西陣病院だより

当院で活躍する認定看護師を紹介します

(この記事は2021年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

感染管理認定看護師


感染管理認定看護師
伊藤 良子

 資格を修得して6年目になります。感染管理認定看護師の役割りは、病院に出入りする全ての方に感染予防対策を行う事です。感染予防の基本は、手指衛生です。病院内では、ICT(感染予防コントロールチーム)として多職種で病院環境が適切か、標準予防策(感染予防対策の基本)が実施されているか、手指衛生が徹底されているか等を週 1回ラウンドして確認しています。入院患者さんの中には、隔離が必要な場合もあり感染対策表示カードの設置、個人防護具の用意、器材を個人専用に出来ているか等確認、指導しています。現場からの感染予防に対する相談にも応じています。退院時に耐性菌保菌のまま自宅、施設退院もあり洗濯方法や検体別取り扱いを(尿廃棄、痰を拭き取りしたチリ紙廃棄方法等)パンフレット作成し、お渡しする事もあります。 

 感染予防活動は、病院内に留まらず地域活動も重要です。京都府内の感染管理に従事した看護師達が集まり、「みやこICN」を結成、地域の方や施設職員向けの研修会を実施しています。年に1、2 回実施しています。2020 年度は、コロナ禍で開催出来ませんでした。研修会再開のおりには、ぜひ参加して下さい。老健施設の方に、標準予防策、ノロウイルス排泄物処理方法について勉強会も行いました。感染対策に対する疑問や勉強会依頼等ありましたら、コロナ禍で対面開催は難しいかと思いますがお気軽に御連絡下さい。お待ちしています。
 新型コロナウイルス感染第4波となり、自粛疲れもあると思いますがワクチン接種も始まりました。もうひと踏ん張りして、この難局を乗り越えましょう。おかしいと思ったら…早めの受診をお願いします。

透析看護認定看護師

透析看護認定看護師
大槻 直博

 
 透析治療とは、腎臓の機能を補うための治療です。腎臓が悪くなる原因には、加齢、生活習慣、遺伝、免疫異常などがあります。特に糖尿病や高血圧といった持病をお持ちの方は注意が必要です。体のむくみ、血尿といった症状はありませんでしょうか。それらは腎臓の不調が原因かもしれません。透析看護では、透析治療を受けられている患者さんはもちろんのこと、腎臓の機能に不安を抱える全ての患者さんを対象としています。当院では、毎週水曜日と金曜日の午後からCKD(慢性腎臓病)看護外来という名称で、看護師が外来に立ち、腎臓の働きが弱まった方への透析予防を含めた介入を行っています。 

 主な介入内容としましては、腎臓のさらなる悪化を抑えるために、生活習慣を患者さんとともに見直していくことから始めます。食生活では減塩、適正なカロリー・タンパク質の摂取を意識して過ごせるように、栄養士と連携して関わっていきます。また、日々の体調や血圧などの変化を見ながら、腎臓に負担をかけないための過ごし方を患者さんと共に模索していきます。
 しかし、それでも腎臓の悪化を避けられない場合があります。そうなった場合にも慌てなくてよいように、日頃から腎臓の働きを補う治療についての理解を深めておくことが大切です。日々の 生活に治療を組み込んだうえで、いかにして「その人らしい生き方」を過ごしていくのかを患者さんと共に考えていきます。何か不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。

2021年07月01日

日本列島 ”食” めぐり「神奈川県」

(この記事は2021年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

けんちん汁

「けんちん汁」は、神奈川県鎌倉市にある建長寺(けんちょうじ)の修行僧が作っていた、たっぷりの野菜に豆腐をくずし入れて作る汁物料理が始まりです。この料理が評判で「建長寺汁」と呼ばれるようになり、後に「けんちん汁」に転じたと言われています。(他にも諸説あります)元来は精進料理なので肉や魚は加えず、だし汁も鰹節や煮干ではなく、昆布や椎茸から取ったものを使います。

(1人分)エネルギー 140kcal/たんぱく質5.7g/塩分1.1g

材料 (2人分) 作り方

●大根 50g
●人参 50g
●里芋 50g
●ごぼう 50g
●油揚げ 1/3枚
●青ネギ (小口切り) 適量
●ゴマ油 大さじ1/2
●だし汁 400cc (できれば昆布だし)
●酒 大さじ1
●薄口醤油 大さじ1/2
●塩 少々

① 油揚げは1センチ幅に切り、大根・人参は皮を剥き乱切り、ごぼうはたわしなどで泥を落としてから乱切りにしておく。
② 里芋は皮を剥いて塩をこすり付けてぬめりを出し水で洗って乱切りにしておく。
③ 鍋にごま油を熱し、まず大根、人参、ごぼう、里芋を入れ1分炒める。
④ ③にだし汁 400cc(できれば昆布だし)+酒 大さじ1杯と油揚げを入れ野菜が柔らかくなるまで中火で煮る。アクがでたら取り除く。
➄ 野菜が柔らかくなったら、薄口醤油 大さじ1/2+塩 少々で味を調える。青ネギをちらして完成。

 

2021年05月01日

「骨活」しましょう

(この記事は2021年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  薬剤師  安田 早織

年齢を重ねても元気に歩けるために、骨粗鬆症に気を付ける必要があります。
骨を健康に保つケア(骨活)を心掛け、いつまでも活き活きと過ごしましょう。

骨粗鬆症になると

 重い物を持ち上げた時や転んだ時(転倒)に簡単に骨が折れてしまいます。骨折を起こしやすい部位は、背骨(椎体)、脚の付け根(大腿骨近位部)、手首(橈骨)、腕の付け根(上腕骨)です。閉経後は女性ホルモンの分泌低下により急激な骨量減少が起こるため、閉経後の女性や高齢の方では、症状がなくても一度骨密度の測定や背骨のX線検査をおすすめします。
 骨粗鬆症治療の一番の目的は、骨折、特に生命予後に影響する背骨(椎体)骨折と足の付け根(大腿骨近位部)骨折を予防することです。食事・運動・日光浴・禁煙・転倒防止等の生活習慣の改善(骨活)が必要ですが、薬による治療も必要不可欠です。治療薬は、骨が壊れるのを防ぐ骨吸収抑制薬、骨を作るのを助ける骨形成促進薬、ビタミンD製剤の3つに分類されます。

骨吸収抑制薬

◎ ビスホスホネート製剤・エストロゲン製剤抗RANKL抗体
SERM(選択的エストロゲン受容体調整薬)

骨形成促進薬

◎ 副甲状腺ホルモン製剤

骨代謝調整薬

◎ ビタミンD製剤・ビタミンK2製剤

まとめ

ビスホスホネート製剤や自己注射薬等、服用方法に注意が必要なおくすりもあります。おくすりのことでお困りの際は薬剤師にご相談ください。仕事や趣味等をこれからも長く続けるために、骨粗鬆症を予防する習慣、骨活を意識しましょう。

2021年05月01日

日本列島 ”食” めぐり「愛知県」

(この記事は2021年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 須惠 裕子

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

かきまわし(かきまし)

「かきまわし」とは混ぜご飯のことで、愛知県の郷土料理です。炊き上げたお米と別で味付けした具材をしっかりかき混ぜて作ることから名前がついたと言われています。鶏肉が高価だった時代は、祝いの席などハレの場でふるまわれていましたが、現在では、季節を問わず日常的に食べられています。

(1人分)エネルギー 375kcal/たんぱく質9.8g/塩分1.3g

材料 (4人分) 作り方

●米 2合
●鶏もも肉 60g(1/4枚程度)
●人参 40g(小 1/2本)
●油揚げ 30g(大 1/4枚)
●こんにゃく 60g (1/4枚)
●ごぼう 50g(1/4本) 
●醤油 大さじ1
●みりん 大さじ1
●サラダ油 小さじ1
●濃口醤油 大さじ1
●砂糖 小さじ1
●みりん 小さじ 1/2

① 米は洗って30分ほど水に浸した後、ザルにあげておく。
② 炊飯器に①と醤油 大さじ1+みりん 大さじ1を入れ、うち釜の目盛りに合わせて水を入れ炊き上げる。
③ 鶏もも肉は小さく切る。人参は3㎝の細切りにする。
④ 油揚げは油抜きし、長さ3㎝、幅0.5㎝程度の短冊切りにする。
➄ こんにゃくは小さく切って、ゆでてあく抜きする。
⑥ ごぼうは、皮をこそげ、細いささがきにする。
⑦ フライパンにサラダ油を中火で熱し、鶏もも肉を炒め、残りの具材を入れ、火がとおってきたら濃口醤油 大さじ1+砂糖 小さじ1+みりん 小さじ 1/2の調味料を加えて汁気がなくなるまで煮る。
⑧ 炊きあがった②のご飯に⑦を加え、さっくりと混ぜ合わせる。

※ ご飯を炊く際、水の代わりにかつおだしを加えると旨味がまします。具材に干し椎茸を加えて、戻し汁を入れて炊くのも良いかもしれません。

 

2021年03月01日

日本列島 ”食” めぐり「宮城県」

(この記事は2021年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科  管理栄養士  松田 実樹

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

 

つゆはっと

「つゆはっと」はすいとんの一種で、小麦粉の生地を薄く延ばしてちぎった「はっと」を汁で煮込んだ料理です。「はっと」は、その美味しさから農民が小麦料理を好むあまり、米を作らなくなっては困ると殿様が「ご法度」にしたのが語源であるといわれています。特に宮城県登米地方では、具に名産の油で揚げた麩「油麩」を加えたものが親しまれているそうです。「つゆはっと」を食べて体を温め、寒い冬を乗り越えましょう。

 

つゆはっと 1人分:エネルギー 250kcal たんぱく質4.6g 塩分2.7g
材料 (2人分) 作り方

●小麦粉 70g
●鶏肉 60g
●人参 30g
●椎茸 30g(2個)
●大根 60g
●油揚げ 16g(1/2枚) 
●三つ葉 適量
●かつお出汁 2と1/2カップ
●醤油 大さじ2
●みりん 大さじ1

  ① ボウルに小麦粉を入れ、水を加えて耳たぶ位の柔らかさにこねる。
  ② 鶏肉は1口大、油揚げは短冊切り、大根と人参はイチョウ切りにし、椎茸は石づきを取って5mm幅に切る。
  ③ 鍋にかつお出汁を入れ、②で用意した肉・油揚げ・野菜類を煮る。
  ④ 野菜に火が通ったら、①を薄くのばし、一口大にちぎって③の鍋に入れる。表面が透き通ってきたら、醤油とみりんを加える
  ➄ 器に盛り、食べやすく切った三つ葉を散らす



 

2021年01月01日

日本列島 ”食” めぐり「鹿児島県」

(この記事は2020年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科 管理栄養士 安井 裕香

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます

 

からいもねったぼ

からいもねったぼとは、お餅にさつまいもを練りこんで食べる鹿児島県の郷土料理です。お正月のお餅をつく際、最後の一くぼ(もち米一臼分)に、蒸したさつまいもを入れてつきあげる年末のおやつとして食べられていました。「からいも」とは、さつまいものことで、琉球を通して中国(唐)からきた芋という意味を持ちます。「ねったぼ」とは、練ったぼたもちや、ぼったぼったと練ってつくところからその名がついたと言われています。

(1人分)エネルギー 260kcal/たんぱく質6.5g/塩分0.0g

材料 (2人分) 作り方
さつまいも 150g(大きめ半分)
切り餅 50g(1個)
きな粉 25g
砂糖 25g
  1. さつまいもの皮をむき、3cm角くらいの大きさに切り、水にさらしておく。
  2. 切り餅1個を6等分程度に切り分ける。
  3. きな粉、砂糖をはかり、バッドに混ぜあわせておく。
  4. 水さらし後のさつまいもをさっと洗い、鍋に入れ、ひたひたの水を加え茹でる。
  5. さつまいもが柔らかくなったら、その鍋に切り分けた餅を入れ茹でる。さつまいもと餅が 柔らかくなったら、火を止め鍋の湯を捨てる。
  6. 鍋ごと布巾の上に置き、すりこぎでさつまいもと餅を潰し滑らかになるまで混ぜてつく。
  7. 手順3でバッドに準備したきな粉の上に流し、きな粉をまぶしながら丸める。

 

2020年11月01日

市販の風邪薬について

(この記事は2020年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 主任 福本 郁子

日に日に気温が下がり、空気が乾燥し始めています。くしゃみ・鼻水、咳など風邪の症状はありませんか? 今回は、市販の風邪薬についてのお話です。

市販の風邪薬(総合感冒薬)とは

熱や頭痛、鼻水、咳といった風邪の初期症状を和らげる薬です。風邪を治す薬ではなく、すでに現れている症状を緩和させる目的で、複数の有効成分が配合されています。
製品ごとに有効成分は様々で含有量も異なりますので、症状に合わせて購入することができます。

主な成分

1. 解熱・鎮痛薬
●アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンなど…熱を下げたり、喉の痛みや頭痛を和らげる

2. 抗ヒスタミン剤
●マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミンなど…鼻水・くしゃみを和らげる

3. 鎮咳・去痰剤
●コデイン、ジヒドロコデイン…咳を止める
●アンブロキソール、カルボシステイン…痰を出しやすくする
●メチルエフェドリン…気管支を拡げる

4. その他
●トラネキサム酸、塩化リゾチーム…炎症を抑える
●生薬成分(ゴオウ、ケイヒ、ショウキョウ、カンゾウ)…熱を下げたり、咳を止める<
●カフェイン…眠気を予防したり、疲労感や頭痛を和らげる
この他にも、多くの種類があります。

注意点

  • 眠気や口の渇き、便秘を引き起こすことがあります。
  • 緑内障や前立腺肥大の症状を悪化させる成分もあるため、疾患によっては服用できないことがあります。
  • 病院で処方された薬を服用している場合、全く同じ成分や同じ効果を期待する成分が重なってしまうことがあります。
  • 購入されるときは、服用している薬や疾患、アレルギー歴などを薬剤師に伝えてください。

数日服用しても症状が改善しないときは、医療機関を受診してください。

2020年11月01日

漢方薬について

(この記事は2020年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部  主任  牛嶋 麻紀

漢方薬とは?

生薬のうち薬として効くものを、いくつか組み合わせた薬のことです。
「生薬」とは植物を中心に、動物や鉱物を含め天然のものから作られた薬です。すべての漢方薬はこの「生薬」の組み合わせでできています。もともとは中国が数千年の年月をかけて生み出してきた生薬の組み合わせがあり、それを日本の風土、日本人の体質に合わせて独自に発展させて現在の漢方薬となりました。また「漢方」という名前は、江戸時代に日本で盛んになった西洋医学を「蘭方」と言ったことに対し、漢の時代に伝わった東洋医学として「漢方」と名づけたことに由来します。
伝統的な漢方薬は小さく刻んだ生薬を煎じてのむ煎剤ですが、現在、一般的に手に入るものは、ほとんどが煎じ薬を濃縮し、乾燥させ飲みやすくしたエキス剤(顆粒剤、錠剤、カプセル剤)です。
漢方薬を服用するとき、コップ1杯の白湯に溶かして服用すると、本来の形に近い味や香りを再現できます。みなさんのよく知っている「葛根湯」はかぜのひきはじめに処方されることが多いですが、葛根(カッコン)、麻黄(マオウ)、大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)、芍薬(シャクヤク)、桂皮(ケイヒ)などの生薬が含まれています。

それぞれの部位と薬効は?

● 葛根(葛の根)・・・・・・・・・・・・・ 発汗、解熱、鎮痙
● 麻黄(麻黄の茎、枝)・・・・・・・・・ 鎮咳、感冒、関節痛
● 大棗(なつめ実・果実)・・・・・・・・・ 胃腸、鎮痙、滋養
● 生姜(ショウガの根茎)・・・・・・・・ 健胃、感冒、冷え症
● 甘草(甘草の根)・・・・・・・・・・・・・・・ 緩和、鎮痛
● 芍薬(シャクヤクの根)・・・・・・・・・・・ 腹痛、婦人病
● 桂皮(樹皮)・・・・・・・・・・・ 芳香性健胃、発汗、解熱

です。この成分に含まれる葛根や生姜は食材としてもなじみのあるものですね。
桂皮(ケイヒ)はクスノキ科の幹の皮を乾燥させたもので、私たちにとてもなじみ深いものです。洋風のスイーツや、京都の八つ橋のフレーバーなどにも使われている「シナモン」や「ニッキ」といえばわかる方もいらっしゃると思います。この桂皮はお香にも使用されていて、日本人にとても好まれる香りだといわれています。
漢方薬はまずい、苦いというイメージが先行していますが、どの生薬が配合されるかによってひとつひとつ味も違います。体質に合っている処方、体が必要としている処方であれば、比較的服用しやすく、体質に合っていない処方であれば、服用しづらくなると考えられています。
服用しにくい場合、ヨーグルトや服薬ゼリー、水あめにまぜて飲むこともできますが、「濃いお茶」「ジュース」「牛乳」「アルカリイオン水」などは薬の吸収に影響し、効果に影響を及ぼすことがありますので、やめましょう。
漢方薬の成分の多くは、腸内細菌によって、効きやすい形に変えられて効果を表します。そのため、空腹時のほうが、速やかに腸内細菌のいる場所に到達できます。また、人によって腸内細菌の量が違うため、効果の発現の仕方にも個人差があります。漢方薬を飲み続けることで、その成分に作用する腸内細菌が増えてきて、次第に効き目が良くなってきます。
漢方ではどちらかというと、体質改善が得意分野なため、長期にわたって飲み続けることもあります。効き目がないからといってすぐにやめてしまわず、気長に服用を続けましょう。

2020年09月01日

日本列島 ”食” めぐり「和歌山県」

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養科  管理栄養士 今井 文恵

全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

 

~ 茶がゆ ~

 和歌山県には茶がゆを食べる習慣があります。耕地に恵まれなかった紀州では、少量のお米でも満足感を得られる茶がゆが常食として食べられるようになったことに起因しています。紀州では、おかゆといえば、ほうじ茶で炊いた茶がゆのことを言い、各家庭それぞれのこだわりの炊き方があるそうです。冬は温かいものを、夏は冷やしたものを食べることが多く、梅干しや漬物との相性も良いです。茶がゆの香ばしさとサラサラとした喉越しは、蒸し暑い真夏の京都で食欲が落ちてしまっている方にもおすすめです。

 

●茶がゆ 1人分: エネルギー168kcal たんぱく質2.5g
材料 (2人分) 作り方

ごはん 200g (米2/3合分)
ほうじ茶の葉 大さじ3 (だしパックに入れる)
水 600ml

  1. ごはんをざるに入れ、米粒をつぶさないように流水でよく洗う。
  2. 鍋に水を入れて火にかけ、泡が出始めたら、だしパックに入れたほうじ茶葉を加えて煮出す。十分にお茶が出たら、茶葉は取り出す。
  3. 沸かしたお茶の鍋に洗った1.のごはんを入れ、吹きこぼれないように蓋をずらして置いたら約20分炊きます。
    ごはんが十分に水を吸ってやわらかくなったら、蓋をきっちりしめて火を切り約10分蒸らす。

 

 

2020年07月01日

医薬品副作用被害救済制度

(この記事は2020年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 辻 芙美

 本来、薬は病気を治す目的で服用しますが、目的以外の望ましくない作用 =「副作用」が出てしまう事があります。薬の副作用により重篤な健康被害を受けられた方に対し、救済を行う制度がありますのでご紹介します。

医薬品副作用被害救済制度とは?

医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用により入院が必要になるほどの重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や医療手当、障害年金などの給付を受けることができる公的な制度です。

 

副作用により下記の状態になった場合に対象となります。
 ①医薬品等の副作用によって、入院またはやむを得ず自宅療養が必要
 ②日常生活が著しく制限される程度の障がい
 ③死亡

ただし、下記の場合などは、対象外になります。
 ①法定予防接種を受けたことによるものである場合
 ②がんその他の特殊疾病に使用される医薬品等で厚生労働大臣の指定するもの
 ③医薬品等の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品等の不適正な使用によるもの

 

ここで重要なのは、「適正に使用した」ということです。添付文書に記載されている用法用量及び使用上の注意に従っていることが基本です。自己判断で医薬品の量を多く服用した場合や、家族に処方された医薬品を同じ症状があるからと、自己判断で服用し発症した場合などは、適正使用とは認められません。

 

請求の方法
健康被害を受けた本人またはその遺族が、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に請求書に、健康被害が副作用によるものであることを証明する書類(医師の診断書、投薬証明書、受診証明書等)を添えて郵送します。

支給の可否
請求書や書類等を基に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で審議され、厚生労働大臣の判定結果をもとに決定されます。救剤給付の決定に不服があるときは、厚生労働大臣に対し、審査申立てをすることができます。

 

医薬品副作用被害救済制度の詳細は、PMDAのホームページをご覧ください。
この制度や副作用など、気になることがあれば、お気軽に薬剤師にご相談ください。

2020年07月01日