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頚椎の疾患について

(この記事は2008年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


整形外科 医師 高取良太

 頚椎は7個の椎体(骨)と椎体間をつなぐ椎間板、椎間関節から主に形成されます(図1)。頚椎は頭部と体幹部をつなぎ、頭部を支える役割を果たすため、非常に負担がかかる部位です。頚椎に負担がかかると、交通事故などの外力に伴う頚椎捻挫や、慢性的な肩こりを引き起こす場合があります。今回、頚椎に関わるいくつかの疾患をご紹介させていただきます。

頚推椎間板ヘルニア

 椎間板が加齢とともに変性し、椎間板の-部が後方へ突出することで、神経根や脊髄を圧迫し、症状を引き起こします。30~50歳代に多く、頚部から肩、上肢にかけて、痛みやしびれが生じます。重度の場合には歩行障害や排尿障害が生じます。

頚椎症

 50歳以降に多く発生し、変性、変形が進んだ椎間板、椎間関節やそれに伴い骨が変形してできた骨柄(こつきょく)、肥厚した靭帯などにより、様々な症状をきたします。頚部、肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの局所症状、片側の神経根を圧迫することによる頚部から肩、上肢にかけての痛みやしびれ(神経根症)、脊髄を圧迫することによる手足の運動障害や排尿障害(脊髄症)などが症状としてみられます。

関節リウマチによる頚椎病変

 関節リウマチは全身の関節に関節炎を生じる疾患ですが、約20~30%の患者さんに頚椎病変が生じます。特に環椎(第1頚椎)と軸椎(第2頚椎)をつなぐ環軸関節において、変形が徐々に進行し、環軸関節亜脱臼が生じます(図2)。この病変は頑回な後頚部痛などの症状や、進行すると脊髄圧迫に
よる脊髄症をきたす場合がありますので、専門医による診療が必要です。

 頸椎の疾患では、神経根や脊髄などの圧迫症状が出現した場合、手術による加療を必要とする場合があります。しかし多くの場合、鎮痛剤や筋緊張緩和剤などによる薬物療法や神経ブロック、姿勢の指導、体操、筋力訓練などによる運動療法や頚椎牽引、温熱刺激、電気刺激などによる物理療法といった治療法が有効ですので、ぜひ一度整形外科外来を受診してみてください。
頚椎

| Copyright 2008,03,01, Saturday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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