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老年期のうつについて-第2回

(この記事は2007年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


デイケア室 作業療法士 石原祐子


 前回はうつのチェックリストをご紹介しました。今回は、ご高齢の方のうつの特徴についてお話したいと思います。

 「うつ」というと、一般的に「気分が落ち込み、何もしたくない憂うつな状態がつづく」というイメージをいだかれると思います。ところが、ご高齢者の方の場合は、「仮面うつ病」といって、体の症状の訴えが強いために、心の症状がおおいかくされてしまうことが少なくありません。たとえば、頭が重い、めまい、しびれ、肩こり、胃の不快感、便秘や下痢をくりかえす、食欲がない、眠れないなど、いろいろな症状がおこってくるのです。しかし、検査をしても特に問題がないことがあります。異常がないのに「病気である」と思いこんで心配されることもあります。体の症状にとらわれてうつであることを見逃してしまわないよう、注意が必要です。

 心の症状としては、悲観的になったりおちこんだりするよりも不安が強かったり、いらいらしてじっとしていられないという症状が目立つことが多いようです。

 もうびとつの特徴は、「仮面認知症」といって、認知症とよく似た症状があらわれることです。「急にぽんやりして、反応がにぶく、ものを忘れるようになった」ということで「認知症がはじまった」と思ったら、実はうつであったということがあるのです。

 うつによる「仮面認知症」は、次のような点で「認知症」と異なります。親しい人を亡くしたり役割と失うなどのきっかけが思い当たる場合が多い、症状は軽度の記憶障害が中心だが生活への影響が大きい、質問されてもすぐに答えられず「わかりません」「できません」との回答が多い、自分の物忘れを強く意識して強調される、などです。(ただし、認知症の初期にうつ症状が出ることもあります)うつが回復に向かうと、このような症状はなくなってゆきます。

 「うつ」は治療できる病気です。今述べましたように、ご高齢の方の場合は他の病気と区別がつきにくいことがありますので、気になられる方はぜひ、主治医や専門医にご相談ください。

デイケア(通所リハビリテーション)では、介護保険「要支援」「要介護」の方に、うつの予防と回復にも配慮しながら、体と心のリハビリを目的とした活動をおこなっております。お問い合わせ、ご見学ご希望の方は、電話:075-461-8800(代表電話)からデイケア室を呼び出していただくか、直接、西館地下1階デイケア室までおたずねください。

(前回の記事です)
老年期のうつについて-第1回

(続きの記事です)
老年期のうつについて-第3回

| Copyright 2007,11,01, Thursday 11:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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