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外科化学療法室が移転して新しくなりました。

(この記事は2013年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



福本医師 外科 副部長 福本 兼久


 以前、大腸がんに対する抗がん剤治療についてこの西陣病院だよりにも記載しましたが、2013年6月から外来化学療法室が移転して新しくなりましたのでご紹介します。
 大腸がんは近年急激に増えており、不幸にも大腸がんでなくなる方がこの数十年で10倍近くに増えています。厚生労働省が2007年に発表した死亡率でも、男性では肺がん、胃がんについで第3位ですが、女性では2005年から引き続き第1位です。

 また、大腸がんは、ほかのがんに比べ比較的ゆっくり進行するのが特徴ですが、いったん進行するとリンパ節や肝臓、肺、骨に転移するため、早期発見、早期治療により完治させることが重要です。早期発見のためには、大腸内視鏡検査を受けるのが最も確実で、小さなポリープや粘膜内にとどまっている早期がんは内視鏡下に切除することも可能です。(西陣病院だより2012年9・10月号でも紹介しています)

 がんが進行している場合でも腹腔鏡手術という、より低侵襲な手術により治療することが可能な場合もあり、更に進行して肝臓や肺に転移していても手術で切除が可能な場合もありますが、残念ながら既に肝臓や肺に多数の転移があり、手術単独では治せない場合も増加しています。そのような状態では、手術前や手術後に薬による治療いわゆる化学療法(抗がん剤治療)が行われますが、最近10年間で大腸がんに対する抗がん剤治療は大きく進歩し、新しい抗がん剤や分子標的薬といわれるがん細胞の一部分を狙い撃ちするような治療薬が出現し、薬が効きやすいがんになりつつあります。また、肝臓や肺の転移に対して抗がん剤治療を行うことで、腫瘍が縮小したり消失したりする場合も増えており、化学療法後に縮小した腫瘍を含めて肝臓や肺を手術で切除できる場合もあります。このように、化学療法(抗がん剤+分子標的薬)を行うことで、再発後の生存期間も約2年以上と飛躍的に改善しています。現在も新しい分子標的薬の開発や臨床試験が盛んに行われており、更なる生存期間の改善が期待されています。

生存期間中間値

 続いて、外来化学療法室で行っている実際の治療について説明します。

 当院では、大腸がんを含め、胃がん、膵がん、胆管がん、膀胱がん、前立腺がんなど様々ながん腫に対して外来化学療法を行っています。それぞれの治療法の詳細については割愛しますが、例えば大腸がんでは、抗がん剤+分子標的薬という多剤併用療法が行われることがほとんどで、治療時間も約3~4時間と長時間にわたり点滴を行います。実際に4時間ほどの点滴を続けるのは非常に苦痛なのですが、当院では患者様が少しでもリラックスして治療が受けられるように心がけています。

 設備としては、フルリクライニングチェアー5台(電動3台、手動2台)とベッド2台を配置し、プライバシーに配慮してそれぞれの間隔を広めに取っており、楽な姿勢でご希望の場所で治療を受けることが可能です。また、それぞれにテレビも配置しており、お好きな番組を見ながらの治療も可能です。

外来化学療法室


 最近の化学療法は、非常に特徴的な副作用が出現することも多く、当院では外来化学療法室専属の看護師が常駐しており、治療前から治療後まで患者様の体調をきめ細かく観察し、できるだけ安心して治療が受けられるようにしています。また、投与している薬の作用や副作用については、化学療法専門の薬剤師が丁寧に説明し、治療に対する不安を取り除くように心がけています。

 抗がん剤治療というと以前は副作用が強く、治療により動けなくなってしまうような印象がありますが、現在の治療法は副作用も少なくなっており、外来通院で治療を行うことが可能となりました。このため、外来化学療法室は、患者様にとって、より安心、快適、安全に、個々の病状に応じた治療を受けていただき、治療後も普段通りの生活に戻れるような施設を目指しています。また、主治医、看護師、薬剤師、管理栄養士が密に連携し、チーム医療により患者様の治療を支援していきます。

外来化学療法室スタッフ
外来化学療法室スタッフ


 当院では、週3回(月、水、金)化学療法専門外来を行っていますので、詳細は担当医または化学療法外来担当看護師までご相談ください。

 なお、当院は日本がん治療認定医機構認定研修施設の認定を受けています。

| Copyright 2013,11,01, Friday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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