NEWEST / < NEXT   BACK >

腎尿管結石に対する治療

(この記事は2011年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


今田先生 腎臓・泌尿器科 部長 今田 直樹

ESWL(体外衝撃波結石破砕術)と
f-TUL(軟性尿管鏡を用いたレーザー治療:経尿道的結石砕石術)


 西陣病院は1988年2月に京都府内でも2番目に早くESWL装置を導入し結石治療に従事してきました。ESWLとは超音波およびレントゲンで結石に衝撃波の焦点を合わせて、文字通り身体の外側から衝撃波を当てることで結石を破砕する方法です。
 現在では尿路結石の治療の第一選択として広く行われています。当院では月曜日から金曜日の午後にESWLを施行しています。基本的には他病院と違い外来で行なっております。もちろん入院治療ご希望の方に対しては入院対応しております。京都府立医科大学、京都第二赤十字病院、京都第一赤十字病院の泌尿器科からも外来治療希望の患者様を多く紹介していただいています。結石治療に力を注いでいる当院としてはESWL装置を2011年3月に最新機種モデルに新調しました。更に治療時間の短縮と治療効果の増強を図っております。

1988年 2月エダップ社 ESWL装置 初期モデル
1997年 1月エダップ社 ESWL装置 LT-01
2011年 3月エダップ社 ESWL装置 ソノリスアイシス
 しかしながら全ての結石がESWLで完砕できるわけではありません。ESWLでは細かく破砕された結石が体外に排出されるまでに疼痛や発熱などの症状を呈することもあります。また結石が破砕されない症例や結石が完全に排出されないこともあります。そのような症例に対しては以前より硬性尿管鏡を使い超音波の振動で結石を破砕する装置や、まさに削岩機のように結石を破砕する装置を用いてTUL(経尿道的尿管結石砕石術)を施行してきました。その手術法が最近、特に2~3年の間に劇的に変化を遂げました。尿管鏡が硬性から軟性に変わったことと、結石を破砕する専用のレーザー装置が出現したことによって、TULによる結石の破砕と摘出の安全性と確実性が一段と向上しました。最新の軟性尿管鏡とレーザー(ホルミウムレーザー)を組み合わせた軟性尿管鏡下経尿道的尿管結石破砕術(f-TUL)がそれです。この手技で腎臓・尿管・膀胱と全ての尿路結石に対して治療が可能となりました。f-TULは入院し麻酔をかけた状態で尿管鏡を挿入して、結石をモニターで見ながら破砕する方法です。直接見ながら行うので破砕効果を確認でき、また同時に破砕した結石を直接体外に取り出すことができます。当院では2010年5月よりレーザー結石破砕装置を設備し本格的に開始しておりますが、安全かつ確実に砕石および排石を施行しており、良好な成績をおさめております。
 尿路結石に対してESWLとf-TULを上手に組み合わせることでより良き医療を提供出来ると考えております。最後に結石破砕装置のラインアップを示します。

結石破砕装置のラインアップ
1987年 10月ウルフ社超音波尿路結石破砕装置
1993年 9月アロカ社超音波尿路結石破砕装置 ソノップ
1998年 6月ボストン社結石破砕装置 リソクラスト
2010年 5月ニーク社レーザー結石破砕装置
※「ESWL」は「Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy」の略
※「f-TUL」は「FlexbileScope-Transurethral Ureterolithotripsy」の略
写真はすべて、エダップ社 ESWL装置 ソノリスアイシス

| Copyright 2011,05,01, Sunday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

NEWEST / PAGE TOP / < NEXT   BACK >

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACK


LINK

PROFILE

OTHER

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)