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尿路結石について

(この記事は2011年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


平山先生 腎臓・泌尿器科 医長 平山 きふ

 尿路結石とは、読んで字のごとく『尿路』に石ができる病気です。尿は腎臓で作られ尿管を通過して膀胱に貯留され、尿道から排出されます。この尿の通り道、尿路のどこかに石がつまって尿路結石となります。それぞれ石がつまった位置により腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と分類されます。この病気は食事の影響が非常に大きく、一種の生活習慣病と考えられており、日本でも食生活の欧米化で本症の頻度は増え続けています。なぜ石が出来るのか、原因のはっきりしているものもありますが、およそ8割は原因不明です。2:1以上の割合で男性に多い病気で、疫学調査によると男性の場合は約10人に1人、女性の場合は約25人に1人が一生の間に一度は尿路結石症に罹患する計算になります。いろいろな種類の結石があり、石の成分を調べると発症の手掛かりがつかめることがあるので、再発防止のためにも、自分の結石の分析結果を知っておくことは大変重要となります。

 症状は結石の大きさや存在している場所により異なりますが、疝痛発作と呼ばれる激痛が特徴的です。吐き気を伴うこともあります。尿路の粘膜が結石によって傷ついた場合には血尿が出ることもありますし、膀胱を刺激することにより頻尿や残尿感といった症状がでることもあります。また、結石により尿流の通過障害があると、腎盂腎炎から「敗血症」という怖い病気を誘発することもあります。


治療法

保存療法:
 水分を多量にとり、尿管の蠕動運動を活発にさせることで結石の下降を促します。ほかに、尿酸結石やシスチン結石の場合には、尿をアルカリ性に変える薬などを投与し、結石を溶かす治療を行ないます。

侵襲的療法:
 結石が大きく自然排石が困難な時、激しい痛みがある時等に行ないます。多くの場合では、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が第一選択となります。これは体外で発生させた衝撃波を体の中にある結石に集め、そのエネルギーで結石を砕くというものです。細かくなった石は尿道より自然に排出されます。ESWL が無効な場合や、解剖学的にESWLが施行しにくい場合等には内視鏡的に結石を取り出します。当院では軟性腎盂尿管鏡とレーザーを用いて、腎結石や尿管結石に対する治療を行っています (f-TUL) 。現在結石に対する開腹手術は稀です。


再発予防

 水分をたっぷり採り、1日2リットル以上の尿量を保つようにしましょう。しかし、アルコールを大量に飲むのでは逆効果です。ほかにカルシウムはしっかり採る、脂肪は控えめにする、野菜・海草・青身の魚を適度に採る、塩分・砂糖は控えめにする等ありますが、一種の生活習慣病であり、食事はバランス良く・規則正しくを心がけ、肥満にならないように注意することが大事です。

| Copyright 2011,01,01, Saturday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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