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もう一度、「お薬手帳」を 見直そう

(この記事は2017年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

お薬手帳



  薬剤部 医薬品情報室




◆「お薬手帳」発祥の地は、東大病院
 お薬手帳は、1994年から東大病院外来診療において、薬歴の一元管理を目的に作成した「処方カード」を処方せんに印字し配布したことが始まりです。
「処方カード」を受け取った患者自身が「お薬手帳」を作成していた歴史があります。
 つまり、「処方カード」は現在のお薬手帳に貼付する「シール」の元祖です。 

◆「お薬手帳」は、なぜ必要とされているのか? 
 1993年に別々の病院から抗ウイルス剤と抗がん剤の処方を受け、くすりの相互作用により重篤な副作用が発生し、15人が死亡した「ソリブジン薬害事件」をきっかけとして導入されました。
 また、1995年に発生した阪神淡路大震災では、救護所や避難所に、診療を行うために必要なカルテなどの記録がなかったので、受診を希望する人たちが「お薬手帳」を持っていなかったため服用状況が分からず、糖尿病や高血圧などの慢性疾患に対して継続して行える最低限の医療が出来ない事態が起きました。

◆「お薬手帳」をなぜ持ち歩かないのか?? 
 「お薬手帳」を持っていれば、病院や医院・歯科医院など複数受診したクスリの重複による過剰投与や相互作用による死亡を防ぐことができます。また、東北や熊本など、いつ起こるか分からない自然災害時でも自分が服用しているクスリを継続して処方してもらえます。
 みなさん自身を守ってくれる「お薬手帳」がなぜ?普及しないのか。それは、マスコミによる「お薬手帳をもらえば負担金が増える!拒否しましょう」という偏った情報だけが独り歩きしたからです。

◆シールを受け取るだけでなく、「お薬手帳」を持ち歩きましょう 
 「お薬手帳」は、みなさん自身がクスリを管理し、アレルギーや副作用歴、薬の使用歴を記録するものです。受診時に医師に提示する他、薬局においても薬剤師が確認することで、飲み合わせ(相互作用)や重複投与、他の治療への悪影響の防止といった、薬物治療の適正化に役割を果たしています。

西陣病院の診察室でも「お薬手帳」を医師に手渡してください。




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植え込み型ループレコーダー「ILR」について

(この記事は2017年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


ILR
北村先生内科 副部長 北村 亮治



 みなさん、植え込み型ループレコーダーってご存知でしょうか? この医療機器は治療目的のペースメーカーと違い診断が目的ですが、大きさの関係もあってあまり普及していませんでした。それが最近ではかなり小さくなったこともあり紹介したいと思います。


 心臓は普段は1分間に60~70回の拍動を行い、1分間に約5~6リットルの血液を送り出しています。このポンプとしての機能は刺激伝導系と言われる心臓の電気系統の働きで全身に血液が供給されています。しかし、何かのきっかけでこの刺激伝導系にトラブルが発生すると心臓の脈拍が極端に低下(徐脈)したり、極端に上昇(頻脈)することがあります。この時の最も重大な症状は失神発作です。これは心臓からの血液の供給不足に対して最も敏感な器官は脳であるため、脳の活動が低下をして、目の前が暗くなって意識を失う状態です。

 日本では、毎年20万人の失神患者が病院に搬送されていると推定され、そのうち20~30%は従来の検査方法では診断できない原因不明失神とされています。

ILR 繰り返す失神発作に対して12誘導心電図やホルター心電図検査などいろいろな検査をしても原因がわからない場合には、心臓由来によるものかどうかを確認するために植込み型ループレコーダーの適応を考えます。これは長期間心臓の拍動を継続的に監視(約3年間)し、不整脈や失神などの症状が起きた時の心電図を記録する装置です。記録された心電図から、症状が起きた時に心臓の拍動に異常がなかったかを調べることができ、失神の原因診断に利用することができます。装置は左胸の皮膚の下に入れて使用します。手術時間としては10~15分程度で終了する簡単なものです。サイズが小さいこともあり植え込んだ後は見た目がほとんど目立たない利点があります。ペースメーカーと違って、万一感染しても簡単に摘出できるので、大きな問題になりにくいです。 手術の傷が回復したらいつも通りの生活をすることができます。他の心電図検査のように身体の表面に電極を貼る必要がなく、入浴もできます。 発作を捕まえて原因がわかったときは簡単に取り出せます。また、条件はありますがMRI 検査も可能です。

 失神発作の原因がわかればペースメーカーやカテーテルアブレーションなどの治療になっていきますが、原因がはっきりしない場合にはこのような比較的侵襲の少ない方法で経過を見ています。何かあれば循環器内科の医師もしくはかかりつけ医に相談して頂ければと思います。


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頚椎症性脊髄症について

(この記事は2017年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


北中先生整形外科 医長 北中 重行


 頚椎症性脊髄症とは、脊柱管を構成する骨性要素や椎間板、靭帯性要素などによって頚部の脊柱管や椎間孔が狭小となり、脊髄や神経根の絞扼性障害をきたして症状の発現した状態を言います。簡単に言うと、首における神経の通り道が狭くなり症状の発現した状態です。

北中先生
 頚部痛などは一般になにかあったとしても軽度で、手指あるいは足のしびれ感や知覚異常で発症することが多く、症状が進行するに従って、手指巧緻運動障害や歩行障害を認めます。

 手の症状としては、箸が使いにくい、ボタンかけがしにくい、書字がしにくい、つかんだ物をよく落とすなどが挙げられます。下肢症状としては、歩行時のふらつき、小さな段差でもつまずくことなどが挙げられます。

 また膀胱直腸障害が出現することもあり、男性では前立腺肥大症、前立腺炎など、女性では骨盤臓器脱や婦人科系疾患などが合併している可能性もあり、それぞれ泌尿器科、婦人科での受診も必要となることもありますが、頻尿、尿失禁、排尿遅延、尿流低下、残尿感、便秘などが挙げられます。

 治療法は、保存療法と手術療法に分かれます。保存療法では、薬物療法、装具療法、生活指導(洗濯の物干し、うがい、空を見上げるなどの頚椎が過度に後屈することを避ける)などが挙げられます。

 患者さんが手術を希望しない程度の軽症例において保存療法と手術療法の成績は3 年の経過で有意差はなく、重症例では手術療法群では良好に改善したのに対して、保存療法群では悪化傾向を認めたという根拠に基づいた報告や罹病期間(症状が出現してから手術までの期間)と術前の重症度は予後と相関するという、これも根拠に基づいた報告があります。

 要するに軽症例ではまず保存療法が第一選択となります。しかし、罹病期間が長く、術前の重症度が高い症例では、十分な改善が得られにくい傾向にあるため、日常生活に支障を来す場合や症状が進行性に悪化する場合はできるだけ早期の手術療法が必要になります。さらに、急速に進行する神経症状、筋力低下、膀胱直腸障害などは絶対的な早期の手術適応となります。

 近年の医療進歩とともに、高齢者(70歳以上)に対する手術も増加してきていますが、手術療法により各年代ともほぼ同等の手術成績が期待でき、高齢という理由だけで手術回避を強く勧める理由とはなりません。

 手術適応と判断された患者さんにおいて、罹病期間が長く、重症化すると、前述した通り、十分な改善を得られないことがありますので、適切な時期に手術療法を受けることが重要です。

 当科では、患者さんの意欲、意思を尊重し、保存療法、手術療法ともに積極的に行っておりますので、前述したような症状があれば、いつでもお気軽に御相談頂ければ幸いです。

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後発医薬品(ジェネリック)の使用促進

(この記事は2017年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


  薬剤部 医薬品情報室

 後発医薬品(ジェネリック)は、先発医薬品と治療学的(有効成分は同じ)に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。
 ジェネリックを普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものです。
(厚生労働省HPより)

 ジェネリックと先発医薬品は、有効性や安全性に関して基本的に違いはありません。

 ジェネリックは、先発医薬品と異なる添加物を使用する場合がありますが、先発医薬品が販売後に添加物を変更する場合と同様に、添加物の違いによって有効性・安全性に違いが生じないことは確認されています。

 また、ジェネリックに使用されている添加物は、多くの先発医薬品にも使用されています。つまり、添加物が原因でアレルギー反応などの副作用等を引き起こすことは、先発医薬品であってもジェネリックであっても、同様に起こりうることです。

 西陣病院では、大学病院や日赤、市立病院などと同様に、全ての入院患者さんに対して、ジェネリックを使用しています。そのため、一部の薬剤を除き、先発医薬品の在庫がないため、患者さんの希望による先発医薬品への切り替えはできません。

 西陣病院は、外来においても、処方せんには、後発医薬品の商品名が記載されています。外来でのジェネリックに関する相談は、かかりつけ薬剤師もしくは普段利用されている薬局でお聞きください。入院時には、持参薬や入院中の薬を管理している『病棟担当薬剤師』にお尋ねください。

薬局でもらっている薬を医師が診察室で確認します。
受診時には、必ず「お薬手帳」を持ってきてください。


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第26回日本臨床工学会に於いてBPA優秀演題若手奨励賞を受賞!!

(この記事は2017年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



佐々木祐也臨床工学技士 臨床工学科
 佐々木 祐也


 今年度開催された第26回日本臨床工学会において、当院の臨床工学科、佐々木祐也臨床工学技士(29)が発表した演題『ナビゲーションシステム使用時における椎体以外の抽出物が与える影響について』がBPA(Best Presentation Award)若手奨励賞優秀演題を受賞しました。

 これは、整形外科手術で使用するナビゲーション手術における機械ハード上の問題点の原因を解明し、世界中のナビゲーション手術の安全に寄与したことを同学会から高く評価され、選出していただけたと考えています。

 当院の臨床工学科は「臨床」と「工学」の架け橋となるために設けられた専門職と理解し、心温かい対応で良質な医療と安全を提供します。今回の受賞をさらに励みとし、医療機器と患者さんを結ぶ存在として、今後さらに社会貢献を果たしていく所存です。




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