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呼吸器外来について

(この記事は2016年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


上田先生 内科部長 上田 幹雄

 呼吸器外来では、肺や気管支などの呼吸器の病気の診療をおこないます。よくある症状は、咳がでる・痰がからむ・息が苦しい・息をする時にゼイゼイとかヒューヒューという音がする、などです。これらの症状がなくても健康診断の胸部レントゲン検査で異常が発見されることもあります。呼吸器の病気は、肺炎・気管支炎・気管支喘息・肺がん・COPD・間質性肺炎・睡眠時無呼吸症候群など多くの種類があります。
 

 COPD(シーオーピーディー)というのは、タバコや大気汚染などで肺に慢性的な炎症がおこる病気です。日本では2014年にこの病気で1万6千人が亡くなられ、日本人男性の死亡原因の第8位になっています。重症例では体を動かすと息切れがひどくなり日常生活が困難になります。呼吸困難のために日本で在宅酸素療法を受けている16万人以上の患者の半数近くがCOPDが原因です。また、軽症・中等症のCOPDであっても、わが国の悪性腫瘍死亡で最も多い肺がんや、社会の高齢化とともに近年急速に増加して死亡原因の第3位となった肺炎をひきおこしやすいので、注意が必要です。このように、高齢者の肺の健康を守り、健康寿命を維持するために、COPDの予防・診断・治療がとても大切だといえます。しかし、少なくとも530万人以上いると見積もられているCOPD患者さんのうち、正しく診断されて適切な治療を受けている患者さんは10%にも達していません。この背景には、COPDに対する社会的な認知度が低い現状があります。喫煙厚生労働省は2 012年に「21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21【第二次】)」の目標としてCOPDの認知度向上(2022年度までに認知度80%にする)を掲げ、国を挙げてCOPDの認知度向上に取り組む方針を示しました。喫煙者でかつ4 0 歳以上で息切れがあるようでしたら、COPDの可能性があります。息切れがしても病気だと考えずに「年のせいだろう」と思い違いをしているかもしれません。是非受診して診断を受けてください。


 また、日本などの先進国では、花粉症・気管支喘息・食物アレルギーなどのアレルギー性疾患の患者さんの数が増加しています。アレルギー性疾患のなかで呼吸器外来で対象となるのは気管支喘息です。気管支喘息はかつて日本で年間5千~6千人が亡くなられる病気でした。成人の気管支喘息患者数は、この30年間で3倍に増加し、人口の3~6%が罹患していると考えられています。しかし、昨今の治療法の進歩で、患者数は増えたにもかかわらず死亡数は2千人を下回るまでに減っています。気管支喘息の患者さんは、この最新の治療の恩恵を受ける機会を逃さないことが大切です。


 呼吸器外来では、より専門的な検査や治療が必要だと判断すれば高度専門病院と連携する体制にもなっていますので、気になる症状があればまずはご受診いただければと思います。

| Copyright 2016,05,01, Sunday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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