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メタボリックシンドロームについて

(この記事は2006年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

内科 小林 由佳


最近メタポリックシンドロームという言葉を患者様から聞くことが多くなってきました。健康に関する情報がテレビなどから得られるためでもありますが、なによりも自分の健康を考える機会が増え、心筋梗塞や脳梗塞など身近に思える病気が増えてきたためではないかと思います。

 ではメタポリックシンドロームとは何でしょうか?
これは内臓肥満、耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化性疾患の危険因子が重複する症候群のことで、心筋梗塞、脳梗塞などを起こしやすい病態であることが注目されています。

 インスリンが効きにくくなっている状態をインスリン抵抗性といい、耐糖能異常を引き起こし、これを基盤とし糖尿病に進行します。それだけでなく高血圧、脂質代謝異常の原因になるとも言われています。
「糖尿病と言われてないが境界型と言われて」という耐糖能異常の段階でも糖尿病と比較して心血管系疾患発症のリスクに差がないという研究もあります。

 脂質代謝異常についてはLDLコレステロールが動脈硬化性疾患の危険因子であることがいわれていますが、高トリグリセリド(中性脂肪)血症、低HDLコレステロール血症もま
た別の機序で動脈硬化を進展させるといわれています。

 高血圧に関しては、メタポリックシンドロームの診断基準は130/85以上とされ、より発症のリスクを軽減するために低い降庄目標が必要となります。出来るだけ家庭血圧測定を起床後1時間以内と就寝前にしていただきたいと思います。いくら昼間に下がっていても早朝高血圧があると心血菅系疾患の発症リスクが高くなるためです。

 そして内臓肥満が何故いけないのかというと、脂肪細胞が産生する様々な生理活性物質(アディポサイトカイン)の分泌調節異常が、耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧、さらには動脈硬化に直接影響しているためです。

 ウエスト周囲径や、診断基準には入りませんが身長、体重からわかるBMIは日常生活の中で自覚できますが、血糖や血圧、コレステロール、中性脂肪は少々高くても自覚症状がないので、受診して検査していただきたいと思います。見かけ上肥満がなくても実際は内臓脂肪型肥満の方もおられます。今度CTで内臓脂肪量を測定することが当院で可能となりますのでまた受診の際ご相談ください。

| Copyright 2006,09,01, Friday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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