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高血圧症について

(この記事は2007年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

内科 小林 由佳


 「そういえば、検診でちょっと血圧が高いって言われていましたけど…」と聞くことがよくあります。確かに血圧が少々高くても自覚症状がないことが多く、そのままになっている人も多いと思います。今回は、どれだけ高血圧を “認識” していますか? “意識” していますか? ということをテーマにして、家庭血圧測定についても考えていきます。

 日本では65歳以上の高齢者人口が増加して、全人口の20%に達しています。その中で高齢者の約70%が高血圧と考えられています。これは高血圧症患者の半数が高齢者であり、今後も更に増加していくとも考えられています。また、65歳以下の方においても、高血圧症は増加傾向にあります。日本の死亡原因の2番、3番である心疾患、脳血管疾患は高血圧が関わっていることが多く、死亡原因三大疾患のうち70歳以上について言えば、心疾患、脳血管疾患の死亡数は死亡原因の1番であるがんよりも多くなっています。血圧が20/10mmHg上昇すると、脳卒中、虚血性心疾患の罹患・死亡の危険性は約1.5~2.0倍となるとも報告されています。以上より、高血圧という状態が、色々な病気を引き起こす厄介なものだと “認識” していただけたかと思います。
 
 では次に “意識” することについてですが、まず自分の血圧がどうなっているのかということを把握するのが大切だと考えます。これは診察の時に測る血圧だけでなく、家庭で測る血圧もどうなっているかが重要になってきます。家での血圧は正常なのに診察や検診時に思ったより血圧が高いという白衣高血圧症は、家庭血圧測定をしていただくことで分かります。そして、降圧剤治療効・薬効持続の評価も出来るため、血圧測定したものを記録して来ていただけると治療に役立ちます。また血圧の日内変動において、起床後1~3時間の早朝高血圧が虚血性心疾患、脳血管障害の発症に大きく関与しているとも言われています。早朝の血庄に関しては家庭血圧測定でないと正確に分からないところがあり、出来れば家庭血圧測定値と照らし合わせて治療していく方が望ましいです。では血圧測定をどのようにしていけばいいのか? についてですが、これは1日2回だけでも十分です。朝起床後1時間以内で、排尿後・朝食前・服薬前に測定し、また就寝前に測定していただきたいと思います。(なお、30分以内のカフェイン含有物の摂取及び喫煙を中止し、安静座位が望ましいです。)
 
 血圧が高いといわれたことがある方、また血圧に関して気になることがありましたら、いつでも内科受診の際にご相談ください。


| Copyright 2007,11,01, Thursday 11:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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