西陣病院だより

季節の”食”めぐり

(この記事は2026年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 

当院ではウナギを使った「うざく」を行事食の一品として提供しています。

 土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の直前にある約18日間の期間を指し、丑の日とは、十二支で数えたときに「丑」に あたる日のことです。土用の期間中に巡ってくる丑の日を「土用の丑の日」といいます。
 昔からこの日は、体に力をつけるために うなぎを食べる風習があります。うなぎにはビタミンが多く、夏バテを防ぐ食べ物として親しまれてきました。
 また、丑(うし)にちなんで、「う」のつく食べ物(うどん・梅干し・うりなど)を食べるとよいとも言われています。季節の変わり目を元気に乗り切るために皆様のご家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか。

2026年07月01日

夏の熱中症とお薬

(この記事は2026年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 寺崎 真帆

 

 熱中症は屋外だけでなく、家の中でも起こります。実は普段飲んでいるお薬が、暑さや脱水に影響することも。今回は夏に気をつけたい“お薬と熱中症”の関係をご紹介します。

 「熱中症=炎天下で起こるもの」と思われがちですが、実は室内や夜間にも多く発生しています。特に高齢の方は、暑さやのどの渇きを感じにくくなるため、気づかないうちに脱水が進んでいることがあります。
 また、熱中症対策というと「水分補給」が有名ですが、実は“お薬”も関係することがあります。例えば、血圧や心不全などで使われる「利尿薬」は、尿を出しやすくするお薬です。大切なお薬ですが、汗をかく夏場は体の水分が不足しやすくなり、脱水につながることがあります。
 また意外かもしれませんが、一部の風邪薬やアレルギーのお薬には、“汗を出にくくする作用”をもつものがあります。汗は体温を下げる大切な働きをしているため、汗をかきにくいと体に熱がこもりやすくなります。「汗をかいていないから安心」と思う方もいますが、暑い場所にいるのに汗が少ない時は、かえって注意が必要な場合があります。
 熱中症予防で大切なのは、「のどが渇く前」に少しずつ水分をとることです。特に起床後や入浴前後、寝る前は水分不足になりやすいため、意識して飲むようにしましょう。我慢せずエアコンを使用し、無理をしないことも大切です。また、大量に汗をかいた時は、水分だけでなく塩分補給も必要です。ただし、心臓や腎臓の病気などで水分・塩分制限がある方は、自己判断せず医師の指示に従ってください。
 そして一番大切なのは、「お薬を勝手にやめないこと」です。食事や水分が取れない時、発熱や強いだるさが続く時は、早めに医師や薬剤師へ相談しましょう。お薬とも上手につきあいながら、暑い夏を元気に乗り切りましょう! 

2026年07月01日

認知症の人とのかかわり方

~ご家族の心が楽になる コミュニケーション方法~

(この記事は2026年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 認知症看護認定看護師
草川 千恵

「また同じこと聞いて」「何で分からないの!」

 認知症の方を介護する中で、このような言葉をつい口にしてしまったことはありませんか。ダメだと頭で思っていても、「つい感情的になり言ってしまう」と悩むご家族は少なくありません。認知症のご本人さんも、このような言葉がけにますます興奮したり、反対に落ち込んだりされることがあります。
 しかし、ちょっとした心がけで、お互いの関係は穏やかで温かいものとなるはずです。そこで今回は、認知症の方とかかわる上での注意点をお伝えしたいと思います。

かかわり方のポイント

      1. 「否定」ではなく「受容」の姿勢で

        認知症の方の言葉や行動を否定することは、自信を失わせたり、混乱や不安につながってしまいます。「それは違うでしょ!」と否定せず、「そうやね」「そう思うのですね」と、まずは相手の感情を受け止めましょう。

      2. 非言語的なコミュニケーションを大切にする

        穏やかな表情と優しいまなざし、アイコンタクト(目線を合わせる)、タッチング(優しく触れる)を活用しましょう。

      3. 一つの声かけで一つの行動を促す

        認知症の方へ一度にたくさんの情報を伝えてしまうと、それを処理しきれず、混乱してしまいます。

        NG例:「歯を磨いてから、トイレして、ベッドに行ってね」

        OK例:「まず歯を磨いてね」▶歯磨き後「次はおトイレに行きましょう」▶トイレ後「ベッドで寝ましょう」

ご家族の心を守るために

 ご家族が無理しすぎてしまうと、心も体も疲れてしまいます。認知症の介護は「頑張りすぎない」「抱え込まない」「弱音を吐いてもいい」「比べない」ことが必要です。ご家族が自分自身を大切にすることにより、心の余裕ができて、認知症の方への優しさにもつながってきます。

2026年07月01日

看護部長就任のごあいさつ

『自分らしく生きる』を支えるために、その人に寄り添った看護を実践します

(この記事は2026年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

看護部長
認定看護管理者
金澤 佳織




  私たちが目指す看護は、患者さんの「その人らしさ」を尊重し、日々の気づきを大切にすることです。患者さんに最も近い存在である看護師として、フィジカルアセスメントはもちろん、生活背景にも目を向け、患者さんの真意やニーズを的確に捉えることが私たちの使命であると考えています。

 

 今年度は、改めて「寄り添うこと」について深く向き合い、「その人らしく生きる」を支える看護の実践を看護部目標に掲げました。患者さんやご家族の変化にいち早く気づき、関心を寄せて「今、何が必要なのか」を常に問い続けます。相手の立場に立って共感し、配慮を欠かさず、起こりうる現象にしなやかに対応できる看護を提供していきたいと考えています。
 超高齢化・多様化が進む社会において、患者さんやご家族の悩みは病気のことだけにとどまりません。言葉として発せられることだけでなく、観察力、洞察力、コミュニケーション力を最大限に発揮し、憶測に基づかない的確な看護ケアを目指します。
 また、困難な状況にも柔軟に対応できる心と力、すなわち「レジリエンス」を備えたスタッフの育成に注力します。治療やケアの過程で生じる「倫理的ジレンマ」や葛藤から目を背けず、多職種でカンファレンスを重ね、柔軟な思考で最善のケアを追求できる組織づくりを推進してまいります。

2026年07月01日

ERAS(術後回復能力強化プログラム)についてのご案内

~安心して手術をお受けいただくために~

(この記事は2026年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外科 副部長
多田 浩之

 

 

 手術を受けるにあたり、「痛みは大丈夫だろうか」「早く元の生活に戻れるだろうか」と不安を感じられる方も多いと思います。当院では、患者さんが安心して手術を受け、順調に回復いただけるよう、「ERAS(イーラス)」という取り組みを行っています。今回はそのERASについてお話します。

ERAS(イーラス)とは?

 ERASとは「Enhanced Recovery After Surgery」の略称で、「手術後の回復を早めるための総合的な取り組み」のことです。従来の手術では、「前日からの長い絶食」や「手術後の長期間の安静」が一般的でした。しかし近年の研究により、過度な安静や絶食はかえって体力を低下させることが分かってきました。ERASでは、最新の医学的根拠に基づき、手術前・中・後の各段階で体に与えるストレスを最小限に抑え、本来持っている「治る力」を最大限に引き出すことを目指します。

具体的な取り組み内容

手術前
筋力を落とさないよう、手術の直前まで水分や栄養を適切に補給し、体の飢餓状態を防ぎます。

手術中
体への負担や痛みが少ない麻酔方法を工夫し、最適な手術器具や術式を選択して侵襲を減らします。

手術後
痛みを適切にコントロールしながら、手術当日から翌日には水分摂取や食事を再開し、早期にベッドから離れて歩く練習を始めます。

早期に動くメリット
手術後に早くから体を動かすことで、肺炎や血栓症(エコノミークラス症候群)などの重篤な合併症を予防し胃腸の動きを早く回復させることができます。その結果、筋力や体力の低下を防ぐことができ、早期の退院や速やかな社会復帰が可能になります。

患者さんと医療チームの二人三脚で

 ERASを成功させるための主役は、患者さんご自身です。医師や看護師、リハビリスタッフ、管理栄養士など、病院の全医療スタッフがチームとなって全力でサポートします。ご不安な点や痛みの我慢などは決してせず、いつでもお気軽にお声がけください。私たちと一緒に、安全で安心な早期回復を目指していきましょう。

2026年07月01日