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検尿(蛋白尿)について

(この記事は2005年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


泌尿器科 小山正樹

 蛋白尿は、学校検尿、職場検尿などの集団検尿、健康診断や病院での尿検査にて発見されることがあります。正常人でも微量(80mg/日)の蛋白尿は認められますが、尿検査において「1+」以上が認められたとき、成人で1日150mg/日、小児で1日100mg/日を越える場合を蛋白尿としています。

 蛋白尿の原因は多数ありますが、すべてが異常というわけではありません。蛋白尿は病気でない生理的蛋白尿と病的蛋白尿に大きく分類されます。生理的蛋白尿は、腎に病気がないにもかかわらず出現する蛋白尿をいいます。起立や腰椎後屈によって出現する起立性・体位性蛋白尿や高熱時に出現する熱性蛋白尿などがそうです。また、激しい運動後の蛋白尿もそうです。これらの蛋白尿は治療を必要としない蛋白尿です。

 病的蛋白尿は、腎臓が原因となるものと腎臓以外が原因となるのがあります。腎臓以外が原因となるものは、血液中に異常な蛋白が大量に出現し、糸球体において濾過されて尿中に出現したものです。多発性骨髄腫、溶血に伴うへモグロブリン尿、筋肉崩壊に伴うミオグロブリン尿、あるいは白血病などの血液病において認められます。これら蛋白尿はこれらの病気の治療をおこなうことにより消失します。

 腎臓が原因の蛋白尿は、糸球体が原因であることが多いです。糸球体が障害され、糸球体の蛋白透過性が亢進して、主としてアルブミンという蛋白が尿中に漏れでるものです。糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などがあげられます。1日の蛋白尿量、血液検査、腎臓超音波、腎生検等の検査をおこないます。腎生検は、腎臓の組織学的な病型や障害の程度を明らかにするためにおこないます。1日1g以上の蛋白尿が認められる場合は腎生検をおこなう必要があります。

 治療は薬物治療、食事療法になります。薬物治療としては、ステロイド、免疫抑制剤、抗血小板薬あるいは抗凝固薬を用います。また、合併症としておこる高血圧症、高脂血症に対して治療薬を投与します。高血圧自体が腎機能の悪化させる原因ですので、高血圧の治療は非常に重要です。130/80mHg程度の血圧が目標になります。食事療法は蛋白と塩分の制限になります。規則的な生活を送ることも大切です。過激な運動や労働は避けるのが望ましく、風邪を含めた感染症は悪化させる原因となりますので、うがいや手洗いなどの予防も大切です。

 腎臓の機能は、慢性的に機能が低下するとなかなか良くなりません。腎機能低下を防ぐためにも、どのようなタイプの蛋白尿かを判別するためにも早めに専門医のいる病院に受診し検査することをお薦めします。

| Copyright 2005,09,01, Thursday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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