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MRIと磁性体 ~このような方はMRI検査を受けられません~

(この記事は2006年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

画像診断センター 山川 稔隆


MRI(磁気共鳴画像法)はX線を使わずに人体の断面像(輪切りの像)を撮影できるので、被曝の危険のない優れた画像機器です。どのようにして撮影しているのでしょうか。MRI装置は、大きな筒状の構造をしており、この簡は超電導磁石になっています。検査を受ける人はこの中に人ります。強い磁場の中におかれた人体に電波を発射すると、これに反応して体内の組織の水素原子核が共鳴し、電波を発します。発生した電波を受信し、コンピュータでデータ処理することで人体の断面が画像化されます。

 このようにMRI装置はつねに磁場を発生しているので、体内に磁性体(鉄など、磁石に吸い寄せられる性質を持つ金属)が埋め込まれている場合は磁力の影響を受けます。場合によっては危険なこともあります。では、MRI撮影時に危険な体内の磁性体にはどのような物があるのでしょうか。

①脳動脈瘤クリップ・コイル:脳動脈瘤は破裂するとクモ膜下出血の原因になりますが、動脈瘤の部分に金属クリップを挟むことで動脈瘤の破裂を防ぎます。このクリップが磁性体の場合、MRI検査時にはずれて脳出血をきたす危険性があります。最近の動脈瘤クリップは非磁性体(チタン)製のことが多いですが、この場合は磁場の影響を受けないので検査を受けられます。

②心臓ペースメーカー:精密な電子部品からなるため磁場や電波の影響で動作が狂ってしまいますので検査は受けられません。

③頭蓋内・眼窩内の金属片:銃弾の破片や金属片などが脳や眼球といった柔らかい臓器の中や周囲に残っていると、磁場の影響で金属片が引き寄せられて脳出血や失明の原因になることがあります。

④「いれずみ」や「パーマネントアイライン」:色素の中に鉄粉を含んでいることがあり、電磁波の影響で検査中に熱を発生することがあり、皮膚が腫れたり、火傷をおこしたりすることがあります。

⑤磁石で接着する「入れ歯」:MRIの強い磁場の中で義歯の磁石が壊れることがあります。

MRIが普及して既に20年以上たっているので、最近の体内埋込み器具の多くは非磁性体でMRI可能なものも多いようです。体内に金属が埋め込まれているからといって、すべてが危険とは限りませんが、注意しないと思わぬ事故につながることもありますので、お心当たりのある患者様はMRIを受けられる前に主治医やMRI担当技師にご相談下さい。

| Copyright 2006,07,01, Saturday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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