西陣病院だより

新年を迎えて

(この記事は2022年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

   外科主任部長 
福本 兼久

 

 

皆様、明けましておめでとうございます。
2022年を迎えましたが、新型コロナウイルスは終息するのでしょうか。

 

この感染症が流行後、全国的に病院受診やがん検診を控える方が増えました。国立がん研究センターの調査結果では、2020年に新たにがんの診断・治療を受けた件数が前年と比べ約6万件減ったと報告されました。これは、集計を開始してから初めての減少で、特に、胃がん、大腸がん、乳がんで減少しており、今後は進行がん症例が増えることが懸念されます。当院でも、コロナ禍で受診を控えていた方が、進行がんで発見された例がありました。今年は当院でも進行がん症例が増加するのではないかと危惧しています。

早期がんは、手術で根治できる可能性が高く、術後も長期生存が期待できます。一方、進行がんは、手術で切除しても再発する場合があります。がん検診は非常に大事ですので、今年はぜひ検診を受けて下さい。そして、皆様にとって笑顔の一年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

最後になりましたが、今年も低侵襲外科治療をさらに推進していきますので、近隣の先生方には、本年も変わらぬご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

2022年01月01日

新春のごあいさつ

(この記事は2022年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

  消化器内科部長
消化器内視鏡センター長
稲垣 恭和

 

 

2020年度から前任の葛西より消化器内科部長、消化器内視鏡センター長を引き継ぎました。コロナ禍でもあり直接ご挨拶できておらず大変失礼を致しております。

 

近年、消化器内視鏡診療は著しく進歩を続けています。診断の分野においてはNBI併用拡大内視鏡の進歩により早期癌のより正確な診断が可能となり、EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法)の開発により従来は困難であった粘膜下腫瘍や膵癌などの病理診断が可能となりました。治療の分野においては内視鏡技術や機器の進歩により、消化管癌治療において従来では外科手術が必要であった巨大病変や線維化病変などについても内視鏡切除が可能となっております。当センターは経験豊富な専門医、指導医、内視鏡技師が多数おり、これらがチーム一丸となって診療にあたっています。ERCP関連手技、EUS関連手技、上下部消化管のESD(粘膜下層剥離術)においても中規模病院ながら high volume center と遜色のない医療を提供できていると自負しております。最新の内視鏡機器や高周波装置も揃っており、2022年1月より内視鏡システムを全てOLYMPUS社製の最上位機種 EVIS X1 に更新し最新のスコープも導入致しました。当センターは充実したソフト、ハード両面を生かし良質な医療を提供させて頂けるよう努力して参ります。また消化器内視鏡診療が進歩を続けているように当センターも進化を続けられるように日々精進していく所存ですので、近隣の先生方におかれましては本年も変わらぬご支援、ご指導を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

2022年01月01日

当院の認定看護管理者を紹介します

(この記事は2021年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

認定看護管理者


認定看護管理者
(左) 佐伯 看護部長
 (右) 金澤 副看護部長

『認定看護管理者』って聞きなれない名前だと思いますが、名乗るためには日本看護協会が実施する認定看護管理者認定審査に合格することが必要です。その研修はファーストレベル(105時間)・セカンドレベル(180時間)・サードレベル(180時間) と3段階があり、サードレベルまで終了すると審査を受ける権利を得ることができます。他にも管理者経験を持ち大学院などで看護系の修士号を取ると受けることができます(ちなみに当院では 2名の管理者が修士課程を修了しております)。認定看護管理者制度は1998年に発足されてから2020年度には全国で4551名となり京都府は87名となりました。西陣病院では、ファーストレベル修了者8名、セカンドレベル修了者が7名います。サードレベルを終了した私達2人が、今年認定看護管理者となりました

 

日本看護協会が示す認定看護管理者が行う活動とは、「患者・家族や地域住民に対しより質の高いサービスを提供できるよう、自身が管理する組織の課題を明らかにし、組織内の様々な部署や人に働きかけて、組織全体のサービス提供体制の向上に取り組むこと。また、地域の組織間の連携を図るなど、地域全体の医療・看護の質の向上に務めること」とされています。私達は他の看護管理者と共に、西陣病院に来られた患者さんに気づきとレジリエンス(状況に合わせて柔軟に対応できる力と心)を大事にした看護をスタッフ皆ができるようにしたいと思ってきました。これから更に「地域全体の医療・看護の質の向上に努める」ことを目標に、当院にいる感染管理認定看護師や皮膚・排泄ケア特定認定看護師・透析看護認定看護師に地域で活躍してもらい西陣地域の方々の健康増進とQOL(生活の質)を維持向上できるよう貢献していきたいと思っています。

施設や医院で働く方々に向けた出張研修会などを行いますので、s.saeki@nishijinhp.com(佐伯)のメールか、地域医療連携室に是非ご相談ください。お待ちしております。

<出張研修会内容の例>

●感染管理認定看護師
「新型コロナウイルス感染対策について」
「感染性吐物・排泄物処理方法について」

●透析看護認定看護師
「腎臓の悪化に気づくポイント」

●皮膚・排泄ケア特定認定看護師
「褥瘡の予防・治療ケア」
「高齢者の失禁管理」
  症例検討など

この他にもご希望がございましたら、ご相談ください。

2021年11月01日

ふれあい看護体験

(この記事は2021年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

ふれあい看護体験

昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大のため中止となりましたが、今年は2年ぶりに「ふれあい看護体験」を開催し、3名の高校生が参加して下さいました。従来は、看護師と一緒に食事介助や全身清拭など直接患者さんとかかわって頂きましたが、今年は感染対策の為、シミュレーターを用いての心肺蘇生、車いすやストレッチャーの操作や患者体験など、演習を中心に行いました。そして、短時間ですが、看護師が看護を実践している場面を見学して頂きました。

参加者から「実際の仕事の場面を見ることができてよかったです」「コミュニケーションの大切さを学びました」「体力のいる仕事だと思いました」など、多くの感想を頂きました。

2021年09月01日

当院で活躍する認定看護師を紹介します

(この記事は2021年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

皮膚・排泄ケア特定認定看護師


皮膚・排泄ケア特定認定看護師
多氣 真弓

 

皮膚・排泄ケア認定看護師は、スキンケアを基盤として創傷ケアや排泄ケアを専門に行う看護師です。

2008年に認定を取得して院内を横断的に活動し、年間の延べケア件数は2600件ほどで約7割が創傷のケアです。褥瘡(床ずれ)や静脈うっ滞性下腿潰瘍、糖尿病性足病変、重症下肢虚血などの慢性創傷は、長期にわたるケアが必要で、皮膚科の坂元花景医師と連携して治療を進めていきますが、場合によっては糖尿病内科、循環器内科、整形外科医師とも連携して院内の医療チームで治癒を目指すこともあります。また、院内の看護師はもちろんのこと院外施設の看護師や訪問看護師とも情報を共有しながら療養の場がどこであっても継続したケアが行われ、創傷の適切な管理ができるようにしています。しかし、重要なことは創傷が発生しないように予防することです。加齢によって皮膚のバリア機能は低下しますので、からだを泡で優しく洗浄して、保湿剤を毎日塗ることで皮膚を健やかな状態にしておくことが予防につながります。

2025年には65歳以上の高齢者が4人に1人となり、医療の質と量の両方を高めていくために、厚生労働省は、2015年から「看護師特定行為研修」を開始しました。これによりこれまで医師にしかできなかった38の医療行為について、研修を修了した看護師が医師の指示(手順書)により実践できるようになりました。2020年に創傷管理に関する5つの行為について研修を修了し、「皮膚・排泄ケア特定認定看護師」になりました。認定看護師の専門的な「看る」と特定行為研修で学んだ「診る」の両方の視点からタイムリーに創傷の治癒や重症化予防のためのきめ細かな看護を提供できるように努めていきます。

2021年09月01日

当院で活躍する認定看護師を紹介します

(この記事は2021年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

感染管理認定看護師


感染管理認定看護師
伊藤 良子

 資格を修得して6年目になります。感染管理認定看護師の役割りは、病院に出入りする全ての方に感染予防対策を行う事です。感染予防の基本は、手指衛生です。病院内では、ICT(感染予防コントロールチーム)として多職種で病院環境が適切か、標準予防策(感染予防対策の基本)が実施されているか、手指衛生が徹底されているか等を週 1回ラウンドして確認しています。入院患者さんの中には、隔離が必要な場合もあり感染対策表示カードの設置、個人防護具の用意、器材を個人専用に出来ているか等確認、指導しています。現場からの感染予防に対する相談にも応じています。退院時に耐性菌保菌のまま自宅、施設退院もあり洗濯方法や検体別取り扱いを(尿廃棄、痰を拭き取りしたチリ紙廃棄方法等)パンフレット作成し、お渡しする事もあります。 

 感染予防活動は、病院内に留まらず地域活動も重要です。京都府内の感染管理に従事した看護師達が集まり、「みやこICN」を結成、地域の方や施設職員向けの研修会を実施しています。年に1、2 回実施しています。2020 年度は、コロナ禍で開催出来ませんでした。研修会再開のおりには、ぜひ参加して下さい。老健施設の方に、標準予防策、ノロウイルス排泄物処理方法について勉強会も行いました。感染対策に対する疑問や勉強会依頼等ありましたら、コロナ禍で対面開催は難しいかと思いますがお気軽に御連絡下さい。お待ちしています。
 新型コロナウイルス感染第4波となり、自粛疲れもあると思いますがワクチン接種も始まりました。もうひと踏ん張りして、この難局を乗り越えましょう。おかしいと思ったら…早めの受診をお願いします。

透析看護認定看護師

透析看護認定看護師
大槻 直博

 
 透析治療とは、腎臓の機能を補うための治療です。腎臓が悪くなる原因には、加齢、生活習慣、遺伝、免疫異常などがあります。特に糖尿病や高血圧といった持病をお持ちの方は注意が必要です。体のむくみ、血尿といった症状はありませんでしょうか。それらは腎臓の不調が原因かもしれません。透析看護では、透析治療を受けられている患者さんはもちろんのこと、腎臓の機能に不安を抱える全ての患者さんを対象としています。当院では、毎週水曜日と金曜日の午後からCKD(慢性腎臓病)看護外来という名称で、看護師が外来に立ち、腎臓の働きが弱まった方への透析予防を含めた介入を行っています。 

 主な介入内容としましては、腎臓のさらなる悪化を抑えるために、生活習慣を患者さんとともに見直していくことから始めます。食生活では減塩、適正なカロリー・タンパク質の摂取を意識して過ごせるように、栄養士と連携して関わっていきます。また、日々の体調や血圧などの変化を見ながら、腎臓に負担をかけないための過ごし方を患者さんと共に模索していきます。
 しかし、それでも腎臓の悪化を避けられない場合があります。そうなった場合にも慌てなくてよいように、日頃から腎臓の働きを補う治療についての理解を深めておくことが大切です。日々の 生活に治療を組み込んだうえで、いかにして「その人らしい生き方」を過ごしていくのかを患者さんと共に考えていきます。何か不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。

2021年07月01日

外来待合椅子をリニュアール

(この記事は2021年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

外来待合椅子をリニュアール

3月初旬に外来待合椅子をリニューアルしました。色合いだけでなく、座面の高さなども考慮し、以前よりかなりゆったりしたものになっています。毎日、清掃・消毒もしておりますので、密を避けてご利用ください。

 

 

2021年05月01日

コロナ禍で新年を迎えて

(この記事は2021年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 看護部長 佐伯  昭子


 


 新年あけましておめでとうございます。

 

 昨年は日本でオリンピックが開催され活気ある年となるはずでした。新型コロナウイルスの感染症がこれほど影響を及ぼすとは、誰も想像していなかったと思います。我々医療従事者は物資が
十分に無い中、未知の感染症と戦う厳しい状況となり、治療薬やワクチンができるまで気を緩めることができない日々が続いています。
 以前から医療業界は少子高齢化社会への対策として、健康寿命の延伸・増加する認知症への対応・多死社会に向けたアドバンスケアプランニングなど、多くの課題に取り組んでいました。これらを見据え、看護協会は看護職の確保と変化する社会への対応能力の向上のため、健康で働き続けられる職場環境づくりや継続教育などに力を入れています。当院でも看護職員が働き、学習できる環境を整えながら、院外でも活躍できる認定看護師を増やし、また入退院支援も強化し、患者さんの入院前・入院中・退院への支援をシームレスに行っていきたいと思っております。新型コロナウイルス感染症対策が加わってしまい、問題は山積していますが、地域貢献できるよう一層取り組んでまいります。本年も何卒よろしくお願いいたします。

2021年01月01日

新年あけましておめでとうございます。

(この記事は2021年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
画像診断センター長
放射線科 部長
山川 稔隆

 昨年5月、西陣病院画像診断センターのMRIが新機種に更新されましたのでこの場をお借りして紹介させていただきます。
 昨今、テレビや新聞では、AI(人工知能)や機械学習といったキーワードがトレンドで、毎日のように耳にしますが、今回導入したキャノン製1.5テスラMRIにもディープラーニングを用いた最新技術が搭載されています。原理的なことは難しいので割愛させていただきますが、要は、短時間でノイズの少ない、きれいな画像を撮影することができます。また、MRIでは患者さんにトンネルの中に寝ていただいて撮影するのですが、そのトンネルが従来よりも広くなり、検査中の圧迫感が少なくなっています。さらに検査中にはトンネルの壁面に映像が写る機能が標準装備されています。検査中にその映像を見ていただくことで、患者さんにはリラックスした状態で検査を受けていただけるようになりました。CTや超音波検査と比べてMRIは検査時間も長く、窮屈な姿勢で受けていただかないといけないのですが、新しいMRI装置ではそういった負担を少しでも軽減して、楽に検査を受けていただけると思います。
 画像診断センターでは今後も患者さんにとって負担が少なく、診断・治療に役立つ画像検査を提供させていただきます。よろしくお願いいたします。

2021年01月01日

西陣病院における 泌尿器科医の役割

(この記事は2021年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 副院長
今田 直樹

 

 

 2020年は全世界が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に翻弄される年となりました。この事は、残念ながら現在も継続されています。西陣病院におきましても最良の対策をもってCOVID-19に挑んでおりますが、有効なワクチンの普及で、一日も早く収束することを願っております。

 

 さて、ご存知のように泌尿器科のスタートは皮膚泌尿器科でした。その後、尿に関連する臓器を扱う科として独立し、今や日本人男性の最多の癌(前立腺癌)を扱うまでになりました。2013年ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術、2016年ロボット支援下腎部分切除術が保険収載されてからは、前立腺癌、早期腎癌の開腹手術はそちらに移行しています。最新の放射線療法としての前立腺癌陽子線治療も京都府立医科大学で可能となり、保存的治療面では、ここ数年で注射剤、内服剤とも新薬が次々に承認され、多彩な組み合わせによる治療選択が可能となりました。当院では前立腺肥大症に対しては前立腺蒸散術の器機を一昨年に導入し、良好な成績を上げています。透析医療に関しては、より多くの尿毒素を抜くための方法として水道水から浄化して作製した水を患者さんの体内に入れつつ同時に透析もするオンライン血液透析濾過法を早期より取り入れ順次変更しております。日々進化する新しい技術の導入、習得、新しい知識の蓄積を兼ね備えることに努力を惜しむことはありません。
 西陣病院 腎臓・泌尿器科では、泌尿器悪性腫瘍に対する治療はもとより、前立腺肥大症、尿路結石(腎、尿管、膀胱)症、尿路感染症、慢性腎臓病、約400名を有する透析医療等々に主軸を置き今後とも最善の治療の提供をさせていただく所存でございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

2021年01月01日