西陣だより

薬と長く付き合うために

(この記事は2020年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 谷崎 泰広

薬を服用するときに“副作用”が気になりますか?

副作用は大きく分けて2 種類あります。

① 期待した効果以外の作用が現れる
② 期待した効果より、作用が強く現れる

副作用の発現には次の3つの要因があります。

① 薬の特性 ② 他の薬や食物との関係 ③ 薬を服用する人
一般的に加齢とともに、副作用の発現率は増加する傾向にあります。

なぜ 副作用が起こりやすくなるのか?

薬の多剤服用
 加齢とともに、病気の種類も増えるため、それぞれの病気に対して服用する薬の種類も増加する傾向にあります。
 複数の薬を同時に服用すると薬の働きがお互いに影響しあい、副作用が現れやすくなります。

② 加齢に伴い臓器の機能が低下する

 加齢に伴う体の変化
● 水分量の低下・体脂肪量の増加
● 肝機能の低下(アルブミン〈タンパク質〉の減少・薬物の分解能力の低下)
● 腎機能の低下(薬物の排泄能力の低下)

副作用に早く気付くために

 みなさんが服用している薬の名前や作用などに興味を持ちましょう。週刊誌やテレビなどの情報ではなく、薬剤師や医師から薬の情報を聞きましょう。起こりうる副作用を事前に知っておくことで、迅速に対応することができます。
 正しい知識を得るために、医師や薬剤師にお薬手帳をみせてください。特に、様々な医療機関で複数の薬をもらっている場合は、お薬手帳の管理が役に立ちます。

おわりに

 副作用が心配だからと言って、自己判断で薬を中止・減量することは大変危険です。薬を服用していて、いつもと違う、変だなと思ったら医師、薬剤師に相談してください。

2020年03月01日

世界糖尿病デーのイベントを開催しました

(この記事は2020年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

看護部 主任
糖尿病看護認定看護師
立山 一美

 

11月14日が世界糖尿病デーに制定され、糖尿病の予防、治療、療養を喚起する啓発活動が世界各地で開催されています。当院でも今年度からの試みとして、11月14日に糖尿病のイベントを開催しました。事前に通院中の患者さんに、今の思いやこれからの願いなどを書いたメッセージを頂き、会場に掲示しました。当日は医師による糖尿病についての相談、看護師による血糖・血圧測定、薬剤師によるおくすり相談、管理栄養士によるフードモデルを使った栄養相談、臨床検査技師による頸動脈エコー、臨床工学技士による InBody での体組織チェックのブースを設けました。また理学療法士は、握力測定と座ってできる体操教室を行いました。盛りだくさんの企画に、20名の参加の方々と一緒に糖尿病を学び、スタッフ共々笑顔が溢れる糖尿病デーとなりました。参加していただいた皆様、ありがとうございました。今後も様々な催しを考えていますので、今回参加できなかった方や興味を持って頂いた方も、ご参加をお待ちしています。


2020年03月01日

健康診断で血糖が高いと 言われたら

(この記事は2020年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

内科 医員
広中 順也



糖尿病の方は予備群も含めると2000万人いるといわれており、健康診断で血糖値が高いことを指摘されている方はたくさんいます。今回は血糖値が高いことで何が問題となるのか、どう対応すればよいのかをお話しさせていただきます。

特に症状がないから放っておいて大丈夫?

初期の糖尿病はほとんど症状がなく、「糖尿病だと言われたけれど何も困っていない」と医療機関を受診されない方は沢山いらっしゃいます。国民健康・栄養調査では「糖尿病が強く疑われる人」であっても約4人に1人は治療を受けていない、あるいは治療中断しています。特に30歳代では6割が受診や治療していないとの報告もあります。ある程度病状が進むと口喝・多飲・多尿といった症状がでてきます。症状がなくても3大合併症といわれる神経障害、網膜症、腎症は進んでいき、また動脈硬化が進むことで心筋梗塞、脳梗塞、認知症、癌などのリスクも上がってきます。

糖尿病は早期発見・早期治療が重要です

糖尿病は早期ほど治療効果が高い疾患です。「放っておいたら良くなった」などということはありませんし、治療を先延ばしにすればするほど、合併症のリスクが高まります。また、お金がかかるために受診されない方もいますが、合併症が進行するとさらに治療費はかかり、金銭的にも早期から治療した方が経済的です。

まずは病院に来て相談して下さい

健康診断で空腹時血糖や食後血糖が高い場合は、医療機関を受診しHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)という過去1-2か月の平均の血糖の指標となるマーカーを測定してください。空腹時血糖126mg/dl以上、食後血糖200mg/dl、HbA1c 6.5%以上では糖尿病が強く疑われます。糖尿病の種類や原因は人によって様々で、当然病気の進行具合も人によって様々です。癌や内分泌の異常によって血糖値が高値となることもあります。血糖値が高くなる初期の段階で発見し、適切な治療を続ければ、合併症の大部分は予防できるとされており、まずは医療機関を受診ください。

2020年03月01日

よくある外傷 切創について

(この記事は2020年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外科 医長
平島 相治


今回は切創(いわゆる切り傷)についてお話させていただきます。刃物による切創もあれば、転んだ際の打撲での切創など形態は様々です。一部はペットによる咬創とも類似点がありますので、ご参考にしていただきたいと思います。

 

 切創によって受診する一番の理由は出血が止まらないことだと思います。出血はそれほど傷が深くなければ自然に止血します。しかし傷が皮下組織(俗に身と呼ばれる)の深さまでおよぶと、簡単には止血できません。こうなると縫合による止血、もしくは止血剤を用いての圧迫止血のいずれかが必要になります。

 我々が切創に対する時の一番の関心は、きれいな切創か、きれいでない切創かです。言い換えると、刃物による切創や屋内での転倒打撲による比較的きれいな環境で生じる切創か、屋外での工具の使用や外傷によるきれいでない切創なのかです。

 きれいな切創では、受傷から6時間以内に洗浄、縫合することで、止血だけでなく、創感染を起こさず、傷跡がきれいに治ります。縫合から48時間が経過すると、基本的に創は閉鎖するため、創部を覆わない状態でのシャワー浴が可能になります。縫合後の受診も2、3回で済むことが多く、縫合後5~10日で抜糸が可能です。まれに創感染が生じた場合は傷がつく前に抜糸し、改めて洗浄し、異物や細菌を出すために創を開放する処置に切り替えます。感染の一番の原因は、受傷時に細菌や異物を十分に取り除けなかったことであり、縫合後に外から細菌が入って生じるわけではありません。

 次にきれいでない切創では、大量の生理食塩水もしくは水道水で洗浄し、できるだけ創の細菌や異物の量を減らします。感染する危険性が高いことから縫合は行わず、最初から創を開放したままの状態にします。創が閉鎖しないよう細いガーゼやシリコン製のチューブを創に入れておき、止血剤や圧迫で止血を完了します。このきれいでない切創は、犬や猫などのペットによる咬創の処置とほぼ同様です。犬や猫の口腔内には多数の細菌が存在します。さらに犬や猫による咬創は咬創部が複数あり、その形状や深さも複雑であることから、感染の可能性が高くなるためです。

 患者様の中には切創後の処置として、洗浄や縫合に対して不安がある方も多いと思います。おそらく洗浄や縫合の前に行われる局所麻酔の注射や、洗浄や縫合後の痛みを心配されてのことと思います。局所麻酔の注射では、注射針が皮膚を貫くときと、麻酔薬を注入するときに痛みがあります。前者は細い針を選択することで、後者は注入速度を緩やかにすることで注射時の痛みを緩和できます。ここを乗り越えれば、注入後ほどなくして局所麻酔が効いてきますので、安心して洗浄や縫合を受けていただくことができます。また縫合後には鎮痛剤も処方しますので、耐え難い痛みはほぼないと言えます。

 以前は創感染のリスクを下げるために「化膿止め」と称して抗生物質を必ず処方しておりましたが、化膿止めよりも洗浄が大事と言われ、化膿止めは必須ではなくなっています。ですので、屋外での切創では受診までにご自身でもできるだけ流水で洗浄されるなどの処置を行っていただけば、さらに感染する危険性は低下すると思われます。

 ちなみに切創で受診される患者様で、出血部の近くをタオルやひもで緊縛して来られる方がいます。この状態は出血部以外の正常部が阻血してしまうために、おすすめできません。こういった場合、出血部を「おさえる」ように圧迫することが一番おすすめです。圧迫は止血できる最低限の力で十分です。圧迫を解除すると再出血する場合には、粘り強く圧迫することで止血が得られることも多々あります(我々も手術の際、止血の原則は圧迫です)。

 切創は我々が生活を送るうえで必ず経験するものです。できるだけ傷跡がわかりにくく、そして速やかに治すことを心掛けて、日々診療にあたっています。

2020年03月01日

ツリウムレーザー 前立腺蒸散術 (ThuVAP)

(この記事は2020年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 副院長
今田 直樹

前立腺は外腺と内腺で構成されており、前立腺肥大症とは内腺が肥大することです。

ミカンを想像してください。外腺は皮の部分で、肥大した内腺が実の部分です。正常な前立腺はスダチぐらいの大きさでしょうか。尿道がその真ん中を縦に貫通していて、肥大症になれば尿道が圧迫され排尿困難などの症状が出現するのです。前立腺肥大症の手術の目的は肥大した内腺を取り除くことです。開腹手術では、皮を切って実を丸ごと取り出すイメージです。夏みかんぐらいに成長した肥大症が適応です。多くは通常の経尿道的前立腺手術で対応できます。尿道から切除鏡を挿入し、電気メスで少しずつ切除していきます(下図)。この手術もとても良い手術ですが、近年、前立腺手術に電気メスに代わってレーザーを使って蒸散治療する方法が普及しつつあります。

満を持して2019年7月、当院では前立腺肥大症の新しい治療レーザーQuanta Cyber TM を日本第5号機として導入いたしました。ThuVAPは2017年のヨーロッパ泌尿器科ガイドラインでは既に推奨グレードAと認められている治療法で、2017年日本泌尿器科ガイドラインでもBに認められています。次回の改定では恐らくA評価になると思われます。日本においてもホルミウムレーザー(A評価)、グリーンライトレーザー(A評価)、半導体レーザー(C1評価)による前立腺手術も認められており、徐々に増加しています。

前立腺のレーザー治療の特徴は、術中および術後の出血リスクが非常に低く、抗血栓療法中の方(血液サラサラ薬内服中の方)にも行なうことが可能で、術後の痛みが少なく、回復も早く、術後の尿道カテーテルの留置期間も短くて早期退院が可能となります。

当院が導入したツリウムレーザー(写真)の特徴は、水分子(全ての生体組織に存在する)に対する吸収率が高く、蒸散効率が手術当初から最期まで落ちなくて一定に保たれます。軟部組織を迅速に焼灼/切断しつつもレーザビームの組織への深達度は0.1-0.2mmと限定的で、周辺組織に対する影響が少なくて安全です。また最高出力200Wのハイパワーであり、全サイズの前立腺肥大症に有効であることがヨーロッパ泌尿器科ガイドラインでも証明され治療適応の幅が拡大し、次いで術後合併症の発生率が低いことも報告されています。内服治療だけでは十分に症状が改善しない方、内服継続をしたくない方、手術を受けたいが入院期間の問題で手術をためらっている方には適している治療法ではないでしょうか。


Thuliumレーザ(ツリウムレーザ)

2020年01月01日

新年おめでとうございます

(この記事は2020年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

看護部長
中島 美代子

平成から令和へと年号が変わり、令和で最初の新しい年を迎えることができました。

西陣病院看護部は、地域の皆様のニーズに応えることを大切にし、ケアミックス病院として、急性期の看護、回復期の看護、慢性期の看護、また看取りの看護の質を上げることに努めてまいりました。新しい年には当院の特徴でもある透析センターに透析認定看護師が誕生する予定です。透析治療の専門領域の研修を終えた認定看護師を中心に、さらに透析看護を充実してまいります。

また、今後、さらに高くなる高齢化にも対応できるよう高齢者の看護の充実にも努めております。今年春から、認知症看護認定看護師の資格修得のため看護師を研修に出す予定にしております。そして、患者さんお一人お一人が、ご自分の人生を自分らしく生きられるように、看護師だけではなく、病院職員が一丸となってチームでサポートしていきたいと考えております。

西陣病院看護部は、伊谷院長の方針である「地域に愛される病院づくり」に参画し、これからも、地域の方々が、住み慣れた地域で暮らすことを支えてまいります。

2020年01月01日

新春のごあいさつ

(この記事は2020年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

整形外科 部長
牧之段 淳

皆様には令和になって初めての新年を健やかに迎えられたことと謹んでお慶び申し上げます。

最近健康寿命という言葉が聞かれるようになってきました。健康寿命とは介護を受けたりせず日常生活を送れる生存期間のことです。現在平均寿命は男性81歳、女性87歳ですが健康寿命は男性71歳、女性74歳程度と開きがあり問題となっています。75歳以上を対象として本年度からフレイル健診が開始されることになりました。要支援・要介護になった要因の1位は運動器の障害です。運動器をあつかう整形外科では日本整形外科学会がロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称ロコモ)を国民に向けて啓発しています。ロコモティブシンドロームとは、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、歩行や立ち座りなどの日常生活に障害を来たしている状態のことです。先ずはスクワットや片足立ちなどを行い筋力やバランス能力を鍛えることが大切ですが末永く自立した生活を続けるためには手術が必要となることもあります。

当科は常勤の整形外科専門医が3名力を合わせて皆様の健康寿命が延びるように各人に合った治療方法を御提案させていただきますので何卒よろしくお願い申し上げます。

2020年01月01日

『出会い』を大切に 再び

(この記事は2020年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

副院長
柳田 國雄

新年あけましておめでとうございます。皆様にはお健やかに令和最初の新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。

前回この欄で新年のご挨拶をさせていただいてから3年が経ちました。その間医療の現場はますます厳しく複雑となり、超高齢化に伴う様々な問題が取り上げられ、人工知能(AI)の医療への導入が取り沙汰され、仕事の効率化や働き方改革が進められています。この時代の波に押し流されず、様々な工夫をして“地域に密着した総合的な医療と専門性を生かした医療”の両輪を堅持していきたいと思っています。さらには、医療の安全性の確保や働きがいのある健全な職場への工夫と努力も続けてまいります。

最近読んだ本に『人の幸せってのはどれだけ周りの人を笑顔に出来たかだと思う』という言葉がありました。この3年間に様々な出会いがありたくさんの笑顔に出会うことができましたが、残念ながら悲しく辛いこともありました。本年も新たな出会いがたくさん待っていると思います。患者さん本人やそのご家族はもちろん、地域の医療者の方々、さらには病院スタッフとのひとつひとつの出会いを大切に、そしてその方々を笑顔にできる医療を本年も心がけたいと思います。本年も何卒よろしくお願いいたします。

2020年01月01日

新年のごあいさつ

(この記事は2020年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院、西陣病院 院長 伊谷 賢次

西陣病院 院長 伊谷 賢次


新年明けましておめでとうございます。

皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当院に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。

昨年も大型台風到来による暴風や記録的な豪雨により、関東地方を中心に多くの人が被災されました。特に、真夏での長時間の停電は、医療福祉施設でも、エアコンが使用できなくなり、熱中症のリスク化が高く、転院を余儀なくされた様子をテレビ画面から目の当たりにしました。今後も、地球温暖化による今までに経験したことのない異常気象は頻繁に起こることが予想され、医療機関は今まで以上に様々な災害対策の必要性を痛感しました。当院では、電源設備の拡充工事を昨年10月より開始し、今年7月まで行います。長時間の停電時にも人工呼吸器などの非常用電源以外に、エレベーターやエアコンなどの電源も確保できるようになり、安心で安全な病院を目指します。また、工事期間中は、地域住民の皆様には、交通規制などのご不便をお掛けしますが、ご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

また、昨年10月より消費税が8%から10%に増税されました。消費税増収分の一部は社会保障の充実にあてられることになっていますが、国民の生活はもとより、病院経営にとっても厳しい増税となりました。また、今年4月に2年ごとの診療報酬改定がありますが、医療費抑制政策によりマイナス改定が予想され、良質な福祉医療の継続には大きな不安があります。このような厳しい状況でも、当院の目指すべき目標は、設立当初からの基本方針である、「地域に密着した良質な医療を高いレベルで提供する」ことです。

今年も、地域のニーズに合った急性期病棟、地域包括ケア病棟、障害者病棟のケアミックス病院としての診療体制を維持していきます。急性期病棟では、高齢者の多い地域で、透析患者さんと同様に、多くの合併症を持った患者さんが多く、内科系・外科系・画像診断医・麻酔科医などによるスピーディーなチーム医療を行います。今年4月の診療報酬改定でも、包括医療費支払い制度方式(DPC)は導入せず、開業医の先生方からのご要望や患者さんの病態にあった医療を提供していきます。また、地域包括ケア病棟ではサブアキュート・ポストアキュート・レスパイトなど地域にあった医療を提供していきます。

今後も職員全体が患者さんを主体に考え、良質な医療を提供するためにスタッフ一人ひとりが役割と責任を自覚して努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

令和二年 元旦

2020年01月01日

「地域で生きる」を支える訪問看護

~ 医療的ケアからご家族への日常生活や精神面のサポートで自宅療養を支援 ~
住み慣れた家で療養生活を送ることができるように

(この記事は2019年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

訪問看護ステーション「西陣」所長 加藤 小津恵

 

「長い間、大変お世話になりありがとうございました。在宅介護は考えていた以上に大変でしたが何とかやってこれたのは、皆様方に助けていただき指導していただいたお陰だと大変感謝しております。戸惑ったり不安になったりしたことも多々ありましたが、そんな時には相談にのっていただき、父の看護だけではなく母や私たちのことも気にかけ支えていただいた事がとても嬉しかったです。」

これは、在宅で最期を迎えられた利用者様のご家族からいただいたお手紙です。この方は、点滴や痰の吸引、尿の管などの医療的なケアが必要な状態の方でした。このように、医療的なケアが必要な方や障害を持つ方が、住み慣れた家で安心して過ごせるよう訪問看護師は、療養生活全般にわたって支援しています。その人、その家族が大切にされている事、想い、生活に合わせた看護の提供に努めています。本人や家族だけでの療養生活は不安になってしまうものですが、訪問看護を活用することで判断がつかない専門的なこともアドバイスを受けることができ、主治医との連携もスムーズに保つことができます。特に病院から退院した時などに利用すると、安定した生活を始めやすく、またそれを維持しやすくなると考えます。

また、訪問看護ステーション西陣では24時間、利用者様やご家族からの相談に対応しています。必要時には訪問し他機関と協働して対応することで安定した在宅療養生活へのサポートをしています。一人一人の利用者様が住み慣れた地域で医療を継続でき、安心して過ごして頂けるように、また不安なく家での看取りができるように専門的な立場で支援させて頂きます。私たちは、利用者様やご家族から学ぶ姿勢を忘れないこと、地域の多職種と協働することを大切にしています。開設し 24年が経ちますが、今後も心のこもった温かな看護を実践し、質の高い在宅ケアの提供に努めてまいります。

 

 

2019年11月01日