西陣病院だより

季節の”食”めぐり

(この記事は2026年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 豆ごはんは、米とえんどう豆を炊き合わせた日本の伝統的な料理で、春の訪れを告げる季節の味覚として親しまれています。4月から5月頃はうすいえんどうやグリンピースの収穫期であり、豆ごはんを作る最適な時期です。この時期の豆は粒が揃ってつやがあり、ホクホクとした食感と甘みが特徴です。
 えんどう豆は炭水化物のほか、カロテン、ビタミンB群、食物繊維、カリウム、鉄分、葉酸などを含み、春の食卓に彩りと栄養を添えます。
 塩だけで味を付けて炊き上げた「豆ごはん」は、豆の風味や甘みを感じられ、幅広い年代の方に好まれます。当院でも5月初旬に豆ごはんを提供しています。

2026年05月01日

なぜ抗菌薬は飲み切らないといけないの?

(この記事は2026年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 楠 斐未

感染症にかかった時、処方されることが多い薬の一つに抗菌薬があります。抗菌薬とは細菌の増殖を抑えたり殺したりする薬を指します。
病院や薬局で「抗菌薬は飲み切ってくださいね」と言われたことはありませんか?


飲み切らないと感染症のぶり返しや薬剤耐性菌出現の恐れが

 症状が落ち着いてくると「もう治った!」と思い自己判断で薬をやめてしまう人がいます。しかしこれは実はとても危険な行為です。この時点では、まだ体内に生きた細菌が残っており、再び増殖することで感染症をぶり返してしまう恐れが高まってしまうからです。また、生き残った細菌は薬に対して抵抗力をもち、抗菌薬が効きにくい状態になることがあります。このような細菌を薬剤耐性菌と呼びます。薬剤耐性菌が出現すると、同じ抗菌薬では期待する効果が得られなくなってしまうため、使用できる抗菌薬が少なくなってしまいます。

他者へ感染する可能性も

 完全に細菌をやっつけずに薬をやめてしまうと、体内に残った菌が他者へ感染するリスクが高くなります。もしその菌が薬剤耐性菌だった場合、新たに感染した人の治療が難航するかもしれません。

飲み切ることが大切です!

 抗菌薬を飲み切ることは自分の感染症を治すだけではありません。抗菌薬を指示通りに服用することは、周りの大事な人を守ること、社会全体を守ることにも繋がります。

抗菌薬の中止を考慮すべき主な症状

 飲み切ることが大切な抗菌薬ですが、副作用が疑われる場合は中止を考慮しなければなりません。次のような症状が出た場合には、すぐに服用を中止し病院を受診しましょう。

  1. 発疹・かゆみ・蕁麻疹
  2. 呼吸困難・瞼や唇の腫れ
  3. 水のような激しい下痢や血の混じった下痢
  4. 高熱・のどの痛み・関節痛などの全身症状
2026年05月01日

季節の”食”めぐり

(この記事は2026年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

春の訪れを祝う「ぼたもち」

 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、春のお彼岸は厳しい冬が明け、生命が芽吹く季節の変わり目です。この時期、私たちは先祖を供養し、自然の恵みに感謝を捧げる大切な節目を迎えます。お彼岸の定番といえば「ぼたもち」ですが、なぜ春は「ぼたもち」と呼ばれ、秋は「おはぎ」と呼ばれるのでしょうか。

 春のお彼岸の主役である「ぼたもち」は、春に咲く牡丹の花に見立ててその名がつきました。材料となる小豆の赤色には魔除けの力があるとされ、ご先祖様へのお供えとして定着したのです。春のぼたもちは、冬を越して皮が硬くなった小豆を使うため、皮を除いたこしあんで包むのが伝統的なスタイルとされています。また、お彼岸の献立は精進料理が基本です。肉や魚を避け、山菜の天ぷらや、春の香りが広がる酢の物、具だくさんのけんちん汁などが食卓を彩ります。旬の食材を取り入れることは、体を目覚めさせる養生にも繋がります。大切な人を想いながら、丁寧に作られた季節の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。

2026年03月01日

体調が少し気になるとき、どうしていますか?

(この記事は2026年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 池田 未久里

 

 病院に行く前にできる「セルフメディケーション」という考え方をご紹介します!

 「セルフメディケーション」とは、日頃から自分の体調に関心を持ち、軽い不調であれば自分で手当てをすることを指します。その際に活用されるのが、薬局やドラッグストアで購入できるOTC医薬品です。OTC医薬品とは、医師の処方がなくても店頭で購入できる市販薬のことで、かぜ薬や胃腸薬、湿布などがこれにあたります。以前は医師の処方が必要であった医療用医薬品のうち、薬局やドラッグストアで購入できるようになった医薬品をスイッチOTC医薬品といいます。

 セルフメディケーションの良い点は、症状が軽いうちに対処できることです。早めに対応することで、体調悪化を防いだり、受診の負担を軽くしたりすることにつながります。また、自分の体調を意識する習慣がつくことも大切なポイントです。
 ただし、OTC医薬品は「安全に使うこと」が何より重要です。用法・用量を守ること、複数の薬を同時に使う場合は成分が重なっていないか確認することが必要です。持病がある方や、他に服用している薬がある方は、OTC医薬品の使用が適していない場合もあるため購入時に薬剤師や登録販売者へ相談することをおすすめします。
 また、症状が長引く場合や、いつもと違う強い痛み・発熱がある場合は、無理に自己判断せず、医療機関を受診してください。セルフメディケーションは、医療を受けないことではなく、「上手に医療と付き合うための第一歩」です。
 日々の小さな体調の変化に気づき、必要に応じてOTC医薬品や医療機関を使い分けることが、安心した毎日を送ることにつながります。

2026年03月01日

その症状、どうやって伝えますか?

(この記事は2026年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 國枝 亜矢香

 

 みなさんは受診や健康相談の際に、ご自身の症状をどのように相手へ伝えますか?例えば、眼が赤くなっている、皮膚にぷつぷつとしたできものがある、指にとげが刺さった、などといった場合には、医療従事者に問題の部位を見せることで症状が上手く伝わります。また、機械で測定できる血糖値や血圧などは、客観的に数値化できるため、医療従事者とみなさんとの間で状態を正確に伝えあうことができます。では、言葉であらわしにくい症状は、どうすれば正確に伝わるでしょうか。今回は、よく相談される『排便』についてご紹介したいと思います。


 「ひどい下痢をした」と聞いたとき、みなさんは具体的にどのような状態の便を想像しますか?普段から柔らかい便が出る人の下痢と、ひどい便秘を繰り返している人の下痢は、果たして同じ下痢でしょうか?みなさんが想像した下痢と、わたしが想像した下痢は、同じでしょうか。
 便性状を言葉で伝えるのは、慣れていないと難しく感じると思います。伝える側、受け取る側が共通認識を持つために、医療従事者は表のようなブリストルスケールというものを用いることがあります。一般的にはブリストルスケールのうち、タイプ3~5が正常な便、そのうちタイプ4が理想的な便と言われています。便が消化管の中に留まる時間が長くなるとタイプ1に近い硬い便となり、逆に短時間であればタイプ7に近い柔らかい便となります。
 便性状の相談をしたいとき、疾患や薬の副作用で便秘や下痢になったときには、是非このスケールを活用してみてください。

2026年01月01日

季節の”食”めぐり

(この記事は2025年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 12月といえば、世界中でクリスマスを楽しむ季節です。もともとはキリストの誕生を祝う行事ですが、今では国や文化を超えて大切な人と食卓を囲む日として親しまれています。赤と緑のクリスマスカラーはキリスト教で『愛』と『永遠の命』を意味しているそうです。
 海外では七面鳥やロースト料理が定番ですが、日本ではチキンやケーキで祝う習慣が根づきました。他にもイギリスでは『クリスマスプティング』、ドイツでは『シュトレーン』、アメリカでは『ジンジャーブレッドマン』など様々な国で定番のお菓子があります。
 当院の12月の行事食は「ピラフ」「トマトチキン」「サラダ」「かぶのスープ」「フルーツプリン」です。彩り豊かなピラフ とチキンは食欲をそそり、旬のかぶを使ったスープは体を温め、フルーツプリンが食後のデザートとして華やかにクリスマスの赤と緑を意識したメニューにしています。

2025年11月01日

ふれあい看護体験

(この記事は2025年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

教育科長 兵頭 美香子

 

 8月7日(木)、ふれあい看護体験を開催し、4名の高校生が参加してくださいました。
 バイタルサイン測定、全身清拭、ストレッチャーの移送、患者さんとのコミュニケーションなど、色んな看護を体験していただきまた。初めは緊張した表情でしたが、徐々に患者さんへの声かけや笑顔も増えてきました。積極的に患者さんとかかわる姿が好印象でした。
 参加者のみなさまから「楽しかったです」「頑張って看護師になります!」と言ってくださり、本当にうれしかったです。目標に向かって頑張ってください!

 

2025年11月01日

ポリファーマシー( 多 剤 服 用 )をご存知ですか?

(この記事は2025年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 辻 芙 美




 服用する薬の数が増え、飲み合わせの悪い薬や同じ成分の薬の重複により副作用が起きたり、きちんと薬が飲めなくなったりしている状態をいいます。

 高齢になると複数の病気を持つ人が増え、受診する診療科も複数になるため、薬の種類が増える傾向にあります。薬が6種類以上になると副作用を起こす人が増えるというデータもあります。また、薬が多いと管理が複雑になり、飲み忘 れや 飲み 間 違 い に 繋 がります。これにより病状が悪化し、さらに薬が増えるという悪循環に陥ることもあります。

ご自身の薬を確認してみましょう

 薬をいくつ飲んでいますか?それはどんな症状に対して処方された薬ですか?服用目的が不明な薬がある、気になる症状がある、薬が多いと感じている場合は医師や薬剤師に相談しましょう。勝手に薬をやめたり、量を減らすことはよくありません。急に薬をやめると症状が悪くなることもあります。複数の薬を飲んでいること自体が悪いことではありません。その病気の治療に必要な薬であれば、たとえ種類が多くてもポリファーマシーではありません。

お薬手帳を活用しましょう

 いつ、どこで処方された薬かがわかるだけでなく、複数の病院に受診している場合でも、医療者が薬の重複や飲み合わせを確認することができ、不必要な処方を未然に防ぐことができます。当院では、入院した患者さんに対して薬剤師が持参薬を確認すると共に、医師や他職種と連携してポリファーマシー対策に取り組んでいます。薬に関して気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

2025年09月01日

季節の”食”めぐり

(この記事は2025年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 7月の京都といえば、祇園祭りが賑わいを見せます。祇園祭は、日本の三大祭りのひとつ(ほかは東京・神田祭と大阪・天神祭)で別名「鱧祭り」とも呼ばれます。脂がのっていて、1年を通じてもっともおいしい鱧の時期と祇園祭の時期が一致していたため、おもてなし料理として振る舞われたようです。

 当院では、入院患者さんに四季折々の旬の食材を味わっていただけるように、毎月1回季節や行事に合わせた食事提供を行っています。7月は祇園祭に因んで、鱧の白焼きを使用した鱧寿司です。鱧にはどんな栄養があるのか見ていきましょう。
 鱧は脂質が少なく、良質なたんぱく質やビタミンAを多く含むため、夏バテや疲労回復、免疫機能向上への効果が期待できます。皮の部分には、コンドロイチンやコラーゲンなどの皮膚の老化を予防したり、骨にも良い栄養が豊富です。
 また、細かい骨が多数存在する鱧は美味しく食べるために「骨切り」をします。一寸(3.3cm)あたり24回包丁を入れ、骨を断ちながら皮と身の間で包丁を止めるように処理が施されるというまさに職人技。骨をそのまま食べることができ、カルシウムをしっかり摂れるため骨粗鬆症予防にもおすすめの食品です。

2025年07月01日

選定療養・自己負担額増加について解説します

(この記事は2025年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 安田 早織 

先発医薬品が高くなる?選定療養・自己負担額増加について解説します。

 2024年10月1日から、「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養制度」が導入されました。この制度では、医療上の必要性はないけれど患者さん本人が「ジェネリック医薬品ではなく先発医薬品を使用したい」と希望する場合に、先発医薬品との価格差の4分の1相当を負担する必要があります。そのため、本制度の導入によって先発医薬品を使用する患者さんの経済的負担が増加することが懸念されます。

選定療養とは

 選定療養とは、患者さんが治療には直接影響を及ぼさない特別な医療サービスや治療方法を選ぶ際に追加料金が発生する制度のことです。一般的に治療費用には健康保険が適用されますが、患者さんの選択によって利用するサービス部分については全額自己負担となります。

なぜ自己負担が増えるの?

 「長期収載品の選定療養制度」の目的は、高騰している医療費を抑えることです。先発医薬品を希望する患者さんの自己負担を増やす仕組みを導入することで、先発医薬品の使用にかかる医療費の増加を抑制するとともに、価格の安い後発医薬品の利用を促進する効果が期待されます。
本制度の対象となるのは、後発医薬品が販売されて5年以上経過した薬や、すでに後発医薬品が広く使われている医薬品です。具体的な対象品目については、厚生労働省のホームページで確認できます。

薬局に後発医薬品の在庫がない場合はどうなるの?

 薬局やドラッグストアに後発医薬品の在庫がなければ、選定療養費はかかりません。また、医師が医療上必要と認めた場合も選定療養の対象外です。医療上必要な場合とは、下記に該当する場合です。

● 効能・効果が異なる
● 治療効果に差が生じると思われる
● ガイドライン等で後発医薬品への切り替えが推奨されていない
● 後発医薬品の剤形では服用しにくい、一包化できない等服用上の不都合がある

 選定療養制度によってどのくらい自己負担額が変わるのか知りたい場合には、病院や薬局に問い合わせる必要があります。選定療養制度を正しく理解して、ご自身にあった治療方針を選びましょう。

2025年05月01日