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関節リウマチについて
![]() | 内科 神尾 尚馨 |
関節リウマチというと、関節が変形して治らない病気というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。有名な画家ルノワールも関節リウマチによって手指が変形し、車椅子で生活していたことが知られています。しかし、近年早期診断・早期治療が可能になり、多くの新薬が開発されて、関節リウマチの治療は大きく変化しました。日本におけるリウマチ患者数は一般的に約70 ~ 80万人で、100 ~ 200人に1人が罹患するといわれています。どの年齢の人にも発症しますが、30 ~ 50 代で発症する人が多く、女性は男性の約3 ~ 5倍も高い頻度で発症します。リウマチは、本来外敵と戦うための免疫システムが何らかの原因で自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつと考えられています。免疫細胞が異常に活動して関節内に炎症が引き起こされ、関節の腫れや痛みが生じます。この炎症が続くと骨破壊が起こり、徐々に関節が変形します。免疫異常が起こる原因は現在のところはっきりとはわかっていませんが、最近の研究では遺伝的な素因に加えて喫煙や歯周病が関与していると考えられています。
関節リウマチの診断は診察所見や血液検査、レントゲンなどから総合的に行いますが、早期診断の際に最も重視されるのは関節の腫れと痛みです。血液検査でリウマチ因子が陽性でも関節症状がなければリウマチとは診断されません。手指の第二関節(PIP関節)や指の付け根(MP関節)、手首など、小さな関節が痛むのが特徴で、歩くときに足趾の付け根(MTP関節)が痛むこともあります。同じように関節が腫れて痛む疾患に軟骨が擦り減って起こる変形性関節症があり、手指の第一関節(DIP関節)
の腫れと痛みは変形性関節症であることが多いと考えられています。また変形性関節症では長時間使っていると痛みが強くなるのに対し、関節リウマチでは朝起きた時にこわばりが強く、動かしているうちに楽になってくるのも特徴のひとつです。最近はMRIや超音波などを使用して関節の炎症を画像的に評価することもできるようになってきました。
関節リウマチの治療は、以前は痛みの緩和を目標とした鎮痛薬やステロイドの使用が中心でした。しかし、新薬が開発されたことによって、炎症を抑えて関節破壊の進行を止めることを目標とした治療へと変遷しています。早期からの適切な抗リウマチ薬の使用に加え、日本でもこの10 年ほどの間に生物学的製剤と呼ばれる新しい薬が使えるようになり、炎症や痛みのない「寛解」と呼ばれる状態を目指した治療が行えるようになってきました。日本では現在7 種類の生物学的製剤が承認されており、それぞれの患者さんの病態に合わせた選択ができるようになってきています。またJAK 阻害薬という全く新しいタイプの内服薬も昨年承認されました。病態の解明や新しい薬の開発はこれからさらに進んで行くと期待されています。
このように大きく進歩している関節リウマチの治療ですが、関節リウマチの関節破壊は発症から2年以内に急速に進み、いったん進行すると不可逆的になるため、早期に診断して治療を始めることが重要です。関節の痛みやこわばりを感じたら、早めにご相談頂ければと思います。| Copyright 2014,03,01, Saturday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |



「コミュニケーション」の問題は失語症、構音障害や、注意・記憶などさまざまな高次脳機能障害によって生じます。失語症とは、脳の言語領域の損傷により、「聴く・話す・読む・書く」という言葉の機能に障害が生じることです。失語症では、その方の重症度や失語症タイプ、年齢や職業など身体的・社会的背景にそった練習を、種々のドリルを用いて行います。構音障害とは、脳の病気や舌癌などにより、「声が出ない」「呂律がまわらない」など、話しにくくなることです。構音障害では症状に合わせて、発声器官の運動や、ドリルなどを使用しての発音の練習を行います。また、ゆっくり、大きく、区切って話すなど代償的な発話法も指導します。「コミュニケーション」の問題に対しては、障害された機能を可能な限り改善することと、機能の改善が難しい場合も、残された機能を生かすことで、コミュニケーション能力の改善を目指します。
「食べること」の問題は、脳の病気や癌などにより、飲み込みが上手くできなくなることです。食べることは、単なる栄養補給だけでなく、生きる楽しみの一つであり、コミュニケーションとともに“生きがい”に関わる問題です。嚥下訓練(飲み込みの練習)では、飲み込みにかかわる器官(のどや口など)の体操、呼吸訓練、嚥下パターン訓練、食事指導(姿勢や食事形態の調整など安全に食事を摂取するための指導)を行います。また当科では、低周波刺激法、筋電図によるバイオフィードバック法(以下BF法)など新しい技法を積極的に取り入れています。嚥下訓練では“飲み込む運動” を改善することが目標ですが、うまく飲み込めているかどうかは、自分自身ではわかりにくいものです。BF法では、飲み込んだ時に、のどの筋肉から発せられる電流を皮膚上から記録し、モニター上で“飲み込む運動”の状態(強さ・持続時間など)をリアルタイムで見ていただきながら、嚥下訓練を行います。このBF法は、見えないものを、見えるようにする技法であり、日本では導入している施設はわずかですが、欧米においては信頼性の高い治療法として認知されています。

