
皮膚科部長
坂元 花景
ワクチンを接種して、「痛い病気」として有名な帯状疱疹の予防をしましょう。
助成はここ5年間は、年度内に65、70、75、80、85、90、95、100歳となる方が対象です(101歳以上の方は、今年度に限り、全員が対象)。
帯状疱疹ワクチン予防接種について
帯状疱疹の原因は、過去に水疱瘡にかかった時に体内に入り、潜伏しているウイルス(日本人の成人の9割がウイルスを保有していると言われています)の再活性化です。体の左右どちらかに、痛みを伴う皮疹が帯状に出現し、通常は皮疹が出てから1週間が1番痛く、改善しても1ヶ月ぐらいは痛みが続くことが稀ではありません。また、約2割の方は皮疹治癒後も「ズキンズキンとする」痛みが続きます(これを帯状疱疹後神経痛と呼びます)。
毎年約60万人が帯状疱疹を発症し、50歳代から発症率が高くなります。発症のピークは70歳代で、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。
帯状疱疹ワクチンを打っても、100%発症しないわけではありませんが、たとえ発症しても症状が軽く済み、帯状疱疹後神経痛などの後遺症の予防につながります。
ワクチンには2種類あります。簡単に言うと「高額だけど効果が高く、長く効くもの(京都市助成ありで計36,000円)」「安価だけど効果が低く、持続期間も短いもの( 京都市助成ありで4,000円)」です。それぞれ特徴がありますので、詳しくはご相談いただければと思いますが、70歳以上の方は「安いほう」では効果が低いため、「高いほう」をお勧めします。
ワクチンは以前からあり、ご家族が帯状疱疹にかかり苦労されるのを間近で見られた方が、ご自分はかかりたくない、と接種を希望されることが多かったです。帯状疱疹に1回かかると、数年はかかりにくくなりますが、2回目を予防するために、かかったことのある方も接種を考えましょう。また、水疱瘡にかかった覚えがなくても、日本人はウイルスを持っていることが多いため、接種をお勧めします。
帯状疱疹予防接種を希望の方は、体調の良い日に皮膚科を受診してください。在庫があれば当日接種が可能ですが、予約して後日接種となる可能性もありますのでご了承下さい。「高いほう」のワクチンは、2カ月間隔をあけて2回接種となりますので、2回目の接種を年度内に終えるために、今年度の助成対象の方は来年1月までに1回目の接種を受けてください(ややこしいですね)。
居住している市町村によって助成額は異なり、残念ながら京都市の助成額は少なめですが、めげずに積極的に接種を考えましょう。助成はありませんが、50歳以上の方、またはリスクが高い18歳以上の方も予防接種を受けることができます。
(帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の予防を目的として、)日本皮膚科学会及び日本ペインクリニック学会の双方が帯状疱疹ワクチンの接種を強く推奨しています。