西陣だより

食物アレルギーとお薬

(この記事は2022年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師 植村 有加

お薬には、食物に由来する成分が含まれていることがあり、食物アレルギーがある方は注意が必要です。
今回は、食物アレルギーとお薬の関係をご紹介します。

食物アレルギーとは?

特定の食物を摂取することにより免疫システム(体が物質を排除する機能)が過敏に働き、体に不利益な症状が現れることです。

不利益な症状とは?

皮膚症状
→ 蕁麻疹、かゆみ、赤み

呼吸器症状
→ せき、呼吸困難

粘膜症状
→ 唇やまぶたの腫れ、鼻水

消化器症状
→ 嘔吐・吐き気、下痢

※ 血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態(アナフィラキシー)になることもあります

食物アレルギーがある方が、服用できない医薬品のご紹介

鶏卵由来の成分を含む医薬品(塩化リゾチームや卵黄レシチンを含む
● 市販のかぜ薬や鎮咳去痰薬(コンタック・ルル・パブロンなど)
● 市販の目薬(スマイル40など)
● 手術時に使用する鎮静剤(プロポフォールなど)
● インフルエンザワクチン

 

牛乳由来の成分を含む医薬品(カゼインや乳糖を含む)
● 下痢止めのタンニン酸アルブミン製剤
● 整腸剤(ラックビー、耐性乳酸菌散など)
● 食事がとれない時の栄養剤(エンシュア、ラコールなど)
● 肝臓病に用いる栄養剤(アミノレバンEN)
● インフルエンザ治療薬(イナビル、リレンザ)
● 喘息治療薬(シムビコート、レルベアなどの吸入薬)

 

その他
ゼラチンは、医薬品の添加物やカプセルの原材料として非常に多く使用されています。

 

※ 今回は、紙面の都合上、全てのお薬を掲載していません。必ず、お薬を服用する前や手術などを受ける時には、食物アレルギーについて、医師や薬剤師に伝えてください。食物などによるアレルギーを起こした経験があったり、起こしたりした時には、「お薬手帳」に「アレルギー歴」を記載し、医師や薬剤師に見せてください。ドラッグストアなどでお薬を購入される際にも、心配な点があれば、薬剤師にご相談ください

2022年03月01日