放射線科より
この度、放射線科では320列エリアディテクタCT装置「Aquilion ONE / PRISM N-UX Edition(アクイリオン ワン/プリズムナックス エディション)」が稼働し始めました。
エリアディテクタCTは、0.5mmスライス検出器を320列配置し、1回転で160mmの範囲を撮影可能なCT装置で、主に頭部や心臓検査などにて、鮮明なCT画像を低侵襲(少ないX線被ばくや少ない造影剤量)で取得することができます。また新たに最新の様々なAI技術が搭載されています。これらにより、エリアディテクタCTの有用性はもちろんながら、画像診断の確信度の向上、新たな臨床価値、さらなる低侵襲を実現します。
心臓検査を例にして、今までのCT(64列CT)とエリアディテクタCT(320列CT)の違いを説明します。
今まで使用していた64列CTでは、検出器幅が40mmであり、複数回転で撮影するため撮影時間がかかります。その間に不整脈や心拍変動が生じたり、患者さんによっては息止めができず動くリスクがあります。これにより、画像にブレや段差が発生し、診断できないケースが出てきます。また、複数回転で撮影するためX線被ばくは増え、撮影時間がかかるため造影剤量も多く必要です。320列CTでは、検出器幅が160mmのため、1回転で心臓撮影が行えます。これにより64列CTで生じていた様々なリスクに対応でき、良好な画像を簡単に取得できます。64列CTからX線被ばくや造影剤量も大幅に低減できます。
その他に、本CT装置のガントリ・寝台・操作コンソールの特長として、ガントリの最速回転速度は0.275秒へと向上しています。ガントリ回転速度の向上により、心臓検査や息止めが難しい患者さん、小児検査に対して、さらなる負担軽減や検査成功率の向上が期待されます。ガントリ開口径の大きさも780mmになり、より解放感をもって検査を受けていただくことができます。寝台は天板幅が470mmと腕の挙上が困難な患者さんも安心して腕下し検査が行えます。また寝台には左右に動く機能も搭載されています。操作コンソールは27インチのワイドモニタが採用されており、撮影・画像作成・画像観察までをより迅速に簡便に行う操作性も備わっています。
近年世間では AI( Artifi cial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス):人工知能)が注目を浴びています。本CT装置にても、このAI技術がCT画像作成や撮影補助のために搭載されています。CT画像作成においては、AIの中の基盤となる技術であるDeep Learning(ディープラーニング)を応用した様々な画像再構成を使用できます。画像のノイズを判断し除去するAiCE(エーアイシーイー)画像再構成、画像の解像度を高めるPIQE(ピーク)画像再構成、動きによるアーチファクトやブレを修正するClear Motion(クリアモーション)画像再構成により、より低侵襲で高品質なCT画像が作成できます。
今後、放射線科では、新装置をフル活用し、検査の質と快適性をこれまで以上に追求していきたいと考えています。