西陣だより

おくすりの保管方法 について

(この記事は2018年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤部 薬剤師 國枝 亜矢香

今年もじめじめとした暑い季節になりました。みなさんのご家庭では湿気や暑さ対策をどのように行っているでしょうか。夏の軽装はもちろんのこと、除湿器や冷房、扇風機等を上手に用いて快適な夏を過ごしたいものですね。
さて、みなさんが過ごしていて不快と感じる気候は、実はおくすりにとっても良くない状態であるということはご存知でしょうか? 今回は、お薬の保管方法についてお話したいと思います。

温度の定義

薬剤師が使う「温度」には、実は日本薬局方の通則において厳密な定義がなされています。

西陣病院、

ほとんどのおくすりは、ここで言う「室温」での保存が可能です。目薬も、一部のものを除いて室温で保管できるものが多いです。夏場では部屋の温度が30℃を超えてしまうことがあるので要注意です。

なぜおくすりの保管方法が決まっているの?

おくすりは適切な環境下で保存していても、時間がたつと有効成分が分解されていってしまいます。分解の速さは周囲の環境に影響され、特に高温、湿度が高い、光があたる、などといった場所で保管すると、通常よりも分解が加速していってしまいます。

代表的な保管に注意の必要なおくすり

インスリン製剤・・・冷蔵庫で保存する代表的なおくすりですね。ただし、使用する前のインスリンは冷所で保管、使用中のものは室温での保管となっていますので、注意しましょう。30℃以上になる車内や部屋での保管には注意が必要です。

 

おくすりというのは、実は意外とデリケートなものだと知ってもらえると嬉しいです。初めてのおくすりが始まったときなど、保管方法に疑問があれば薬剤師に確認しましょう。
おくすりの最大限の効果を得るためにも、良い状態で保管されたおくすりを飲むようにしましょうね。

2018年07月01日