西陣だより

様々な呼吸器疾患に向き合うために

(この記事は2023年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

呼吸器内科 医員
杉本 匠


 

  内科の中でも、呼吸器内科という分野をご存知でしょうか?馴染みのない方が大半で、疾患イメージが中々湧きにくいジャンルかもしれません。ここでは呼吸に関する臓器の病気や当院の検査について、少しでも皆様に身近に感じていただけたらとご紹介させていただきます。

 

 呼吸器内科とは、肺や気管、気管支など、呼吸に関係してくる臓器を扱う分野を言います。一番私たちに馴染み深い病気といえばいわゆる「のど風邪」もその1つでしょうが、それは「上気道炎」といって、あくまで空気の通り道である上方の気道におこる感染症の1つでしかありません。呼吸器内科ではさらに体の奥に迫る下気道等も含めて呼吸全般にまつわる様々な病気と向き合っています。
 部位の違いでいうと、気管支炎、肺炎などを筆頭に多彩な感染症がありますし、感染症に限らず、免疫系の疾患だと間質性肺炎や、あるいは悪性新生物では肺がんもあります。呼吸の能力の問題でいうと、喘息やCOPD(いわゆる肺気腫と昔は呼んでいました)もそうです。その他にも睡眠時無呼吸症候群やアレルギー疾患など挙げ始めるとキリがありません。
 皆様とのお付き合いの意味でも、風邪のようなよくある病気ですぐに治っていくものもあれば、命にかかわる病気や、生涯に渡って治療に向き合っていく必要のあるものまで様々です。その為、お一人お一人に最適の検査・診断とそれに合わせた治療を、皆様により良い形でそれぞれ選んでいく必要があります。
 その1つの手段として、当院では「気管支鏡検査(気管支ファイバースコープ)」にも力を入れています。気管支鏡検査とは、空気の吸い込む通り道伝いに、内視鏡のカメラを進めていく気管支・肺の検査のことです。内視鏡といえば胃カメラ・大腸カメラが有名ですが、その肺バージョンとなります。全ての呼吸器疾患で必要なわけではありませんが、特に肺がん、間質性肺炎や原因不明の感染症などで有用な検査で、他の検査では代わりにならないことも度々ある重要な検査方法です。

 

 

 今まではどうしても当院の機材で検査困難なケースもありましたが、現在、その気管支鏡検査をグレードアップして、超音波の検査を組み合わせたものでさらに精度を高めていけたらと日々研鑽を積んでいます。是非、当院にお任せください!
 長くなりましたが、最終的に辿り着ける診断は様々な候補がありますが、その多くの病気では、最初の頃は咳や熱など風邪のような症状から始まることもあります。「長引く風邪が…」「原因不明の咳がずっとなくならない」など、ちょっとしたことでも良いですので、お気軽に内科外来までお越し下さい。

2023年05月01日