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「おしり」に異常(痛い、血が出る、膿が出る)を感じたら

(この記事は2007年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


中瀬 有遠 医師西陣病院 外科 中瀬有遠


日本人の4人に3人は「痔」の経験があるといわれ、また「痔」は虫歯の次に多いといわれるポピュラーな病気であり、当院にもたくさんの方が受診されます。「痔」 には①内痔核、②外痔核、③裂肛、④痔ろう・肛門周囲膿瘍があります。それぞれ症状や原因が異なるので治療方法も違います。


①内痔核:「痔」の中で一番多いのが内痔核です(約80%)。200703geka1

排便時の出血、排便後の違和感などの症状があります。一般的にまず肛門から入れる薬の治療を行います。薬で痔の症状がなくなれば手術の必要はありません。痔が飛び出して、出血がひどい、痛みが激しいなど日常生活に支障をきたすなら手術をおすすめします。当院では外来治療でできるゴム輪結紮術、あるいは入院していただき内痔核切除術を行っております。入院治療の場合、麻酔は肛門周囲が麻酔される仙骨麻酔で、手術は30分程度ですみますし、入院期間は1週間以内です。

②外痔核:肛門の外側にできる血栓 (血の塊)が原因で激しい痛みが起こります。外来で局所麻酔をして血栓を取り除くと痛みがほとんどなくなります。

③裂肛:いわゆる「切れ痔」で排便時に肛門が裂けて血がでます。繰り返しおこるようだと裂け目が治らない潰瘍状になったり、肛門が狭くなったりします。

④痔ろう・肛門周囲膿瘍:直腸と肛門の境目 (歯状線) にある、粘液を出すための小さなくぼみに大腸菌などが入り込み、肛門の周囲の′皮膚から膿がでるものを痔ろう、膿が皮下に溜まったものを肛門周囲膿瘍といいます。膿が溜まることで高熱がでることがあります。これらは薬では治らないので膿の通り道や溜まった部分を切開する必要があります。


 ①、②、③の痔の予防には規則正しい排便習慣を身につけることが大切です。便秘は特に肛門に負担がかかります。ストレッチ体操や腹筋運動、朝食を食べることなどは快便につながるのでおすすめです。ちなみに私は毎朝冷たい牛乳とヨーグルトで快便です。

 おしりは座ったり、排便したりと日常生活の中で大切な役割をしていて、少しの異常でも不快感が生じるデリケートな部分です。また、どんな病気でもそうですが、自己判断で治すよりも専門科 (西陣病院では外科)を受診して正しい治療法を行うことが大切です。とくに50歳を過ぎると直腸癌などのほかの病気が隠れていることもあるので気をつけてください。「おしり」に少しでも異常を感じたら外科を受診してください。

| Copyright 2007,03,01, Thursday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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