西陣だより

選定療養・自己負担額増加について解説します

(この記事は2025年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 安田 早織 

先発医薬品が高くなる?選定療養・自己負担額増加について解説します。

 2024年10月1日から、「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養制度」が導入されました。この制度では、医療上の必要性はないけれど患者さん本人が「ジェネリック医薬品ではなく先発医薬品を使用したい」と希望する場合に、先発医薬品との価格差の4分の1相当を負担する必要があります。そのため、本制度の導入によって先発医薬品を使用する患者さんの経済的負担が増加することが懸念されます。

選定療養とは

 選定療養とは、患者さんが治療には直接影響を及ぼさない特別な医療サービスや治療方法を選ぶ際に追加料金が発生する制度のことです。一般的に治療費用には健康保険が適用されますが、患者さんの選択によって利用するサービス部分については全額自己負担となります。

なぜ自己負担が増えるの?

 「長期収載品の選定療養制度」の目的は、高騰している医療費を抑えることです。先発医薬品を希望する患者さんの自己負担を増やす仕組みを導入することで、先発医薬品の使用にかかる医療費の増加を抑制するとともに、価格の安い後発医薬品の利用を促進する効果が期待されます。
本制度の対象となるのは、後発医薬品が販売されて5年以上経過した薬や、すでに後発医薬品が広く使われている医薬品です。具体的な対象品目については、厚生労働省のホームページで確認できます。

薬局に後発医薬品の在庫がない場合はどうなるの?

 薬局やドラッグストアに後発医薬品の在庫がなければ、選定療養費はかかりません。また、医師が医療上必要と認めた場合も選定療養の対象外です。医療上必要な場合とは、下記に該当する場合です。

● 効能・効果が異なる
● 治療効果に差が生じると思われる
● ガイドライン等で後発医薬品への切り替えが推奨されていない
● 後発医薬品の剤形では服用しにくい、一包化できない等服用上の不都合がある

 選定療養制度によってどのくらい自己負担額が変わるのか知りたい場合には、病院や薬局に問い合わせる必要があります。選定療養制度を正しく理解して、ご自身にあった治療方針を選びましょう。

2025年05月01日

看護部ホームページをリニューアルしました。

(この記事は2025年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 看護部サイト(https://nurse.nishijinhp.com)

リニューアルでは、デザインや構成を一新し、また、看護師の実話をもとにしたストーリー動画や、ベテラン看護師の看護エピソードなどを掲載しました。
今後も内容の充実に努めて参ります。


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2025年05月01日

当院で新しいCT検査が始まります!

(この記事は2025年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

放射線科より

 この度、放射線科では320列エリアディテクタCT装置「Aquilion ONE / PRISM N-UX Edition(アクイリオン ワン/プリズムナックス エディション)」が稼働し始めました。

 エリアディテクタCTは、0.5mmスライス検出器を320列配置し、1回転で160mmの範囲を撮影可能なCT装置で、主に頭部や心臓検査などにて、鮮明なCT画像を低侵襲(少ないX線被ばくや少ない造影剤量)で取得することができます。また新たに最新の様々なAI技術が搭載されています。これらにより、エリアディテクタCTの有用性はもちろんながら、画像診断の確信度の向上、新たな臨床価値、さらなる低侵襲を実現します。

 心臓検査を例にして、今までのCT(64列CT)とエリアディテクタCT(320列CT)の違いを説明します。
 今まで使用していた64列CTでは、検出器幅が40mmであり、複数回転で撮影するため撮影時間がかかります。その間に不整脈や心拍変動が生じたり、患者さんによっては息止めができず動くリスクがあります。これにより、画像にブレや段差が発生し、診断できないケースが出てきます。また、複数回転で撮影するためX線被ばくは増え、撮影時間がかかるため造影剤量も多く必要です。320列CTでは、検出器幅が160mmのため、1回転で心臓撮影が行えます。これにより64列CTで生じていた様々なリスクに対応でき、良好な画像を簡単に取得できます。64列CTからX線被ばくや造影剤量も大幅に低減できます。

 その他に、本CT装置のガントリ・寝台・操作コンソールの特長として、ガントリの最速回転速度は0.275秒へと向上しています。ガントリ回転速度の向上により、心臓検査や息止めが難しい患者さん、小児検査に対して、さらなる負担軽減や検査成功率の向上が期待されます。ガントリ開口径の大きさも780mmになり、より解放感をもって検査を受けていただくことができます。寝台は天板幅が470mmと腕の挙上が困難な患者さんも安心して腕下し検査が行えます。また寝台には左右に動く機能も搭載されています。操作コンソールは27インチのワイドモニタが採用されており、撮影・画像作成・画像観察までをより迅速に簡便に行う操作性も備わっています。

 近年世間では AI( Artifi cial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス):人工知能)が注目を浴びています。本CT装置にても、このAI技術がCT画像作成や撮影補助のために搭載されています。CT画像作成においては、AIの中の基盤となる技術であるDeep Learning(ディープラーニング)を応用した様々な画像再構成を使用できます。画像のノイズを判断し除去するAiCE(エーアイシーイー)画像再構成、画像の解像度を高めるPIQE(ピーク)画像再構成、動きによるアーチファクトやブレを修正するClear Motion(クリアモーション)画像再構成により、より低侵襲で高品質なCT画像が作成できます。
 今後、放射線科では、新装置をフル活用し、検査の質と快適性をこれまで以上に追求していきたいと考えています。

2025年05月01日

季節の”食”めぐり

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 3月3日は五節句の一つ「上巳(じょうし・じょうみ)の節句」別名「桃の節句」「ひな祭り」です。今回は、ひな祭りにまつわる食べ物について紹介します。 ※それぞれ諸説あります

菱 餅 

 下から「緑・白・桃」の三色の餅を重ねたものが定番です。ひし形は、魔よけの力があるといわれるヒシの実をモチーフにしたもの。緑色は大地、白色は雪、ピンク色は桃を表し、雪の下に新芽が芽吹いて、桃の花が咲くという意味があります。緑色▷健康や長寿、白▷清浄、ピンク▷魔除けの願いがこめられているともいわれています。

ひなあられ

 関西地方では丸形のしょっぱい&甘いあられ、関東地方では米粒型の甘いポン菓子、と味や形が異なります。

ちらし寿司

 ちらし寿司そのものにはいわれはありませんが、縁起の良い具材がお祝にふさわしいとされているようです。

●え び・・・・・腰が曲がるまで体が丈夫という意味で長生き
●れんこん・・・ 複数の穴が開いていることから、将来が見通せる
●豆・・・・・・ マメにはたらく

はまぐりのお吸い物

 はまぐりは二枚貝で、対になっている貝殻同士しかピッタリ重ならないので、何事にも相性のよい相手と結ばれて、仲睦まじくすごせるようにとの意味があります。

 

2025年03月01日

心不全のお薬について紹介します

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 大竹 優樹

 心不全は全身に血液を送る心臓の機能が低下し、息切れや体のむくみを生じる病気で、高齢者のうち5人に1人がかかる一般的な病気です。一度発症すると再発を繰り返しながら心臓の機能が徐々に低下していく予後の悪い病気です。病状を進行させないよう、食事や体調管理とともに、薬を適切に服用する必要があります。

Fantastic4とは?!!

心不全の内服薬は主にFantastic4と呼ばれる、4種類の薬を併用し、心臓を守ります。

      1. ARN(Iエンレスト)
        血圧を下げ、体内に貯まる水分量を減らし、心臓への負担を軽くして心不全の悪化を抑制します。
      2. SGLT2阻害薬 (フォシーガ、ジャディアンス等)
        腎臓でグルコースの積極的な排泄を促し、水分量の調節などによって心不全を改善します。
      3. β遮断薬(カルベジロール・ビソプロロール等)
        心臓の過剰な収縮や心拍数を下げ、心筋の酸素需要を減らし、心臓の疲弊を抑えます。
      4. MRA(スピロノラクトン・ミネブロ等)
        血圧を下げ利尿を促し心血管系の保護効果をもたらします。

     この4剤を併用する治療法は、従来の治療法より生命予後が延伸するとされています。心不全の治療は薬が多くなる印象があるかもしれませんが、これら4剤を併用することが、病状を進行させないためには必要です。他にも利尿薬や血圧の薬が処方されることがあります。

    薬の管理について

     管理が難しいと感じた時は、服用回数を減らせないか、家族や介護者が服用に関わる場合は、その方たちが介入しやすい時間帯の用法に変更できないかなど、診察時に相談してみましょう。保険薬局では一包化や飲み忘れてしまった場合の残薬の整理、複数の医療機関で処方された薬の管理方法など相談してみましょう。心不全の治療は薬や食事など気を付けるべきことがたくさんあり、負担に感じられることもあるかと思います。病院で心不全手帳を受け取られた方は、心不全手帳・お薬手帳を保険薬局や訪問看護、デイサービスの方等とも共有して、体重や経過を確認してもらいましょう。たくさんの人と一緒に治療して心臓を守っていきましょう。

2025年03月01日

【開催報告】第5回 上七軒ICLSコース

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

 2024 年11月24日(日)に、西陣病院で第 5 回上七軒 ICLSコースが 開催されました。ICLSとは突然の心停止に出会った時にどのように対処すべきかということで、京都府立医科大学 救急医療学の武部弘太郎先生をコースディレクターとしてお招きし、ICLSコースを修了した当院のスタッフが、インストラクターとして受講者に指導を行いました。
 今回の講習会は受講者12名で、医師、看護師、放射線技師、臨床工学技士、また他施設から看護師の受講がありました。蘇生についての知識や技術の講義を受け、実際にトレーニング用人形を用いて蘇生術を学んでいきました。受講生は真剣な眼差しで講義を受け、患者さんの急変の場面で慌てずに実施できるよう繰り返し蘇生のトレーニングを行いました。

     

2025年03月01日

世界糖尿病デーのイベントを行いました

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

世界糖尿病デーのイベントを行いました

 11月14日はインスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日で、糖尿病の予防、治療、療養の喚起を推進することが世界的に行われています。当院でも昨年の11月16日(土曜日)にイベントを行い、通院中の患者さんやその御家族、また他院通院中の方も含めて、多数の方に御参加いただき盛況に終わることが出来ました。糖尿病に関する講演・クイズ大会・体操教室を前半に行い、後半は各ブースにわかれて動脈硬化の検査・医療相談(腎症について)・血糖・血圧測定や足のチェック・咀嚼に関する栄養相談・薬剤相談などを行いました。皆様の笑顔で糖尿病チームのスタッフまでもが楽しい時間を過ごせました。今年もまた秋に開催したいと思いますのでぜひまた御参加いただければと思います。

2025年03月01日

腹腔鏡下胃切除手術

胃をできるだけ残す、体に優しい胃がん手術

(この記事は2025年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外科医長
大橋 拓馬

 

 

胃がんの治療では、がんを取り除くだけでなく、手術後の生活の質(QOL)も大切です。当院では「根治性を保ちながら、小さい傷で、できるだけ胃を残す」方針で患者さんに適した治療を行います。また進行した胃がん、転移を伴う胃がんにも積極的な治療を行っています。

胃を温存する手術とは?

 胃を切除すると、食事量の減少や体重減少が避けられません。特に胃全摘術では生活の質に影響を与えます。そこで当院では「小さい傷でできるだけ胃を残す」方針で治療を行います。通常なら胃全摘とされるケースでも、「胃亜全摘術」や「噴門側胃切除術」を腹腔鏡手術( 小さい傷の手術 )で行い、胃をできるだけ残す方法を採用しています。
胃亜全摘術▶胃の上部にある胃がんに対する手術で、逆流防止機能や食欲を調整するホルモンを分泌する部分を残せるため、胃全摘より術後の栄養状態や生活の質が向上すると報告されています。
噴門側胃切除術▶胃の上部や食道胃接合部のがんに対する手術で、胃の約半分を温存できます。食道と残った胃をつなぐ際に逆流を防ぐ工夫を行うことで、術後の食事摂取、生活の質を保つよう努めています。

進行胃がんにも積極的な治療を

 進行した胃がんや転移がある場合でも、積極的な治療を行っています。
術前化学療法▶大きなリンパ節転移がある場合、手術前に抗がん剤治療を行い、がんを小さくしてから手術を行う方法を採用しています。
コンバージョン手術▶転移があるため手術が難しいと診断された患者さんでも、化学療法によって転移が消えた場合には手術が可能になることがあります。

患者さんひとりひとりの疑問にお答えします

 がんの治療には何より早期発見が大切です。そのためにもまずは胃カメラの検査を受けてみてください。胃がんと診断された場合はいろいろな不安や疑問が出てくることでしょう。「胃は全部取るの?」「どのような手術が適しているの?」といった疑問にも、「手術の傷の痛みは?」「術後の生活はどうなるの?」という不安にも、ゆっくり丁寧にお答えします。患者さんとじっくり話し合いながら、最適な治療を一緒に考え、サポートしていきますので、どうぞ安心してご相談ください。

2025年03月01日

【開催報告】慢性腎臓病患者さん対象 調理実習&勉強会

(この記事は2025年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

栄養課

慢性腎臓病をお持ちの患者さんを対象にした調理実習と勉強会を院外の施設をお借りして10月29日に開催しました。参加数は少数でしたが、楽しく和気あいあいと3品を1時間ほどで作り、その後、作った料理をおいしくいただきながら、減塩・食養生を継続するコツを学びました。参加された方からは「楽しかった」「またやってほしい」とのお声をいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年01月01日

季節の”食”めぐり

(この記事は2025年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

 

おせち料理について

おせち料理は歳神様と同じものを一緒に食べることで、福を招き、災いを打ち祓うと考えられていました。当院でも元旦におせち料理を提供してい
ます。当院で提供しているおせち料理の一部を例にとって、おせち料理に込められた意味を見てみましょう。

ぶり 

 代表的な出世魚の一種。立身出世を願って食べられる魚。

黒豆

 「まめに元気に働けるように」と無病息災を願って食べられています。

かまぼこ

 形が半円に見えることから「日の出」を意味していると言われています。赤い部分は魔除け、白は清浄や神聖さを意味しています。

伊達巻き

 形が巻物に似ていることから「学業成就」の願いを表しています。

かぶ

 その語感が頭(かぶ、かしら)に通じることから、頭(かしら)を目指すという縁起物です。「菊花かぶ」には長寿を願う意味合いがあります。

 

2025年01月01日