西陣病院だより

日本列島 ”食” めぐり「岐阜県」

(この記事は2022年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

鶏ちゃん

 鶏ちゃん(けいちゃん)とは、岐阜県の郷土料理の一つで、鶏肉に醤油や味噌をベースにニンニクや生姜などで下味を付け、キャベツやもやしなどの野菜と共に鉄板で炒めた料理のことです。戦中から戦後、下呂や郡上の田舎で、卵を産まなくなった採卵用のニワトリを食べたことが始まりと言われています。食肉が手に入りにくかった当時、「鶏ちゃん」は貴重な料理であり、盆や正月、親族の集まりや来客があるときなど、特別な時に振る舞われたそうです。

(1人分)エネルギー 329kcal/たんぱく質21g/塩分2.1g

材料 (2人分) 作り方

●鶏もも肉・・200g
●キャベツ・・ 150g
●もやし・・ 100g
●しいたけ・・ 4個
●サラダ油・・ 大さじ1
●小ねぎ(小口切り)・・ 適量

<みそだれ>
●料理酒・・ 大さじ2
●みそ・・ 大さじ1
●しょうゆ・・ 小さじ1
●砂糖・・ 小さじ1
●すりおろしニンニク・・ 小さじ1

① しいたけは軸を切り落とし、薄切りにする。
② キャベツはざく切り、もやしはさっと水で洗ってから水気を切っておく。
③ 鶏もも肉は一口大に切る。
④ ボウルにみそだれの材料を入れ、混ぜ合わせる。
➄ ④に③を加えて揉み込み、冷蔵庫で1時間ほど味がなじむまで浸ける。
⑥ 中火で熱したフライパンにサラダ油をひき、➄、②を入れて5分程焼く。
⑦ 鶏もも肉に火が通ったら①を加え、中火で炒め合わせ、キャベツがしんなりしたら火から下ろす。
⑧ 器に盛り付けて小ねぎを散らして完成。

 

2022年03月01日

日本列島 ”食” めぐり「青森県」

(この記事は2022年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 井尻 柊人

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

けの汁(粥の汁)

青森県の津軽地方の代表的な郷土料理です。米が貴重だった時代に刻んだ具材を米に見立てて食べたとされています。もともとは小正月の料理で、正月に家族の世話や来客対応に追われた嫁が小正月に里帰りする際、男衆のためにつくりおきしたもので、栄養豊富な保存食として、凍りついた汁を崩し温めなおして何日も食べたとされています。

(1人分)エネルギー 280kcal/たんぱく質21g/塩分1.8g

材料 (2人分) 作り方

●大根 100g(中1本)
●人参 60g
●ごぼう 35g
●わらび、ふき水煮 50g(山菜ミックスでも可)
●油揚げ 15g
●高野豆腐 20g
●大豆 60g(水煮または蒸し)
●昆布 15g
●水 500cc
●赤味噌 20g

①昆布を1~2時間ほど水に浸しだしを取ります。わらび、ふきの水を切り、高野豆腐を水で戻しておく。
②大豆はすり鉢で、細かくすりつぶす。
③ごぼうはささがきにして、わらびは2cm程度の長さに切り、だしを取った昆布、大根、人参、高野豆腐、ふき、油揚げは1cm角に切る。
④だし汁を入れた鍋に大根、人参、ごぼうを入れて、火にかけ、じっくりと煮る。火が通ったら、昆布、高野豆腐を入れ、混ぜる。
➄煮立ったら②のすりつぶした大豆を入れてひと混ぜし煮こむ。味噌を溶き入れ、わらび、ふきと油揚げを入れてさらに煮込んだら完成。

 

2022年01月01日

日本列島 ”食” めぐり「佐賀県」

(この記事は2021年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 安井 裕香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

呉豆腐(ごとうふ)

呉豆腐とは佐賀県有田町の郷土料理で、プルプルでもっちりとした食感が特徴の豆腐です。豆腐を作る際、水に浸した大豆を石うすですり潰し、圧力鍋で煮た状態を「呉(ご)」といい、それを絞り豆乳とおからに分けられます。一般的な豆腐は、豆乳ににがり等を加え固めますが、呉豆腐は葛粉やでんぷんを加え固められます。精進料理としてお盆などの行事で食されていたものが、普段の食卓にのぼるようになったようです。

(1人分)エネルギー 160kcal/たんぱく質5.5g/塩分1.1g

材料 (4人分) 作り方

<呉豆腐>
●無調整豆乳 200g
●片栗粉 大さじ2+1/2
●塩 ひとつまみ

<味噌だれ>
●麦味噌 大さじ1
●砂糖 大さじ1/2
●みりん 大さじ1
●白ごま 大さじ1

①鍋に豆乳、片栗粉、塩を入れ、片栗粉がだまにならないようによく混ぜ合わせる。
②片栗粉がとけたら、混ぜながら弱火~中火で加熱する。
③湯気が立ってきたら、弱火にし、木べらですくい上げて、ぽてっと落ちる程度に練り上げる。
④ラップで2等分に丸く包み、冷蔵庫で冷やす。
➄味噌だれの材料を鍋に入れ、煮立てる。
⑥冷やし固めた呉豆腐を器に盛り、味噌だれをかける。

 

2021年11月01日

日本列島 ”食” めぐり「岡山県」

(この記事は2021年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 竹島 綾香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

アミ大根

アミ大根とは、サクラエビの仲間である「アキアミ」と大根を炊き合わせた岡山の郷土料理です。「アキアミ」は「秋にまとまって獲れるアミに似たエビ」という意味からこの名前がついたといわれており、岡山県では「アミ」と呼ばれています。傷みやすいため、生のまま出回ることは少ないようですが、スーパーでは干しえびとしてよく見かけます。冬に向けてみずみずしく甘味が増す大根を、アミからでる上品なだしの味で楽しんでみてはいかがでしょうか。

(1人分)エネルギー 48kcal/たんぱく質2.3g/塩分1.1g ※煮汁は1/2量で計算

材料 (4人分) 作り方

●大根 400g
●アミ(干しえび) 10g
●醤油 大さじ3
●酒 大さじ2
●みりん 大さじ2
●砂糖 大さじ1
●水 300ml

①大根は皮をむいて、1.5cm厚に切る。
②鍋に水、調味料と大根を入れ、火にかける。
③沸騰したら、アミを入れ、落し蓋をして弱火で大根が軟らかくなるまで煮る。

 

2021年09月01日

日本列島 ”食” めぐり「三重県」

(この記事は2021年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 森田 美耶

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

盆汁

「盆汁」とは7種類の夏の旬野菜を入れたみそ汁です。江戸時代から三重県の禅宗の家庭で、お盆に殺生してはいけないとされていることから、カツオ節や煮干しの出汁を使わず食べていたのが始まりです。別名「七色汁(なないろじる)」と言います。食べ方は家庭によってお盆の八月の「朝の3日間」「14日か15日の昼」「16日の朝」などまちまちのようですが、精霊さんに「盆汁」を供えて、家族みんなでいただくのが習わしです。

(1人分)エネルギー 300kcal/たんぱく質3.2g/塩分1.4g

材料 (1人分) 作り方

●茄子 100g(中1本)
●南瓜 80g
●人参 30g(1/4本)
●さやいんげん(ささげ)30g(3本)
●里芋 50g(中1個)
●油揚げ 小1枚
●みょうが 15g(中1個)
●水 600cc
●赤みそ 大さじ2

① 茄子,南瓜,さやいんげん,人参,里芋,油抜きをした油揚げは食べやすい大きさに切る。
  茄子は切った後、水に浸けておく。みょうがは輪切りにして水に浸けておく。
② 鍋に水を入れて、沸騰したら南瓜,里芋を先に入れ、柔らかくなったら人参,茄子,さやいんげん,油揚げを入れる。
③ 具材に火が通ったら味噌を溶かし入れる。
④ 器に盛り、最後にみょうがをのせる。

 

2021年07月01日

日本列島 ”食” めぐり「神奈川県」

(この記事は2021年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

けんちん汁

「けんちん汁」は、神奈川県鎌倉市にある建長寺(けんちょうじ)の修行僧が作っていた、たっぷりの野菜に豆腐をくずし入れて作る汁物料理が始まりです。この料理が評判で「建長寺汁」と呼ばれるようになり、後に「けんちん汁」に転じたと言われています。(他にも諸説あります)元来は精進料理なので肉や魚は加えず、だし汁も鰹節や煮干ではなく、昆布や椎茸から取ったものを使います。

(1人分)エネルギー 140kcal/たんぱく質5.7g/塩分1.1g

材料 (2人分) 作り方

●大根 50g
●人参 50g
●里芋 50g
●ごぼう 50g
●油揚げ 1/3枚
●青ネギ (小口切り) 適量
●ゴマ油 大さじ1/2
●だし汁 400cc (できれば昆布だし)
●酒 大さじ1
●薄口醤油 大さじ1/2
●塩 少々

① 油揚げは1センチ幅に切り、大根・人参は皮を剥き乱切り、ごぼうはたわしなどで泥を落としてから乱切りにしておく。
② 里芋は皮を剥いて塩をこすり付けてぬめりを出し水で洗って乱切りにしておく。
③ 鍋にごま油を熱し、まず大根、人参、ごぼう、里芋を入れ1分炒める。
④ ③にだし汁 400cc(できれば昆布だし)+酒 大さじ1杯と油揚げを入れ野菜が柔らかくなるまで中火で煮る。アクがでたら取り除く。
➄ 野菜が柔らかくなったら、薄口醤油 大さじ1/2+塩 少々で味を調える。青ネギをちらして完成。

 

2021年05月01日

日本列島 ”食” めぐり「愛知県」

(この記事は2021年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 須惠 裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

かきまわし(かきまし)

「かきまわし」とは混ぜご飯のことで、愛知県の郷土料理です。炊き上げたお米と別で味付けした具材をしっかりかき混ぜて作ることから名前がついたと言われています。鶏肉が高価だった時代は、祝いの席などハレの場でふるまわれていましたが、現在では、季節を問わず日常的に食べられています。

(1人分)エネルギー 375kcal/たんぱく質9.8g/塩分1.3g

材料 (4人分) 作り方

●米 2合
●鶏もも肉 60g(1/4枚程度)
●人参 40g(小 1/2本)
●油揚げ 30g(大 1/4枚)
●こんにゃく 60g (1/4枚)
●ごぼう 50g(1/4本) 
●醤油 大さじ1
●みりん 大さじ1
●サラダ油 小さじ1
●濃口醤油 大さじ1
●砂糖 小さじ1
●みりん 小さじ 1/2

① 米は洗って30分ほど水に浸した後、ザルにあげておく。
② 炊飯器に①と醤油 大さじ1+みりん 大さじ1を入れ、うち釜の目盛りに合わせて水を入れ炊き上げる。
③ 鶏もも肉は小さく切る。人参は3㎝の細切りにする。
④ 油揚げは油抜きし、長さ3㎝、幅0.5㎝程度の短冊切りにする。
➄ こんにゃくは小さく切って、ゆでてあく抜きする。
⑥ ごぼうは、皮をこそげ、細いささがきにする。
⑦ フライパンにサラダ油を中火で熱し、鶏もも肉を炒め、残りの具材を入れ、火がとおってきたら濃口醤油 大さじ1+砂糖 小さじ1+みりん 小さじ 1/2の調味料を加えて汁気がなくなるまで煮る。
⑧ 炊きあがった②のご飯に⑦を加え、さっくりと混ぜ合わせる。

※ ご飯を炊く際、水の代わりにかつおだしを加えると旨味がまします。具材に干し椎茸を加えて、戻し汁を入れて炊くのも良いかもしれません。

 

2021年03月01日

日本列島 ”食” めぐり「宮城県」

(この記事は2021年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科  管理栄養士  松田 実樹

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

 

つゆはっと

「つゆはっと」はすいとんの一種で、小麦粉の生地を薄く延ばしてちぎった「はっと」を汁で煮込んだ料理です。「はっと」は、その美味しさから農民が小麦料理を好むあまり、米を作らなくなっては困ると殿様が「ご法度」にしたのが語源であるといわれています。特に宮城県登米地方では、具に名産の油で揚げた麩「油麩」を加えたものが親しまれているそうです。「つゆはっと」を食べて体を温め、寒い冬を乗り越えましょう。

 

つゆはっと 1人分:エネルギー 250kcal たんぱく質4.6g 塩分2.7g
材料 (2人分) 作り方

●小麦粉 70g
●鶏肉 60g
●人参 30g
●椎茸 30g(2個)
●大根 60g
●油揚げ 16g(1/2枚) 
●三つ葉 適量
●かつお出汁 2と1/2カップ
●醤油 大さじ2
●みりん 大さじ1

  ① ボウルに小麦粉を入れ、水を加えて耳たぶ位の柔らかさにこねる。
  ② 鶏肉は1口大、油揚げは短冊切り、大根と人参はイチョウ切りにし、椎茸は石づきを取って5mm幅に切る。
  ③ 鍋にかつお出汁を入れ、②で用意した肉・油揚げ・野菜類を煮る。
  ④ 野菜に火が通ったら、①を薄くのばし、一口大にちぎって③の鍋に入れる。表面が透き通ってきたら、醤油とみりんを加える
  ➄ 器に盛り、食べやすく切った三つ葉を散らす



 

2021年01月01日

日本列島 ”食” めぐり「鹿児島県」

(この記事は2020年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 安井 裕香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

からいもねったぼ

からいもねったぼとは、お餅にさつまいもを練りこんで食べる鹿児島県の郷土料理です。お正月のお餅をつく際、最後の一くぼ(もち米一臼分)に、蒸したさつまいもを入れてつきあげる年末のおやつとして食べられていました。「からいも」とは、さつまいものことで、琉球を通して中国(唐)からきた芋という意味を持ちます。「ねったぼ」とは、練ったぼたもちや、ぼったぼったと練ってつくところからその名がついたと言われています。

(1人分)エネルギー 260kcal/たんぱく質6.5g/塩分0.0g

材料 (2人分) 作り方
さつまいも 150g(大きめ半分)
切り餅 50g(1個)
きな粉 25g
砂糖 25g
  1. さつまいもの皮をむき、3cm角くらいの大きさに切り、水にさらしておく。
  2. 切り餅1個を6等分程度に切り分ける。
  3. きな粉、砂糖をはかり、バッドに混ぜあわせておく。
  4. 水さらし後のさつまいもをさっと洗い、鍋に入れ、ひたひたの水を加え茹でる。
  5. さつまいもが柔らかくなったら、その鍋に切り分けた餅を入れ茹でる。さつまいもと餅が 柔らかくなったら、火を止め鍋の湯を捨てる。
  6. 鍋ごと布巾の上に置き、すりこぎでさつまいもと餅を潰し滑らかになるまで混ぜてつく。
  7. 手順3でバッドに準備したきな粉の上に流し、きな粉をまぶしながら丸める。

 

2020年11月01日

日本列島 ”食” めぐり「和歌山県」

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科  管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

 

~ 茶がゆ ~

 和歌山県には茶がゆを食べる習慣があります。耕地に恵まれなかった紀州では、少量のお米でも満足感を得られる茶がゆが常食として食べられるようになったことに起因しています。紀州では、おかゆといえば、ほうじ茶で炊いた茶がゆのことを言い、各家庭それぞれのこだわりの炊き方があるそうです。冬は温かいものを、夏は冷やしたものを食べることが多く、梅干しや漬物との相性も良いです。茶がゆの香ばしさとサラサラとした喉越しは、蒸し暑い真夏の京都で食欲が落ちてしまっている方にもおすすめです。

 

●茶がゆ 1人分: エネルギー168kcal たんぱく質2.5g
材料 (2人分) 作り方

ごはん 200g (米2/3合分)
ほうじ茶の葉 大さじ3 (だしパックに入れる)
水 600ml

  1. ごはんをざるに入れ、米粒をつぶさないように流水でよく洗う。
  2. 鍋に水を入れて火にかけ、泡が出始めたら、だしパックに入れたほうじ茶葉を加えて煮出す。十分にお茶が出たら、茶葉は取り出す。
  3. 沸かしたお茶の鍋に洗った1.のごはんを入れ、吹きこぼれないように蓋をずらして置いたら約20分炊きます。
    ごはんが十分に水を吸ってやわらかくなったら、蓋をきっちりしめて火を切り約10分蒸らす。

 

 

2020年07月01日