えたり殺したりする薬を指します。病院や薬局で「抗菌薬は飲み切ってくださいね」と言われたことはありませんか?
飲み切らないと感染症のぶり返しや薬剤耐性菌出現の恐れが
症状が落ち着いてくると「もう治った!」と思い自己判断で薬をやめてしまう人がいます。しかしこれは実はとても危険な行為です。この時点では、まだ体内に生きた細菌が残っており、再び増殖することで感染症をぶり返してしまう恐れが高まってしまうからです。また、生き残った細菌は薬に対して抵抗力をもち、抗菌薬が効きにくい状態になることがあります。このような細菌を薬剤耐性菌と呼びます。薬剤耐性菌が出現すると、同じ抗菌薬では期待する効果が得られなくなってしまうため、使用できる抗菌薬が少なくなってしまいます。
他者へ感染する可能性も
完全に細菌をやっつけずに薬をやめてしまうと、体内に残った菌が他者へ感染するリスクが高くなります。もしその菌が薬剤耐性菌だった場合、新たに感染した人の治療が難航するかもしれません。
飲み切ることが大切です!
抗菌薬を飲み切ることは自分の感染症を治すだけではありません。抗菌薬を指示通りに服用することは、周りの大事な人を守ること、社会全体を守ることにも繋がります。
抗菌薬の中止を考慮すべき主な症状
飲み切ることが大切な抗菌薬ですが、副作用が疑われる場合は中止を考慮しなければなりません。次のような症状が出た場合には、すぐに服用を中止し病院を受診しましょう。
- 発疹・かゆみ・蕁麻疹
- 呼吸困難・瞼や唇の腫れ
- 水のような激しい下痢や血の混じった下痢
- 高熱・のどの痛み・関節痛などの全身症状