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慢性前立腺炎について

(この記事は2007年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

泌尿器科 大西彰


 股間の不快感や鈍い痛みを常に感じていて、頻尿(おしっこがちかい)、残尿感(おしっこのあとも残った感じがする)、排尿困難(ちょろちょろとしか出ない、きばらないと出ない)、排尿時痛(おしっこをする時のしみるような痛み)などの症状もある。けれど、日常生活には支障はないので我慢してしまっている、という男性の方はおられませんか?

 もしかしたら、慢性前立腺炎かもしれません。

 「前立腺」とは、男性のみにある臓器で、膀胱より末梢側つまり足側にあって、中に尿道が通っています。尿道を取り囲んでいるため、ここに何か異常が起こると前述のようなおしっこの症状が出てくるのです。

慢性前立腺炎 慢性前立腺炎は、慢性骨盤病症候群とも言われ、細菌感染など明かな原因があるものもありますが、ほとんどは非細菌性ではっきりとした原因が分からないものです。長時間の座り仕事(運転手や事務仕事など)をする30代~50代ぐらいの男性に多く、骨盤内の血流障害が一因と言われています。肩こりが骨盤の中で起こっているようなもの、と言えば分かりやすいでしょうか。肩こりに似ていることからも分かるように、なかなかすっきりとはよくなりません。

 治療には通常、抗菌薬、植物エキス製剤、鎮痛剤、尿道の括約筋の緊張を解くα1ブロッカーなどの薬物療法が行われますが、原因不明のケースでは、決定的な治療法がないのが実状です。日常生活でできることとしては、なるべく長時間いすに座ることを避ける(数時間に1回休憩を入れたり運動をしたり)、いすの上に円座(ドーナツ型のクッション)を置く、自転車・バイクなど股間に刺激を与える乗り物は避ける、アルコールや辛いものなどの刺激物を控える、ぬるめのお風呂に入って温まる(熱すぎるお風呂は逆効果)、などがあると思います。

 「慢性」という名の通り、治療には根気が必要ですし、症状が持続し、なかなかよくならず、医師も患者さんもともに悩むのが慢性前立腺炎です。

 冒頭に挙げた、頻尿、残尿感、排尿因難、排尿時痛といった症状に加えて、会陰部の違和感や鈍痛がある男性の方!あなたは慢性前立腺炎かもしれません。もちろんそれ以外の前立腺の病気や、骨盤内の病気、尿路の病気も考えられますので、一人で悩まずに、一度泌尿器科を受診してみてください。

| Copyright 2007,07,01, Sunday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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